皆さんは 大腿骨頭壊死 ときくと、一体どんな病気かと身構えてしまうのではないでしょうか。大腿骨の頭のほうが壊死するのかと想像しただけでも恐怖です。
しかしながら足を切断しなくてはならないなどということにはなりませんので、それほど肝を潰さなくても大丈夫です。
不治の病?大腿骨頭壊死とは
血の巡りが悪くなると発症?
大腿骨頭壊死とは、大腿骨頭への血流が最大限に悪くなってしまい大腿骨頭に陥没が生じます。そして股関節が機能障害を起こした状態です。大腿骨頭壊死症という重々しい病名ではありますが、手術などの治療で日常生活に支障をきたすことはまずありません。
治ったけれども痛みが残って思うように動けないということもないですし、心配しすぎると心身が疲れてしまうのでリラックスして治療を受けましょう。
あまり耳慣れない病名かもしれませんが、日本国内の年間新規患者数は約2,000~3,000人と少なくありません。
特に30代~50代の発症が多いようです。女性よりも男性のほうが2倍近い患者さんがいらっしゃいます。皆さんが最も気にされることの一つである遺伝との関連性は現在のところ解明されていません。
大腿骨頭壊死症のうち、明らかに原因とみられる基礎疾患がないものを「特発性大腿骨頭壊死症」とよんでいます。これをアルコール性、ステロイド性、狭義の特発性に分類しています。
他方、「症候性大腿骨頭壊死症」というものがあります。こちらは原因となる基礎疾患が認められるほうで、外傷や放射線照射、寒栓症などが壊死発生との因果関係があると考えられています。
歩くのがつらくなる
発症するとあっという間に大腿骨が変色して痛みが出てくるといった病気ではありません。初期の段階では、起き上がるときや歩行時に股関節に痛みを感じることから始まる患者さんが多いようです。
ほかにも腰痛や膝痛、坐骨神経痛、疼痛、臀部痛、大腿部前面部痛などを訴える患者さんもみられます。これらの症状がすべて大腿骨頭壊死の症状とは限りませんが、つらいことに違いはありません。
腰痛や膝痛は以前からの持病のようなものかもしれませんし、病院でみてもらっても大腿骨頭壊死であると確定診断されるまでに相当の時間がかかってしまうこともあります。
股関節を内側にひねると痛みがあり、動きに制限が生じていると訴えても確定診断には慎重な医師が多いようです。
痛みが生じるのは発症直後ではなく、骨頭壊死巣とよぶ部分の陥没が生じるまでは痛みはありません。血流障害による阻血くらいでは痛みを感じることがないのです。
それは身体の強さの証ですが、病院行きを決断するのが遅くなるのでありがたいことではありません。
股関節に異常が生じるとどのくらい大変か、日頃意識していないかもしれませんが痛みが続いたら何らかの病気を疑いましょう。
問診には正直に
大腿骨頭壊死の疑いが出てくると、医師からは実にさまざまな質問をされます。
過去に股関節脱臼骨折や大腿骨頸部骨折などの外傷歴がないか、アルコール多飲歴がないか、あるいはステロイドを大量使用したことがないかなども尋ねられます。
アルコールの多飲は叱られそうだし隠しておきたいと思うかもしれませんが、今は大腿骨頭壊死の問診ですので叱責を頂戴するようなことにはならないはずです。
またステロイドを大量使用したかどうかは重要です。全体の患者さんは男性のほうが多いのですが、ステロイド関連に限っては女性のほうが0.2%ほど上回るのです。これは一般的に女性のほうが小柄でステロイドの体内への浸透が多くなるためです。
人は病気やケガが治ると意外と自分が過去にどんな病気にかかったか大怪我をしたか、忘れることはよくあります。病院へ行く前にご家族に病歴を尋ねてメモを作っていくなどすると、親切です。
また潜函病(せんかんびょう)の発症可能性を高めるような職歴の有無も診断を左右します。潜函病になりやすいのは潜水士やスキューバダイビングのインストラクターなどです。
画像検査で正面と側面から股関節単純X線を撮っても異常がみられないことも多いですが、MRIや骨シンチグラム(放射性医薬品で病変をみつける)で異常が発見できることもあります。
まとめ
不治の病?大腿骨頭壊死とは
血の巡りが悪くなると発症?
歩くのがつらくなる
問診には正直に