“ ガングリオン ”という言葉をご存じでしょうか?ギリシャ語で「できもの」という意味です。この「できもの」は身体の関節にでき、特に 手首 に一番発生します。小さいものでは米粒ほどで、大きいものは直径3cmぐらいになります。
比較的柔らかな腫瘤ですが、人によっては硬くなって骨がでてきたのかと思う場合もあります。大きくなると周りの神経を圧迫して痛みがでてきます。そのため、容姿や生活面に支障をきたします。そこで、“ガングリオン”についての知識と対処法を押さえておきましょう。
手首に発生しやすい“ガングリオン”の知識と対処法!
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「できもの」は嚢胞(瘤)で良性腫瘍です!
まず、「できもの」に気づいた時は整形外科を受診して、悪性腫瘍か良性腫瘍かを診断してもらうことが大事です。MRIで小さいものは発見されます。大きいものは注射針で吸引しゼリー状のものがでてきたらガングリオンと確定診断されます。
ガングリオンは良性腫瘍でゼリー状の液体が詰まった嚢胞(瘤)です。成分は、ヒアルロンサン・脂肪・粘液・軟骨・繊維などで成分比率は人によって違います。そのため、嚢胞の大きさや硬さに個人差がでてきます。
嚢胞の構造と発生部位
嚢胞は、そのほとんどが関節包とガングリオンの袋が茎状のもので繋がっています。関節液や腱鞘の滑液(潤滑油の働き)などがガングリオンの袋に送られ、貯留した液が濃縮されてゼリー状になることから貯留液が変性融合してできたと考えられています。
発生部位は、手関節(手首)の背側(甲側)と掌側の母指の付け根付近が多いです。手首以外にも身体の首、膝、足首など至る所にできます。また、関節だけでなく骨、筋肉、神経にできるものもあります。
発生原因がはっきりしていない
原因は手首などの関節を酷使した場合にできやすいという説もありますが、酷使していない場合でも発生します。関節包や腱鞘の変形が関係していると言われています。発生の形態は突然発生する場合と徐々に進行する場合もあります。
性差では女性が男性の3倍ぐらいで、特に若い女性(10代~20代)に多いと言われています。しかし、なぜ、女性が多いのかも含めて未だに発生原因が究明されていません。
症状は通常無症状、神経圧迫でしびれ・痛み・運動麻痺が出現、自然治癒もあり
関節の周辺や腱鞘のある場所から腫瘤ができますが、通常無症状であることが多いです。ただ、特に若い女性(10代~20代)にとって、腫瘤が増大し目立つようになると人目を気にして悩みになります。
そして、腫瘤の増大及び神経付近の発生は神経を圧迫してしびれ・痛み・運動麻痺を生じてくることがあります。また、手を使いすぎたり気になって頻回に触ったりすると、嚢胞が増大することがあります。ただ、時間の経過とともに消滅し自然治癒する場合もあります。
治療は経過観察・穿刺・手術・レーザーがある
整形外科でガングリオンと診断されると、良性腫瘍であり自然治癒することがあるため診断だけで終了となる場合があります。腫瘤が大きい場合は注射針で内容物を吸引し経過を診ます。患部の改善が難しい場合は手術によってガングリオンを袋及び茎ごと切除することになります。
ただ、吸引しても手術しても再発する場合があり、手首に手術の傷跡が残ることからよほど酷いものでなければ手術は実施されません。
それで、最近では低出力半導体レーザー治療があります。患部にレーザーをあててガングリオンを除去します。3~4回施行されるので1~2か月の通院が必要ですが、治療時の痛みはなく痕も残りません。
しかも穿刺治療より再発の確率は低いと言われていますので、今後治療の主流になる可能性があります。
治療後の対処とガングリオンとの付き合い方
特に穿刺治療では、注射針で吸引した直後は内容物が除去され腫瘤がなくなりますが、袋が残っているので関節液が送り込まれると再び風船のように膨らみます。それを防止するため、穿刺治療の直後から1~2週間は包帯を巻いて圧迫することで再発の確率を低くすることができます。
基本的に、ガングリオンは原因不明ですが、怖いものではありません。再発することもありすぐに治るものではありませんが、腫瘤がそれほど大きくなく痛みが酷くなければ、経過観察しながら気長に付き合っていくというのも1つの方法と言えます。
まとめ
手首に発生しやすい“ガングリオン”の知識と対処法!
「できもの」は嚢胞(瘤)で良性腫瘍です!
嚢胞の構造と発生部位
発生原因がはっきりしていない
症状は通常無症状、神経圧迫でしびれ・痛み・運動麻痺が出現、自然治癒もあり
治療は経過観察・穿刺・手術・レーザーがある
治療後の対処とガングリオンとの付き合い方