大腿骨は股間から膝までの太股の骨です。重い上半身を支えている大腿骨は他の骨よりも強い構造でできているため、めったに折れることはありません。ただし交通事故などで強い衝撃が加わった場合や、骨密度の少なくなった高齢者においては 大腿骨骨折 をおこす危険性が高くなります。
高齢者に多い大腿骨骨折を予防する
大腿骨骨折の種類
大腿骨の骨折は「大腿骨頸部骨折」、「大腿骨転子部骨折」、「大腿骨転子下骨折」の3つの種類に分けられます。
大腿骨頸部骨折は大腿骨が骨盤につながる部分である股関節内側の骨折です。
大腿骨転子部は頸部の少し下、大腿骨転子下はさらにその下の骨です。
転子部骨折と転子下骨折は股関節を包み込む膜の外側で起こる骨折です。
どの骨折の場合も直後から激しい痛みと腫れがおこり、立ち上がることも歩くこともできないことがほとんどです。
頸部は血流が乏しいため治りが悪く治療が長引きます。転子部と転子下は関節包外にあり血管の分布が豊富なので頸部と比較すると比較的治りが早いですが疼痛が大きくなる傾向があります。
大腿骨骨折の要因
上半身を支えるための大腿骨は強い構造でできているため、多少の衝撃で骨折をすることはあまりありません。若い人の場合は高所からの転落や交通事故などにより、股関節に激しい衝撃があった時に大腿骨を骨折をしてしまいます。
しかし高齢者の場合は骨がもろくなっているため、少しの衝撃でも大腿骨を骨折をする危険性が高くなります。高齢者は運動能力が低下して転びやすくなっていますし、閉経後の女性は骨密度が減少していますので特に注意が必要です。
寝たきりの高齢者の場合はおむつ交換等の些細な動作でも骨折をおこしてしまうこともあります。
大腿骨骨折の治療法
大腿骨骨折では大部分の場合手術で治療をおこないます。大腿骨を骨折すると、ある程度回復するまでは歩けなくなります。
高齢者の場合は大腿骨骨折をきっかけに寝たきりになってしまう方も多くいますので、手術によりなるべく早く歩けるようにすることが望ましいと考えられています。
手術の方法として、頸部骨折の場合「骨接合術」、「人工骨頭置換術」の2種類があります。
骨接合術は骨を器具で固定して折れた部分を接合する手術です。人工骨頭置換術は骨折した頚部から骨頭までを切除し、人工物に置き換える手術です。転子部骨折の場合「骨接合術」が行われることが多いです。
手術以外の治療方法として、骨のずれ幅が少なく比較的若い人の場合は骨が自然と接合するのを待つ保存的治療を行うこともあります。
ただし大腿骨はギブスで固められる場所ではないために手や足首などと比べて長い期間を要します。
大腿骨骨折の後遺症
若い人の場合は後遺症はほとんど残りませんが、高齢者の場合は日常生活動作の低下がおこる可能性が高くなります。長期間歩かずに過ごすと筋肉、骨、関節、心臓、肺などの働きが衰えます。
筋力低下による歩行困難や関節がスムーズに動かせなくなったり、骨粗鬆症の進行や肺炎や気管支炎をおこすこともあります。
手術後はその部位をかばう癖が体に染みついてしまい、それが原因で別の関節の変形や痛みなどを起こすこともあります。正しい動きをリハビリでしっかりと身に着けることも大切です。
大腿骨骨折の予防法
突発的な交通事故などを防ぐのは難しいですが、日常生活での転倒による骨折は防止するように心がけましょう。
特に高齢になると転びやすくなります。家庭内であればなるべくバリアフリーにしてつまずきによる転倒を減らしたり、手すりを付けて階段からの転落を防ぎます。
しかしいくら注意しても絶対に転ばないようにすることは出来ません。ウォーキングなどで体をできるだけ動かし、筋力を鍛えてバランス能力を高めることがも大切です。
バランス能力が高まると転びにくくなりますし、ウォーキングは筋肉も骨も強くし転んでも骨折しにくい体を作ることができます。
骨密度は年齢と共に減少していきますので、病院などで定期的に検査を行い必要であれば治療を受けましょう。
まとめ
高齢者に多い大腿骨骨折を予防する
大腿骨骨折の種類
大腿骨骨折の要因
大腿骨骨折の治療法
大腿骨骨折の後遺症
大腿骨骨折の予防法