老化が進行するに伴い、骨が段々もろくなり、骨折しやすくなることは皆さんもご存じかと思います。しかし最近は運動不足や栄養の偏りなどの原因により、若者や小学生の間でもちょっとした弾みに骨折するケースが増えています。今回は、大人向けの 圧迫骨折 の 治療 をご紹介いたします。
圧迫骨折の治療法を見極める
圧迫骨折とは
脊椎圧迫骨折の原因は、骨粗しょう症です。骨がスカスカの状態で軽い力が椎体に加わっただけで小さい骨折が起こりますが、軽い痛みです。それが一箇所ではなく、脊椎や椎体の複数箇所に圧迫骨折が生じるとお背丈が縮んだり、背中が円背という丸まった状態になります。
円背になると歩行に困難が出てきます。足の運びがスムーズにできなくなり、擦れるような痛みを伴ったりします。また、左右バランスよく骨折するわけではありませんので、おからだの均衝が崩れます。転びやすくもなりますし、負担によって新たな骨折もしやすくなります。
骨の修復や再生するというのは、高齢になればなるほど時間がかかります。圧迫骨折の治療は、経済的時間的な制約に加えて、体力的な向き不向きが大きく関わってきます。我慢せずに初期の段階で病院へ行くことが全ての節約になります。
保存的治療法
手術などはせず、コルセットやギプスを装着します。ひたすらベッドの上で安静にしているケースもあります。
医師によっては、骨粗しょう症の薬や痛み止めをやたら処方しますが、量に不安があったり服用によって体調が悪くなったら新たな薬を処方され、ますます量が増えるなど疑問を感じたら、ほかの病院で診てもらうことも検討したほうが良いでしょう。
コルセットを装着したまま日常生活を送るというのは決して楽なことではありません。煩わしさから途中で中断される患者さんもいらっしゃいます。
長期の入院治療に応じてはみたものの、かえって体力を消耗してしまうお年寄りも多いようです。ずっとベッドの上で安静にしていると筋力も低下します。見当識障がいやうつを発症することもあり、ご年配の方はこれらの症状改善にも相当な時間を要しますし、リスクの高い治療法といえます。
外科的治療法
手術方法には大きく2種類あります。
一つは「固定術」です。手術で骨を移植したり、金属製のネジや棒を埋め込んで骨を固定します。固定方法には、おからだの脇側を切開して臓器を避け、当該の骨折部位を固定する方法と、背中(背骨の後ろ側)を切開して神経を避けて骨折部位の固定を試みる方法があります。
患者さんの骨折に適した方法が選択されます。手術には通常であれば入院とリハビリが必要になります。
二つめは、「椎体形成術」です。骨折した椎体にPMMA(ポリメチルメタクリレート、)HAブロック(ハイドロキシアパタイトブロック)、CPC(リン酸カルシウム)などを充てんし安定化を図り、痛みを軽減します。
手術方法は医師によってさまざまです。固定術と併せて行う場合もあります。固定術と比べて手術時間も短く切開も小さいのがメリットです。
デメリットは、充てん物をピンポイントで充てんするのがベテラン医師でもむずかしいことと、骨を元の形状に近づけるのが不得手な点です。
BKP治療法
BKP(バルーン カイフォプラスティ)は1990年代にアメリカで開発された新しい治療法です。バルーン(風船)状の手術器具や医療用の骨セメントを使用します。圧迫骨折によってつぶれた椎体を骨折前の形状に近づけて椎体を安定させ、痛みをやわらげます。
この治療の最大の特長は、約1時間以内という短時間の手術で痛みの軽減が期待できることです。新しい治療法ですので、術式を習得されていないご年配の医師も少なからずいらっしゃるようです。
ご自身のおからだのことですから、全てを医師に委ねずに本やネットで調べるなどの自学自習も大切です。
まとめ
圧迫骨折の治療法を見極める
圧迫骨折とは
保存的治療法
外科的治療法
BKP治療法