一般的に、 蓄膿症 とは副鼻腔に膿が溜まり、慢性の炎症を起こすもので 咳 とは関係ないと思いがちですが、鼻に蓄積された膿が喉に流れていき咳が止まらなくなるような場合があります。
また、膿が蓄積されると鼻の粘膜そのものが弱くなり、細菌やウイルスによって炎症を起こし咳が出やすい状態になる場合もあります。従って、風邪と誤認してしまい、咳止めなどを飲んで蓄膿症に気づかず経過してしまうことがあります。
蓄膿症で咳がでるって意外ですね!
蓄膿症とは
広義では、腔を有する臓器や漿膜腔に炎症が起こり、膿が蓄積する状態を言います。狭義では、副鼻腔が炎症を起こして膿汁が溜まる状態で、風邪をひくことによって急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎となる場合があります。これが蓄膿症と言われているものです。
鼻炎、アデノイド、虫歯などによっても起こり体質やアレルギーも関係するとも言われています。
症状は鼻から喉まで及びます
蓄膿症の症状としては、黄色・緑色の膿を伴う鼻水、鼻閉、副鼻腔部分が痛い、鼻出血、頭痛、鼻水が喉に流れる、嗅覚障害、口臭、いびき、紅潮、不眠などがあります。
その中でも蓄膿症の初期症状で咳が出る場合があります。普通は鼻の病気なので、鼻の症状に注目しがちですが、鼻と喉はつながっていることから呼吸器疾患によくみられる咳という症状がでてもおかしくないのです。
咳の長期化は蓄膿症の疑い?!
まず、咳がでていると風邪を疑い内科を受診しますが、風邪薬を処方され服用しても咳がなかなか治らない場合には、耳鼻科受診をお勧めします。
咳がいつまでも長引く場合は、鼻水の色をチェックしましょう。鼻水が黄色や緑がかった色であれば蓄膿症の疑いがあります。
喉の粘膜が荒れて細菌が繁殖すると、蓄膿症が更に酷くなることがありますので早めに適切な治療を受けることが必要です。
治療の主流は抗菌と排膿
蓄膿症は副鼻腔の膿が排出できない状態が長期化している事が原因です。膿の貯留はほとんど細菌によるもので、抗生物質が投与されます。マクロライド系抗菌薬を少量ずつ長期に使用すると有効な場合があります。
また、アレルギー性鼻炎から蓄膿症になる場合があり、本来アレルギー性の病気に抗生物質は投与されないのですが、マクロライド系抗生物質には粘膜を保護し修復する作用があるため、アレルギーを基礎疾患に持つ場合の治療法としても有効性が認められています。
更に、治療は抗菌だけでなく、ムコダインなどの去痰・排膿薬が用いられます。ムコダインは膿の排出を助け、荒れた副鼻腔内の粘膜を修復する作用があります。
他に、鼻水の吸引とネブライザー療法で鼻腔の保湿と抗菌薬の吸入、排膿洗浄や穿刺洗浄(鼻腔と上顎洞の間にある薄い壁に針を刺し、膿の吸引後は内部を水で洗浄し抗菌薬を上顎洞内に噴霧)や、手術(抗生物質の長期投与で効果がない場合や他の対処を用いても繰り返し再発してしまう場合)があります。
蓄膿症の再発・悪化を防ぐ対応
蓄膿症は、手術を受けた場合でも粘膜の切除や切開で術後に傷が残り、その部分が肥厚して自然孔の通り道が狭くなり再び膿が溜まりやすくなることがあります。そのため、必ずしも手術を受ければ完治するとは言い切れません。
また、薬物療法だけでも日常生活に支障がない程度まで回復させることができますが、薬を中止すると再発する場合があります。
そして、抗生物質の長期間投与は腸内の常在菌も殺してしまうため長期投与の継続ができない場合があります。このことから再発を繰り返し悩まされるケースがあります。
ただ、有効な漢方薬によって良好な状態を維持できる方法もあります。注目されている有効成分の一つに、ナタ豆等に含まれるカナバニンがあります。
カナバニンには優れた排膿作用と抗炎症作用があることが解明されています。従って、蓄膿症の再発を防ぐには、発症の原因や症状についてよく理解し、日頃から予防と早期対応の実施が重要です。
また、抗生物質だけでなく漢方薬の併用などで自分に適した治療法を実施し、症状をコントロールして悪化を防止していくことが必要です。
まとめ
蓄膿症で咳がでるって意外ですね!
蓄膿症とは
症状は鼻から喉まで及びます
咳の長期化は蓄膿症の疑い?!
治療の主流は抗菌と排膿
蓄膿症の再発・悪化を防ぐ対応