人間の顔には、鼻腔と呼ばれる鼻の穴の他に、副鼻腔と言うのがあります。その副鼻腔が炎症を起こすことを副鼻腔炎と言います。副鼻腔炎に悩まされている人は少なくありません。副鼻腔が無ければ副鼻腔炎は起こりません。そもそも 副鼻腔 とは何であって、何の為にあるのでしょうか?
副鼻腔の役割と副鼻腔炎
副鼻腔とは何?
副鼻腔とは、鼻の周りにある骨の中の小さな空洞のことを言います。小さな空洞なのですが、左右対称に4ヶ所、合計8ヶ所あります。8ヶ所全てを合わせると顔全体の半分以上を占めます。
それぞれの場所によって「上顎洞(じょうがくどう)」、「篩骨洞(しこつどう)」、「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」、「前頭洞(ぜんとうどう)」と名称があり、鼻腔とつながっています。
副鼻腔の役割は、頭部全体を軽くするためと、衝撃吸収、発声の共鳴、異物混入の防止などさまざまです。またそれぞれの場所によって微妙な役割の違いもあります。
各副鼻腔の役割
上顎洞(じょうがくどう)は、副鼻腔の中で最も大きな空洞です。鼻の左右、頬のところにあります。もっとも大きな空洞ですので、頭部の軽量化に占める割合は大きく、声の通りを良くするための共鳴腔や、吸気への加湿・加温の役割があります。また副鼻腔炎の発症しやすい場所でもあります。
前頭洞(ぜんとうどう)は、左右の眉の上、額にあります。出生時には、膜状になっていたものが発達して、思春期の頃に副鼻腔として完成します。そのため個人差も大きく左右対称となることはほとんどありません。空気のろ過や免疫機能として重要な役割を果たしています。
両眼の間の鼻の奥に位置するのが蝶形骨(ちょうけいこつ)で、その内部を蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と言います。鼻腔内の乾燥を防ぐ役割があります。篩骨洞(しこつどう)は、目と目のあいだにある小さなハチの巣状の洞です。
副鼻腔は、他の動物にはあまり見られません。あってもごく小さなものです。生物本来の生命活動にとっては必要でないかも知れないという意見もあります。脳の発達した人間という生き物にとって、頭部の軽量化や衝撃吸収ということはやむをえない進化だったのかもしれません。
また副鼻腔の共鳴効果が、美しい声をお仕事にされる方へ大きく貢献していることも事実です。そして、顔の半分以上を占める副鼻腔が炎症を起こす、副鼻腔炎に悩まされている方も少なくありません。
副鼻腔炎発症の原因と症状
鼻腔とすべての副鼻腔は自然口と呼ばれる通気管でつながっています。風邪を引いたときなど、鼻腔から入った細菌が副鼻腔内で繁殖し、炎症が起こる場合があります。そのため副鼻腔内にはうみが溜まり、悪臭をともなうドロッとした鼻汁が出ることがあります。
炎症を起こした副鼻腔によって、頭痛や目の痛みをともなうこともあります。つまり最も副鼻腔炎の多いとされる上顎洞(じょうがくどう)の炎症の場合には頬骨のあたりが痛み、前頭洞(ぜんとうどう)や蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の炎症の場合には頭痛がします。
また篩骨洞(しこつどう)の炎症においては目の痛みをともないます。
風邪やインフルエンザ菌などの感染による発症が多いのですが、まれに飛行機やエレベーターなどによる急激な気圧変化や、外傷による発症事例もあります。気圧変化による副鼻腔炎を気圧性副鼻腔炎と言います。
副鼻腔炎は左右共に発症することは少なく、発熱をともなうこともほぼありません。炎症が慢性化すると慢性副鼻腔炎と言います。さらに炎症がすすむと眼や脳に影響をおよぼし、視覚障害や意識障害などを引き起こしてしまいますので、早めの治療を施すことは大切です。
風邪を引いた後、いつまでも鼻水がぐずぐずいっているときなどは副鼻腔炎発症の可能性が高いので、しっかりと鼻をかみ、充分な休養をとり、免疫力を高める食事をとりましょう。それでも治まらないようなら、病院を受診しましょう。
まとめ
副鼻腔の役割と副鼻腔炎
副鼻腔とは何?
各副鼻腔の役割
副鼻腔炎発症の原因と症状