“ 大腿骨頚部 骨折 ”は聞きなれない名前ですが、高齢者に多い怪我のひとつといわれています。もちろん、高齢者だけでなく若い方にもみられる怪我です。
年齢や重症度によって怪我の発生原因や治療法など異なる部分の多い怪我のため、詳しく知っておくことが重要になります。
大腿骨頚部骨折は身近な怪我である!
大腿骨頚部とは身体のどこ?
大腿骨頚部とは、大腿骨の頚部のことを指しています。大腿骨は、身体のなかでいうと太ももの骨になります。大腿骨での頚部は、太ももの骨と股関節の間を繋ぐ部分の骨をまとめた呼び方になります。
大腿骨頚部骨折の特徴
大腿骨頚部骨折は特に女性に多く生じる怪我です。年齢別にみると、若年層から高齢者まで幅広くみられていますが、若い方では、交通事故や転落、スポーツ中などの強い衝撃によって骨折するといわれています。
高齢者では、椅子からの転倒やしりもちなどの軽度な衝撃でも骨折がおこりやすいといわれています。
骨折した場合には、腫れはさほど見られませんが、歩くたびに激痛が走るなど、痛みをもって気づくことになります。激痛によって歩行はほとんどの場合は不可能といわれており、救急車で運ばれることもあるようです。
怪我の診断方法
大腿骨頚部骨折が疑われる場合には、単純X線やCTでの確認が必要です。費用や検査の手軽さからすると、単純X線がおすすめといわれており、これで骨折線が見られない場合にはCTでの確認が効果的になるといわれています。
骨折した際の治療方法
大腿骨頚部を骨折してしまった場合には、基本的には手術療法がとられます。股関節の人工関節を組み込むか、ピンで骨折部分を固定する術法が採用されます。
大腿の頚部は血流が少ない部分でもあるので、骨折してしまうと治癒しにくいといわれています。
特に高齢者の場合では血流のある部分でさえも若い人と比べると治癒にかかる時間は多くなります。そこで、高齢者の方や骨折の部分が大きい場合などは、人工関節置換術をおこなうことで、少しでもはやい完治を見込むことができるといわれています。
骨折の転移の少ない場合には金属製のピンで固定をおこないます。もし、ピンでは固定する力が足りないような場合には、プレートやガンマ形髄内釘を使い分けて固定します。
なぜ、手術療法が基本的に適応されるかというと、大腿骨頚部は血行が乏しい部位になります。血行が乏しいと、怪我の治癒に時間がかかるだけでなく、きちんと処置を施さなければ血行不良に陥りやすく、骨が壊死してしまう可能性が高くなるためです。
さらに、骨折した部位を手術することにより、術後早期より荷重歩行が可能になるため肺炎にかかる確率を減らすことができるのです。
どの術法が適するかは個人の状態や、怪我の重症度、部位などの違いによって決められますので、お医者さんとご相談することをおすすめします。
大腿骨頚部骨折の術後の注意
高齢者の場合は、大腿骨頚部骨折の術後1年以内に死亡する確率もあります。その原因とは、骨折をすると、歩行が困難になるため、寝たきりの状態になります。動くことが少なくなってしまう分、心肺機能の低下や感染症への抵抗力が低下してしまうといわれています。
さらに、肺炎にかかる可能性も高くなるのです。以上に述べた死亡例は10%以下とは言われていますが、少ない可能性ではありません。これらの確率を少しでも少なくするためにも、術後早期から歩行訓練が可能になる人工関節置換術がすすめられているのです。
きちんと病院での検査、診断を受けた時点で自分がどのくらい重症なのか、また最適な治療法を知るうえで、どの手術を受けるかを決めることが大切です。
まとめ
大腿骨頚部骨折は身近な怪我である!
大腿骨頚部とは身体のどこ?
大腿骨頚部骨折の特徴
怪我の診断方法
骨折した際の治療方法
大腿骨頚部骨折の術後の注意