ぎっくり腰は、罹患したことのない人にとっては、その呼び名からそんなに重くない軽症の腰痛と思うのではないでしょうか。ところが、この病気は誰にでも起こる可能性があり、ある日、突然の腰痛に始まりその痛みは驚くほど強く、思うような体動ができなくなってしまうのです。
そして、完治するまでには程度にもよりますが最低1週間、人によっては2~3週間の 期間 を要します。つまり、 ぎっくり腰 は侮れない腰痛なのです。
侮れない!ぎっくり腰が治るまでの期間は3週間!!
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“ギクッ”の後はまさかの重症?!
ぎっくり腰は、ドイツでは“魔女の一突”と言われています。腰部に突然“ギクッ”とか“ズキッ”と電気が走ったような激痛が起こります。強烈な痛みでそのままの体勢で動けなくなり、日常生活に大きく支障をきたします。
直前まで何事もなかったのに、いつもの動作で発症することから全く思い当たることがない時があります。そして、まさかこの一瞬で長い期間の療養が必要になるとは思いもしません。このことから、魔女の仕業のように例えられるのかもしれません。
正式名称と発症のメカニズム
正式名称は“急性腰椎症”で、腰部の捻挫とも言われています。骨と骨を繋ぐ関節の周辺部(靭帯や軟部組織)を損傷した状態です。慢性腰痛とは異なり、瞬時または短時間の内に非常に強い腰痛になるのが特徴です。
原因は腰部を酷使した時だけでなく、ちょっとした動作(荷物を持ち上げた時、前かがみになった時、くしゃみをした時など)がきっかけで起こることが多くあります。この現象は、腰部を支える機能が低下していることを示しています。
腰部を支える機能が低下する原因
原因は4つあげられます。生活習慣、スポーツ、精神的ストレス、病気によるものです。
生活習慣では、座り仕事や立ち仕事など同一姿勢が長く持続する場合に筋肉に負担がかかり、筋肉の疲労と血行不良で起こります。
スポーツでは、運動後の疲労の残り方によって筋肉の機能がアンバランスになり腰に負担をかけてしまうことで起こります。
精神的ストレスでは、仕事のプレッシャーや緊張感によって身体の各筋肉が硬くなり、血流が滞って腰部の筋肉機能が低下し発症する場合があります。
病気では、脊椎の問題(転移性骨腫瘍、椎体骨折など)や内臓疾患(急性膵炎、腎盂腎炎など)、心因性からの腰痛でも起こる場合があります。
従って、重大な病気と鑑別するために、腰痛の増強や回復の遅延、何度も繰り返すような場合は、早めに整形外科や内科に受診し隠れている疾患を突きとめることが必要です。
痛みが軽度なら体動可能だが無理は禁物!
痛みの部位としては、背骨付近や背骨を中心に左右どちらかの背筋及び殿筋、骨盤付近などです。痛みの程度は、椎骨、骨盤などの骨や椎間板、関節、靭帯、筋肉などでどの部位がどの程度損傷したかによってさまざまです。
痛みが強い場合は寝返りが打てない、起き上がれないなどで2~3日トイレにも行けない状態です。痛みが軽い場合は、ゆっくりとした日常生活動作ができます。
更に、腰痛ベルトやコルセットを装着することで腰部を保護し、痛みの軽減と腰部を支える機能を補完するので体動しやすくなります。しかし、完治するまでには期間がかかるので無理は禁物です。気長に療養することが完治への近道です。
経過(急性期、回復期)を捉えた治療法の選択
急性期(痛みのある期間)の薬物療法は、痛みが酷い場合は消炎鎮痛薬を1週間ぐらい(痛みがなくなるまで)服用した方がよいです。軽い場合は2~3日ぐらいです。痛みがなくなったら服用は止めましょう。
動けない時期は、できるだけ横になって2~3日間安静にし筋肉への負担を避けるようにします。そして、回復期(痛みが軽減し、少しずつ動けるようになったら)は、ゆっくり体を動かして筋肉をほぐしていくと血行がよくなり、損傷部位の修復が促進されます。
その時には前述したように腰痛ベルトやコルセットを装着すると楽に動けます。ただし、寝る時や何も作業をしない時は外すようにしましょう。ベルトやコルセットを装着することは筋肉を使わない状態にするので、必要以上の装着は筋力を弱めてしまう可能性があります。
また、湿布については、急性期は冷湿布、回復期は温湿布をします。急性期は炎症を起こしていますので消炎させるため冷湿布が推奨されますが、ずっと冷やしていると回復の妨げになります。回復期は温湿布で温めて血行を良くしていくことが有効です。
予防の基本は硬い筋肉をほぐすこと
定期的に筋肉をほぐすことは、筋肉を常にいい状態に保つことになり予防として効果があります。週2~3回ぐらい無理のない程度にストレッチやウォーキングをすることや、背筋と腹筋の両者を鍛える筋トレも有効です。
寝具(マットレス)も自分に合ったものを使用することで、腰部への負担が軽減されます。また、カイロプラクティス、整体、鍼灸も予防の選択肢となります。
いずれにしても、油断せず、ぎっくり腰に備えて、自分で長続きする予防法を実践していくことが発症と重症化を防ぐことに繋がります。
まとめ
ぎっくり腰に備えましょう!
“ギクッ”の後はまさかの重症?!
正式名称と発症のメカニズム
腰部を支える機能が低下する原因
痛みが軽度なら体動可能だが無理は禁物!
経過(急性期、回復期)を捉えた治療法の選択
予防の基本は硬い筋肉をほぐすこと