皆さんは、手のひらにペンだこのようなものが出現したことはありませんか。お仕事によっては職業病だからみんな手はこんな感じだと気に留めないかもしれません。
しかし、手が動かせないほどの症状は デュピュイトラン拘縮 という病気の可能性があります。年をとればからだのあちこちにイボやコブができることもあると楽観しすぎてはなりません。
指が伸びない?デュピュイトラン拘縮になったら
手のひらにコブが生えてきた?
デュピュイトラン拘縮という病名に聞き覚えのない方も多くいらっしゃることでしょう。現在のところ原因が解明されていません。手のひらの皮ふの下にある膜が分厚くなり、思うように指を伸ばすことができなくなります。
年を重ねるごとに皮ふが硬くなってくるのは自然なことですが、一般的に指の伸縮に支障が出始めるのは早くても70代に入ってからです。デュピュイトラン拘縮の場合、指が曲がり始めたり突き指とは異なる痛みが生じます。
手のひらから指の付け根にしこりができて痛むのでとても気にせずにはいられません。コブのようなものが薬指や小指に多くみられます。片手より両手に発症するケースが多く、患者さんによっては足の裏にも発症します。
日常生活に支障があれば切除手術を受ける必要があります。生活に支障がなくとも外見的にお仕事などでマイナスになる恐れがある場合は、医師に相談すると良いでしょう。
お酒の飲みすぎも発症の遠因に
原因不明ですが、高齢の男性や糖尿病の患者さんに多くみられることから、アルコールとの関係が考えられています。お酒は薬ともいわれていますが、摂取しすぎてはただの毒です。
消毒に使われたり、度数の高いお酒を皮ふにこぼすと軽いやけどのような症状が出ることがあるほど危険なものです。手のひらにコブやしこりが出現するほど長年アルコールを摂取してきたかどうかは、ご自身がいちばんよくおわかりになることでしょう。
その他、腱膜への小外傷の繰り返しも原因の一つにあげられています。同じ箇所に何度もケガをするとそこだけ皮ふが弱まったり痕が残ったりします。アルコールで弱くなっている手の組織に繰り返しダメージを与えていたら、あるとき限界に達しても不思議ではありません。
また、抗てんかん薬の服用との関係も指摘されています。
早めに病院へ
初診は整形外科、形成外科、あるいは糖尿内科が良いでしょう。検査と診断は手の症状の観察が基本です。コブやしこり、指の変形などを診て手術するかどうか検討します。
手術の目安は、手のひらをテーブルにピッタリ付けることができるか否かを試します。どう頑張っても浮いてしまって、ピッタリ付かなくなった頃に手術の予定を話し合います。症状が進行しないようにする治療法は確立されていません。
遅きに失する感はありますが、アルコールや甘いものを控えるもしくは完全に断つと気休めくらいにはなり、痛みが軽減したと楽になる可能性はあります。
また手のひらがピッタリくっついても、第二関節が曲がってきた場合は早めに手術するケースもあります。いつ手術になっても良いように心の準備をしておきましょう。
手術は主に、病原となっている腱膜の切除を行います。全て切除するか一部を切除するかは症状によります。症状が深刻なほど、手術はむずかしい内容になります。
心配される合併症は、皮ふの壊死、術後の指の知覚障がい、まれにCRPS(複合性局所疼痛症候群)を合併することがあります。無事に手術が成功したら、拘縮の程度によって1~3ヶ月ほどのリハビリが必須になります。
夜間伸展位固定(装具療法)などが普及しています。しばしば睡眠の妨げになると外してしまう患者さんがいらっしゃいますが、早く自由な身になりたければいっときの忍耐は不可欠です。
まとめ
指が伸びない?デュピュイトラン拘縮になったら
手のひらにコブが生えてきた?
お酒の飲みすぎも発症の遠因に
早めに病院へ