副鼻腔炎とは、鼻の穴から入ったウイルスや細菌により、鼻腔内が炎症をおこし、副鼻腔といわれる場所に膿(うみ)が溜まることを言います。さまざまな症状を引き起こすことのある 副鼻腔炎 ですが、そのひとつに 頭痛 があります。副鼻腔炎と頭痛との関係についてご案内します。
副鼻腔炎による頭痛と片頭痛との関係
風邪による頭痛と副鼻腔炎との関係
副鼻腔炎による頭痛の特徴としてあげられるのは、鼻水鼻づまりを併発することです。この場合風邪と混同してしまいがちですが、副鼻腔炎そのものを引き起こす原因が、風邪やインフルエンザウイルスの残留による炎症ですから、明確な線引きはむずかしいところです。
ただ、風邪の場合には発熱がありますので、発熱が治まったあとも頭痛と鼻水鼻づまりが続くようでしたら、副鼻腔炎と思って間違いありません。
副鼻腔炎による頭痛、あるいは顔面痛
人間の頭部には、左右対称に8つの副鼻腔があります。鼻の左右にあるもっとも大きな副鼻腔を上顎洞(じょうがくどう)と言います。炎症のもっとも起こりやすい副鼻腔です。頬骨のあたりが痛む、いわゆる顔面痛の場合には、この上顎洞の炎症の可能性があります。
また左右の目の上、額の下あたりにある副鼻腔を前頭洞(ぜんとうどう)と言います。前頭洞は、出生からの成長と共に大きくなっていく副鼻腔で、個人差の大きい副鼻腔です。ですから、前頭洞に炎症を起こす方と、まったく起こさない方とはっきりと分かれます。
両目のあいだ、鼻の奥には蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)があります。この蝶形骨洞の炎症と、前頭洞の炎症による痛みは、場所的に顔面痛というよりは、頭痛と呼んだほうが適切でしょう。
また、目が痛む場合には、篩骨洞(しこつどう)という小さな副鼻腔の炎症の可能性があります。篩骨洞の炎症の場合には、失明の危険性もありますので、早急な対処が必要です。
これらの痛みは、片頭痛の症状と間違われることもあります。頭痛、顔面痛は広範囲にわたり、原因を他に求めることもありますが、鼻水鼻づまりを併発し、発熱がなければ、副鼻腔炎による頭痛です。そして痛む場所の、それぞれの副鼻腔に炎症が起きているということになります。
副鼻腔炎と片頭痛
片頭痛の方は副鼻腔炎になりやすいという説があります。あるいは片頭痛の方が副鼻腔炎を発症すると、負の連鎖で症状がひどくなりやすいと言います。
というのは、片頭痛は三叉神経が刺激されることによって発症し、副鼻腔炎は鼻粘膜の炎症によって、その三叉神経の末端を刺激してしまうからです。特に炎症が上顎洞や前頭洞の場合に、その傾向は多いようです。
副鼻腔炎による頭痛の治療
頭痛の原因が、副鼻腔炎であることが明白の場合には、副鼻腔炎の治療を施すことになります。その場合、もっともひどいと思われる症状を緩和させることから始めなければなりません。
多くの場合、点鼻薬の投与により鼻づまりを抑え、安静にすることで頭痛を解消しようとします。そして症状が軽くなると安心してしまい、また無警戒な日常へと戻ってしまうのが普通です。
そうしているうちに、一時的な急性の副鼻腔炎だったはずが、慢性副鼻腔炎へ変わってしまうというケースが多いのです。初期の段階で専門医を訪ね、丁寧な治療をされることが望ましいでしょう。
医師の処方による抗生剤、あるいは消炎酵素剤による殺菌や消炎による治療が一般的です。また薬で回復しない場合には内視鏡による手術をするばあいもあります。
片頭痛と副鼻腔炎との併発に対しては、さらに慎重な対応が望まれます。片頭痛と副鼻腔炎の両方に効果のあるプランカスト水和物、あるいはモンテルカストナトリウムの服用、さらに鼻の粘膜を再生させるためのマクロライド系の抗生物質の服用も効果的とされています。
片頭痛の方は、常備薬をお持ちの場合が多いので、薬物が過多になり、かえって自己免疫力の弱体化につながりかねません。副鼻腔炎を併発してしまった場合には、速やかに担当医に相談されることをお勧めします。
まとめ
副鼻腔炎による頭痛と片頭痛との関係
風邪による頭痛と副鼻腔炎との関係
副鼻腔炎による頭痛、あるいは顔面痛
副鼻腔炎と片頭痛
副鼻腔炎による頭痛の治療