太ももの痛み に悩んでいる皆さんは、筋肉痛だと思っていらっしゃるかもしれませんが、もしかしたら 病気 の可能性もあります。太ももが病気になるイメージは湧きにくいかもしれません。
それでも、太ももに脂肪が付きすぎて重みで痛みを感じるのだと決めてかからずに、病院へ行ってみると良いでしょう。
太ももの痛みは病気のサイン?
痛むのは肉ではなく神経?
足は第二の心臓と呼ばれるほど、生きていく上で大切な働きをしています。もともと歩くことができた方が、歩けなくなった途端に生きる気力を失ってしまうのはよくある自己否定行動です。足の根元である太ももには、太い血管や神経、リンパ管などがすみずみまで張り巡らされています。
太ももは単なる肉の塊ではないのです。「大腿神経痛」は、太ももの表面(前面)と横面(側面)に痛みやしびれを感じます。腰部から太ももの前方と側面に広がっている大腿神経の不調によって神経痛が起こります。
患者さんによっては太ももの付け根や膝のほうまで痛みが広がります。仰向けで休んでいると自然と足が開いてしまうという症状がありますが、ふだんから足を閉じる習慣のない方はなかなか自覚するのがむずかしいかもしれません。
もう一つ、「坐骨神経痛」は、まず腰痛を発症します。坐骨神経は腰周辺から太ももの裏を通って足まで伸びています。そのため神経回路の伝達によって太ももの裏側に痛みを感じたり、足がしびれたりします。
タバコのせいで足を切る?
タバコがからだに悪いことは皆さん承知の上と思われますが、まさか自分が今日明日ガンになったり、入院して足を切るリスクがあると覚悟しながら喫煙されている方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
「バージャー病」というタバコ以外に原因はないといっても過言ではない病気があります。患者さんのほとんどは男性で、30代を中心に20~50代が発症しています。
日本では難病指定(特定疾患治療研究対象疾患)となっており、国から治療費などの補助が受けられますが、原因が原因だけにやや肩身が狭いかもしれません。患者さんの90%以上が喫煙者であり、受動喫煙を含めるとほぼ100%喫煙と関係していることが解明されています。
症状は軽度のときは、下肢のしびれや冷感、レイノー症状(冷たいものに触れると手指が蒼白になる)などがあります。進行すると安静にしていても痛みが続き、そのうち潰瘍を生じて最後は壊死に至ります。
命の危険はありませんが、壊死した四肢を切断することがあります。いうまでもなく、治療に禁煙は必須です。
肥満は万病の元
肥満でからだに良いことは一つもありません。「下肢静脈瘤」は、静脈の弁が壊れることにより血液が逆流してしまい、足の下のほうに血液が溜まって静脈がコブのように膨らんでいる状態です。むくみなどとは明らかに様相が異なります。
症状は、足の痛み、かゆみ、だるさ、疲れやすい、足が熱っぽい、足の血管が浮き出てみえる、皮ふの黒変色、浮腫、こむら返りの頻発などがみられます。
原因はいろいろありますが、多いのは肥満と加齢です。肥満の方が元気で体力のあるうちは何とか静脈の弁も耐えられている状態ですが、年を重ねて発症リスクが上昇すると考えられます。
次いで、遺伝や妊娠、長時間の立ち仕事、運動不足です。遺伝は体質ですから予防は困難ですが、妊婦さんや運動不足の方はからだを動かすことである程度の予防が期待できます。
静脈の弁が一度壊れるとクセがついてしまってなかなか治りにくく、意を決して手術をしても完治しないことがあります。
しかし、早めに治療すれば予後は大変良好なケースが多いですから、ダイエットしなさいといわれるだけだと敬遠せずに、太ももに違和感を覚えたら直ちに病院へ行き、診察してもらうことをお勧めします。
まとめ
太ももの痛みは病気のサイン?
痛むのは肉ではなく神経?
タバコのせいで足を切る?
肥満は万病の元