皆さんは、突き指でもなく打撲や捻挫とも異なる指の痛みはありませんか。指を曲げられない伸ばせないといった症状があれば、 バネ指 の可能性があります。
筋力の衰えた高齢の方がなりやすいというイメージがありますが、お子さんでも発症することがありますし、予防できるところから改善に努めてはいかがでしょうか。
バネ指の原因はからだ全体にある
子どもから高齢者まで発症の可能性がある
バネ指は腱鞘炎(けんしょうえん)の一つで、指を自由に動かせず、ひっかかる患部の先の指がピーンと伸びるバネ現象が起きたりする状態を言います。軽度から中度の症状であれば、曲がった指に手を添えて無理やり伸ばせるケースもあります。
特徴的なのは、指の曲げたり伸ばしたりしたときに手のひらに痛みが出る、手のひらが腫れたり、押さえると痛みがあります。5本のどの指でも発症しますが、いちばん多いのは親指です。次に中指、薬指が続きます。
特に発症しやすい年代は、妊娠・出産後の女性や更年期の方です。妊娠・出産後はホルモンバランスの変化、出産後しばらく乳幼児を抱っこし続けることが指の負担になります。
更年期に入ると閉経にもなり、個人差が大きいですがホルモンバランスが変化したり、骨粗しょう症になったり、筋力の低下が原因で身体構造が弱くなり始めるため、それに伴って腱や腱鞘も傷みやすくなってきます。
持病、趣味、生活習慣を見直す
糖尿病や人工透析をしている方は特に発症しやすくなります。また、指をよく使うお仕事やスポーツ、編み物やお裁縫などの趣味を持つ方も要注意です。
このような生活を送っている方々は、慢性的な肩こりがあったり、筋肉の柔軟性が低かったり、手の力みを抜くことがうまくできない癖がついていたりします。
対策予防法としては、気がついたときに手を開いたり閉じたりを10回ほど繰り返したり、両腕を伸ばしてタオルの両はしを持ち10~15秒ほど力いっぱい引っ張り合いをするのが手軽で長続きします。
また、指を1本1本丁寧に関節から指先に向かって揉みほぐすようにマッサージするのも疲れがとれてとても気持ちが良いので習慣にできると良いでしょう。
治療法の選択
バネ指の治療は、いきなり「手術をしましょう」ということはまずありません。保存療法が主流です。医師の指導を真面目に受ければ、大抵は治ります。しかし、言いつけを守らず、もしくは守ることが困難な環境で仕事などをせざるを得ず、悪化した場合は手術になります。
保存療法は、第一に「安静に」つまり指を使わないように指導されます。しかし、ご本人の意識頼みで安静を心がけることは大人でもかなりむずかしいことです。そこで、装具療法を勧められます。
装具で強制的に指を使えないようにしてもらえますので、精神的には少し気楽ですが当然ながら不便な生活を強いられます。装具療法のデメリットは、苦労が報われないケースが多いことです。
真面目に装着しても歓喜するほどの回復にはつながらなかったり、つけ慣れるまで痛みが強くなったり、処方されても痛みに耐えきれず装着できない方や、煩わしくてつけない方が多くいらっしゃいます。
第二に、注射です。ステロイドの注射は大変効果的で炎症が鎮まります。特に、症状が軽い、発症からの期間が短い、ほかの指がなっていないケースによく効きます。
これに装具療法も取り入れれば、9割方の患者さんは治ります。ただし、ステロイド注射は何回も接種すると副作用で腱が弱くなるので回数に限度があります。
第三に、手術です。保存療法に取り組んだが3ヶ月くらい経っても改善されなかったり、仕事の都合などで保存療法でゆっくり経過をみている時間的余裕がない方の最終手段です。バネ指かもしれないと思ったら、早期対処・治療が何よりです。
まとめ
バネ指の原因はからだ全体にある
子どもから高齢者まで発症の可能性がある
持病、趣味、生活習慣を見直す
治療方法の選択