たかが指一本のこと!とあなどってはいけません。手指の曲げ伸ばしの違和感は、腱鞘炎の悪化です。指が曲がったまま腫れと痛みが治まらないようなら手術をしなければならないこともあります。
ばね指 の治療について、そのひとつの方法としての 手術 についてご案内します。
ばね指の治療と手術の方法
ばね指って何?
ばね指とは、手の腱鞘炎がすすみ、指が曲がったまま動かなくなる症状のことを言います。腱鞘炎が進行すると、指を動かす屈筋腱(くっきんけん)が腫れた状態で、それを包み込む鞘(さや)である腱鞘(けんしょう)に触れるために、指を動かすことが出来なくなってしまうのです。
症状としては、動かなくなることの他に、赤く腫れて熱を持ったり、うずくような痛みをともなうこともあります。ばね指の原因のほとんどを占めるのが、同じ動作を繰り返し行うことによる炎症です。
他の疾患を原因としてばね指の症状があらわれることもあります。リウマチや結核など、さらに細菌性の化膿性腱鞘炎(かのうせいけんしょうえん)を原因とすることもあります。
また小児の場合、親指がばね指になることがありますが、これについてのはっきりとした原因はわかっていません。
ばね指の治療法
ばね指の治療には根気が必要です。保存療法での完治率は30~40%、年齢によりその確率はいちだんと低くなり、また再発の可能性があると言われています。
症状の初期段階においては、指の曲げ伸ばしに抵抗を感じるぐらいです。この場合の処置としては、しばらく手を休ませた後、ぬるま湯の中でゆっくりと手指の曲げ伸ばしをすると徐々に回復していきます。
さらに痛みや腫れをともなう場合、湿布や鎮痛剤を使用することになります。この段階では、すでに医師の診断を仰ぐことが必要です。痛みと腫れ、という症状は、骨折やねん挫の可能性もあるからです。
詳細な検査による適切な処置が必要です。何事も早い対処をするにこしたことはありません。初期段階での治療開始が完治する確率を上げることになります。
痛み止めによる保存療法
テーピングなどにより患部の安静を保ちながら、場合によっては痛み止めを服用し経過を観察します。ロキソニン・ボルタレンなどの一般的な非ステロイド系の鎮痛剤を用います。ただしこれらの鎮痛剤は、胃に負担がかかること、長期服用による自律神経への影響などが懸念されます。
激しい痛みの段階を乗り越えることができたら、鎮痛剤の服用を控えるなどの、適切な加減をしていくことが求められます。また炎症のある指に、ケナコルトなどのステロイドを注射する方法もあります。一回の注射で長期間の効果が望めます。
ばね指における二種類の手術法
完全に治る確率が30~40%と言われる保存的療法においてさえ、加齢とともにその数値は下がっていきます。そのため完治率の高い手術に踏み切る方も少なくありません。
ばね指の手術には二つの方法があります。
一般的に行われてきたのが、切開による手術です。局所麻酔により行われ、手のひらの腱鞘(けんしょう)にあたる部分を1~1.2センチほどメスで切開して、腱鞘(けんしょう)の中の腫れを取り除きます。実際に見て行われるため、誤差はほとんどなく正確な切除が行われます。
同時に屈筋腱(くっきんけん)の癒着などは全てはがし、正常な状態に戻します。切開部位は縫合され、抜糸までは7~10日ほどを要します。この間、手洗いなど水回りの作業は控えてもらうようになります。
手術後は、およそ3ヶ月にわたって何らかの痛みが残りますが、その痛みがなくなったときが完治ということになります。
また皮膚切開を行わない、皮下腱鞘切開術(ひかけんしょうせっかいじゅつ)という手術法を行うところもあります。切開の場合と同じく局所麻酔で行われます。この手術法は皮膚を開いて直接患部を視ることができないため、解剖学の知識と熟練の技術が必要になります。
ひとつ間違えば指の神経を損傷してしまうこともあります。ですから担当医との信頼関係をしっかりと築き上げてから決断することが望まれます。
特に透析をなさっている方においては、再発の可能性が高くなっております。皮下腱鞘切開術の利点は、傷跡が残らないこと、入院の必要がないこと、手術後の痛みもほとんどなく、翌日から手洗いなどの水回り作業が可能なことがあげられます。
まとめ
ばね指の治療と手術の方法
ばね指って何?
ばね指の治療法
痛み止めによる保存療法
ばね指における二種類の手術法