鼻中隔湾曲症 は鼻の病気ですが、あまり聞き慣れない病名で自身が罹患していても知らずに過ごしていることがあります。鼻中隔湾曲症はその呼び名が意味をあらわしています。鼻の真中の仕切りが両側または左右のどちらかに曲がっているという状態で、そのまま病名になっています。
そこで、なぜ鼻中隔湾曲症になるのか、どんな症状があるのか、対処や治療について説明します。
鼻中隔湾曲症という病気を知っていますか!
鼻の構造と鼻中隔が湾曲する理由とは
鼻中隔は鼻の真中にあり鼻腔を左右にわけている仕切りです。この仕切りは、鼻中隔軟骨、篩骨正中板、鋤骨という3つの骨からなっています。これらの骨が成長とともにバランスよく形成されれば問題ないですが、ズレたり不揃いに形成されると曲がってしまいます。
また、2足歩行の人間は起こりやすいと言われています。それは、身体が垂直になっていて顔面の鼻部に脳の重量がかかることから、鼻中隔軟骨が湾曲しやすくなるからと考えられています。
鼻中隔湾曲症の症状と鼻の疾患の悪化
症状は、鼻詰まり、鼻出血、臭覚障害、頭痛があります。
鼻詰まりは、鼻中隔の曲がりによって左右の片側もしくは両側にS字状・くの字型などに変形して鼻腔を狭くします。それによって空気の通りが悪くなり、鼻腔が詰まった感じがします。
鼻出血は、曲がった部分の粘膜が薄くなって血管が傷つきやすくなるために出血が起こります。臭覚障害は、鼻詰まりで鼻腔上方の臭神経に臭気が通らなくなるからです。頭痛は、鼻中隔が鼻腔外側の粘膜に接して刺激となり起こってきます。
そして、鼻の疾患では、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の悪化があげられます。鼻腔が狭く通気が悪いため分泌物が貯留し細菌が繁殖して慢性副鼻腔炎が悪化します。
また、アレルギー性鼻炎の人は、アレルギー反応で粘膜が炎症を起こし腫れるため、更に鼻腔が狭くなり鼻詰まりで症状を悪化させます。
対処方法
鼻出血や鼻詰まりの頻度が多い場合は、耳鼻科受診をお奨めします。耳鼻科の医師が鼻鏡や内視鏡で視診を行うと、鼻中隔が曲がっているかどうかすぐわかります。
更に、X線の断層検査でどのように曲がっているかもわかります。内視鏡では粘膜の状態もわかるので、その後の治療が適切に行われます。放置しないで早めに対策することで、慢性副鼻腔炎の予防や治療ができます。
薬物療法と手術の適応
鼻詰まりや鼻出血には点鼻薬を使います。点鼻薬は鼻の粘膜の血管を収縮させ症状を解消させます。しかし、長期投与すると使わない時に血管が拡張して粘膜を肥厚させ、返って症状を悪化させることがあるので一時的な使用が一般的です。
日々の生活で、鼻汁の排泄を良くする水分補給や、鼻粘膜が乾燥しないよう加湿するなどの工夫をするとよいです。風邪やアレルギー性鼻炎を発症した場合は早めに受診して治療しましょう。
軽い症状の場合は薬物療法や生活面で工夫をしてコントロールしていくことができます。手術の適応は、鼻中隔湾曲症を放置して慢性副鼻腔炎が重症化した場合や、鼻詰まりで口呼吸になり睡眠時無呼吸症候群になった場合です。
このような場合は鼻中隔矯正術をすることがあります。術式は、曲がっている軟骨を取り出してまっすぐなところに軟骨を戻す方法です。術後は、数日間の入浴制限、飲酒も10日ぐらい控え、運動は2週間ほど制限されます。
血圧上昇と血管拡張を防ぎ、出血を予防するためです。術創は1週間ぐらいで治癒しますが、鼻中隔の軟骨を手術しているので、強い衝撃を受けると軟骨が再び変形することがあります。術後の軟骨は脆弱なので、できるだけ鼻に触らないように生活します。
信頼のおける耳鼻科の医師とよく相談して、薬物療法や手術の適応を判断することが必要です。
まとめ
鼻中隔湾曲症という病気を知っていますか!
鼻の構造と鼻中隔が湾曲する理由とは
鼻中隔湾曲症の症状と鼻の疾患の悪化
対処方法
薬物療法と手術の適応