「足」とついていても足以外の病気のこともありますが、 鵞足炎 は足の炎症です。耳覚えがなく、初めて聞いたという方も多いことでしょう。
名称から炎症の部位や症状をイメージできないこの「鵞足炎」について、初めての基礎知識を頭の片隅に入れてください。
鵞足炎って足の病気?
ガソクの位置
まず、ガソクエンと読みます。膝周辺の炎症です。膝の内側には、半腱様筋(はんけんようきん)、縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はくきん)という3つの腱が集まっていて、この部分を後ろからみると(肉眼ではみえません)ガチョウの足のような形状をしていることから「ガソク」とよんでいます。
内転筋やハムストリング(太ももの裏の筋肉)などの筋肉につながっているので、痛めると大変なことは想像できると思われます。炎症のはじまりは、膝の曲げ伸ばしです。主として走りながら方向転換をするときが要注意です。
外反動作(膝が内側に入る)や外旋(膝から下を外側にひねる動作)をしたときに、腱同士がこすれたり、鵞足部分の骨と腱がこすれることがあり炎症を起こしやすくなります。
鵞足炎を発症しやすいのはキビキビ動くスポーツを頑張っているみなさんです。特にランニング、サッカー、バスケ、野球、水泳、ラグビーなどはどうしても繰り返しの動作が多く負担になります。
膝を使わない生活は可能か
初期症状は、膝の内側から膝下にかけて痛むことに気づきます。スポーツをされている方であればすぐに「筋を変なふうに痛めたかな」と思う部分です。
運動中や膝の曲げ伸ばしを行ったとき、患部を指で押したとき、ストレッチでハムストリングを伸ばしたときなどに痛みます。
また、背伸びをするなど膝をめいっぱい伸ばしたときや階段の上り下り(下りのほうがつらいというケースが多い)で痛みが起こりやすくおっかなびっくりになります。
初期の段階では膝を動かしたときにのみ痛みを感じますが、徐々に悪化すると安静にじっとしていても痛むようになりふだんの生活にも支障が出てきます。安静にしているとほかのことで気を紛らわすこともむずかしくなりますので、ダイレクトに痛みを感じやすくなるということもあります。
病気ではなく炎症ですから、これをこうすれば治るという特効薬がないのがまたつらいところです。
膝をできるだけ刺激から守るように生活していても、いつかは膝を使うことになるのですから、筋肉の衰え切った膝をいきなり動かしたら人によっては立っているのもやっとの状態を招いてしまいます。
すぐに治るものではない
病院は整形外科や形成外科、スポーツ整形外科などで診てもらいましょう。病院が嫌いでも先に整体院へ行くことはお勧めしません。治療や施術内容に大差がなかったとしても、整体院の先生は医師ではありません。このことのリスクは常に念頭に置いてください。
病院ではアイシング、テーピング、ステロイド注射、サポーター、湿布、痛み止めなどいろいろと提案されます。健康を考慮するとまずはアイシング、テーピング、サポーターで経過をみることになります。
明日明後日に大会があるからひとまず痛みをとりたいという場合はステロイド注射をお願いしてみましょう。何度も接種すると回を追うごとに効果が薄れますから、ここ一番というときにのみにしておいたほうが良いです。
気休めに湿布や痛み止めを処方してもらうのも、依存性気味にならないように自戒する必要があります。ご自身やご家族にしてもらえるマッサージの方法を教えてくださる医師もいらっしゃいますが、痛み止めの減薬を勧める医師は滅多にいません。
治療を1ヶ月以上受けて少しも改善しなかったり、減薬を申し出て信頼してよいものかというような態度の医師であれば、病院を変えたほうが良いでしょう。
まとめ
鵞足炎って足の病気?
ガソクの位置
膝を使わない生活は可能か
すぐに治るものではない