ばね指 は腱鞘炎のひとつです。男性よりも女性に多く、手先をよく使う方に発症しやすいといわれています。ばね指を発症すると指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、悪化すると痛みを伴います。
ばね指を治療せずに放置すると関節が曲がったまま固まり、戻せなくなることもあるので早期の治療開始が大切です。
ばね指の治療と予防方法
ばね指の症状
ばね指を発症すると指を曲げた時に引っかかりがあり、曲げた指をスムーズに戻せなくなります。引っかかった指を戻す時バネがはじけるように戻るため「ばね指」と呼ばれています。特に朝起きた時に症状がみられます。
初期症状は指の付け根の違和感や、時々指が引っかかる症状がおこる程度です。日常生活にはあまり影響がないので、治療せずに放置されることが多いです。ばね指が進行すると指の違和感は痛みに変わります。指の引っかかりも頻繁になり曲げ伸ばしがしにくい状態となります。
そしてさらに悪化すると常に激しい痛みがつきまとい、指の曲げ伸ばしは出来なくなります。ここまで悪化すると日常生活に大きな影響がでてしまいます。
ばね指の原因
ばね指は指を曲げる動作に関わる「屈筋腱」が炎症を発症した状態です。炎症した部位に発生した「結節」と呼ばれる小さい塊のようなものが、関節によってつぶされるときに引っかかり痛みを感じます。
屈筋腱の炎症は指を使い過ぎると発症することが多くあります。慢性的な動作により指の同じ筋肉を酷使することや加齢に伴う筋肉の低下も原因にあげられます。
また、ばね指の発症には女性ホルモン分泌の低下が関係している可能性もあると言われており、産前産後や更年期の女性に発症する方が多くいます。
ばね指の保存療法について
ばね指の炎症が軽い場合は保存療法で治療をおこないます。関節を固定して指の動きを制限し炎症を鎮める固定療法や、関節をゆっくりと動かしてストレッチを行う運動療法があります。
腱の動きを滑らかにする薬を関節内に注射して炎症を抑える治療法もあります。また痛みが強い時は鎮痛剤を服用したり、湿布や塗り薬で炎症を抑えます。
保存療法は症状が軽い場合に効果があらわれる治療方法ですが、ばね指はある程度強い痛みがあわわれてから治療を開始する方が多く、保存療法で治療を開始しても現状維持以上の効果が得られないことも多くあります。
ばね指の手術療法について
ばね指の症状が重度になると手術療法による治療でなければ改善できなくなります。
手術療法には「腱鞘切開手術」と「内視鏡手術」の2種類があります。
「腱鞘切開手術」は局部麻酔で手のひらの皮膚を1センチ程度切開して結節を取り除きます。
「内視鏡手術」は局部麻酔で手のひらの皮膚を3ミリ程度切開し、内視鏡を挿入して炎症をおこしている腱鞘を直接切開します。
一般的に多く行われている手術方法は「腱鞘切開手術」ですが、最近は「内視鏡手術」を行っている病院も増えてきています。
「内視鏡手術」は「腱鞘切開手術」に比べ、傷口が小さいので手術後の日常生活への影響が少ないですが、症状が重度の場合は手術を行うことが出来ません。
手術療法による回復効果は非常に高く、重度の症状があらわれ日常生活に支障をきたしていた場合でも手術によって痛みを取り除くことができます。
ばね指の予防
ばね指は指の使い過ぎによる炎症が原因ですので、指の酷使を控えることが一番の予防です。パソコンによるタイピングなど軽いと思われる動きでも、慢性的な動きが指へ負担を与えている場合もあります。
しかし家事や仕事で指を使わなければならない場合も多々あります。痛みを感じた場合は一旦作業を中断して休ませたり、可能であれば冷やすなどの応急処置を行うと炎症を防ぐことができます。
ばね指は進行性の障害ですので、一旦痛みが治まったとしても時期が来るとさらに強い痛みとなって再発します。何よりも早期の治療が大切になりますので、少しでも違和感や痛みを感じた場合は早めに病院を受診し治療を開始しましょう。
まとめ
ばね指の治療と予防方法
ばね指の症状
ばね指の原因
ばね指の保存療法について
ばね指の手術療法について
ばね指の予防