サイトカインというものを耳にしたことはあるでしょうか。病名なのかウイルスなのか想像がつかない方も多いことでしょう。サイトカインは健康なときは全く目立たない存在ですが、生まれてからずっと体内で働いています。
なかでも 炎症性 の サイトカイン が幅をきかせるようになると大変です。サイトカインはどこで何をしているのかご紹介いたします。
生命の一大事?炎症性のサイトカインとは?
タンパク質の伝達屋
サイトカインはタンパク質の一種であり、細胞から分泌されています。ほかの細胞に身体の情報を伝えるはたらきをしています。
はっきりと解明されてはいないのですが体内には数百種類のサイトカインが存在していて、一つのサイトカインが複数の情報を伝達することもあれば、二種類以上のサイトカインが同一情報を伝達することもあるようです。
要領が良いのか悪いのか、規則性があるのかないのかはよくわかっていません。みなさんは「炎症を起こしている」というとからだの表面の一部が腫れ上がったり、喉がガラガラしたり、かゆくて仕方がないような状態をイメージするのではないでしょうか。
炎症とは通常の身体活動に対してさまざまなウイルスや細菌の侵入・攻撃が行われていて、それらへの全身性あるいは局所的な反応のことを指します。自然にケガが治ったり、腹痛が嘔吐や下痢で治るのもこのはたらきのおかげです。
これだけなら良いのですが、病態形成に関与しているサイトカインを炎症性サイトカインとよんでいます。いつも身体の味方をしてくれるわけでもないのです。
細胞をコントロール?
炎症性サイトカインがたくさん分泌されると、お察しのとおり良い状況ではありません。滑膜細胞が増えて関節が赤く腫れ上がります。軟骨を溶かしてしまう酵素も出してきますし、おまけに骨を壊す破骨細胞までも活性化します。
このあと発症のリスクが高まる病気は、関節リウマチ、エイズ、免疫不全、神経変性疾患、劇症肝炎などです。体内の細胞は死んだり生まれたりを繰り返していますが、必要以上に細胞が死んでしまうとバランスが崩れて病気を引き起こします。
反対に、ガンや自己免疫疾患は死ぬべき細胞がいつまでも死なずにいるために起こる病気です。これは炎症性サイトカインが細胞の死を抑制するはたらきをしたためです。なぜサイトカイン自身がはたらいている身体を壊すようなはたらきを積極的に行うのでしょうか。
近年になり、サイトカインが細胞死を誘導つまりは細胞死の制御を行っていることがわかってきました。サイトカインの変貌は遺伝性のものを除けば、不規則で不健康な生活習慣が全く関係ないとはいいきれません。
外から悪い刺激を与え続けて、野菜や果物の味がイマイチになるようにサイトカインも炎症を起こさざるを得ない状況まで追いつめられたとも考えられます。
最強のサイトカイン
サイトカインのなかでも、生命制御分子TNF-a(tumor necrosis factor-a:腫瘍壊死因子)は、発見当初は腫瘍部位に出血性壊死を誘導する因子とされていました。しかし近年では、炎症を通し生命防御に広く関わるサイトカインとして認識されています。
TNFが過剰に持続的に産生されたり、身体において不適切な場所や時間に産生、TNFネットワークの破綻が起こります。するとさまざまな病気の原因となったり組織障害をもたらします。その典型例の病気の一つが慢性関節リウマチなのです。
また、TNF-aは肥満とも関係があることがわかっています。脂肪細胞や筋肉細胞において、インスリン受容体の作用を弱減させる力を持っているようです。筋肉脂肪組織、肝臓でのインスリン抵抗性増悪に影響を及ぼしていると考えられています。
食べても太らない、太りやすい体質の違いの一因はTNF-aのはたらきが関係しているのかもしれません。脂肪細胞の分化を抑制するはたらきもあるので、ダイエットには大敵となります。
TNF-aを増減させる研究はまだまだこれからで、病気の治療やダイエットなどの味方につけるにはかなりの時間を要します。それまでは従来の方法で治療を施したり、地道にダイエットに取り組むことにしましょう。
まとめ
生命の一大事?炎症性のサイトカインとは
タンパク質の伝達屋
細胞をコントロール?
最強のサイトカイン