副鼻腔炎 (蓄膿症)は花粉症のようなものだから、薬を飲んだりして一生付き合っていくものだ、と思っている方もいらっしゃることでしょう。そのため病院へ行くという選択肢が出てこないこともあるかもしれませんが、 手術 をすれば完治も可能です。
つらい症状から開放されるに越したことはありませんから、まずは病院へ相談に訪れてみてはいかがでしょうか。
副鼻腔炎の手術はカンタンに終わって帰れる?
単純な副鼻腔炎の悪化
物心ついた頃から副鼻腔炎(蓄膿症)気味で、身内にも同じようなひとがおり特に気にせず平穏に生涯を全うされる方もいらっしゃるでしょうが、そうはいかないこともあります。
副鼻腔炎が悪化したな、鼻の調子が悪いなと実感すると最初に市販の鼻薬を試してみて効果がなく、ますます悪化してくると鼻にポリープができてしまうことがあります。
ポリープを細長いものでつついて何とかしてみようとするのは、細菌が侵入したり化膿の原因になりますので止めておきましょう。ポリープができてから来院すると早速手術を勧められます。鼻を大きく切開してしばらく入院が必要だったのは今は昔の話です。
昨今は内視鏡を使った日帰り手術が一般的になっています。最もポピュラーな内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は患者さんの容態によりますが、局所麻酔あるいは全身麻酔をかけて鼻の穴から内視鏡を入れます。ポリープや細菌性粘膜を除去してキレイにします。
副鼻腔と鼻腔の空間が広がると鼻の自然治癒力がよみがえります。患者さんによっては1週間ほどの入院が必要になりますが、それで鼻通りが良くなるのであれば惜しむほどではないはずです。
少々むずかしい症状の場合
副鼻腔炎の症状をむずかしくしている原因が鼻の構造にある場合は、手術も難易度が上がります。ポリープを除去したのに副鼻腔炎が治らない場合は医師の怠慢です。
最初の診察の時点で、例えば鼻中隔(鼻の中を左右に分けている壁)がかなり極端に曲がっている、アレルギーなどにより粘膜が肥厚している状態が続き副鼻腔と鼻腔の空間が狭くなった、鼻の骨の形が悪いなどと判断できていれば、内視鏡下鼻内整復術が妥当です。骨の構造を改善するのですから、ESSよりも手術時間は長めになります。
①鼻内の骨や軟骨を覆う粘膜を切開します。詳細な状態は切開するまでわかりません。②曲がった部分の骨を除去します。③切開部を縫合して終了です。鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術などがあります。
もう一つ、鼻の上部の炎症によるものがあります。鼻の上の部分(額の裏)にある前頭洞も副鼻腔の一部です。この部分が炎症すると頭痛や眼痛などの症状が出ることがあります。症状は出ないこともあり、鼻腔に異常がみられなければ見落とされることも珍しくないので、場合によっては病院を変えて診察してもらうとよいでしょう。
拡大前頭洞手術は内視鏡を使用して鼻の中~前頭洞の通り道を拡大する手術です。耳鼻科には経験豊富な医師からほとんど手術をしていない医師までさまざまいらっしゃいますので、よく調べてから病院を選びましょう。
術後の日常生活
手術方法はいろいろありますが、内視鏡手術の術後の経過はほとんど同様です。最もつらいのは入浴が手術当日~1週間ほど、飲酒が2週間ほど禁止であることでしょう。少し守らなくても運良く大丈夫だった場合は良いですが、何か容態の急変があると医師に叱られます。
基本的には安静に過ごすべきで、術後2、3日は出血もありますし止血用にガーゼを詰めている場合はガーゼを抜いた日もできる限り安静にしていましょう。鼻の内側に痛みや腫れが出るのは経過が順調な証拠です。
入浴できるようになってもしばらく(半月くらい)はぬるめの湯船で我慢しましょう。重労働やスポーツも御法度です。病人のつもりで静かに、鼻をかむときも片方ずつそっと静かにかみましょう。1~2週間は鼻の清掃治療と経過観察に通院が必要です。
まとめ
副鼻腔炎の手術はカンタンに終わって帰れる?
単純な副鼻腔炎の悪化
少々むずかしい症状の場合
術後の日常生活