半月板損傷とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある半月板という繊維性軟骨が断裂する状態を言います。原因はスポーツで起こることが多いですが、日常生活で立ち上がり時に膝を捻るなどで起こることがあります。
損傷すると強い痛みと歩行困難になり、重症な場合や完全に断裂した時は手術でしか治りません。 半月板損傷治療 では、手術治療が可能か検討されます。
半月板損傷治療で完治には手術が検討されます!
半月板の構造と役割
半月板の構造は、膝関節の左右に半円形で1対の三日月状の板(外側半月板と内側半月板)が円環状に位置しています。そして、2つの半月板の間に前十字靱帯と後十字靱帯があり、大腿骨と脛骨をつないでいます。
半月板の上面は大腿骨球状面に沿っており、下面は脛骨の平らな形状に沿っています。半月板の役割は、膝関節の間にあってクッションとなり、膝の円滑な運動を助ける働きをしています。
原因と病態
膝は体の中でも体重による負荷がかかる箇所で、片方の足だけで体重の10倍以上の負荷がかかるため、半月板にも大きな力が加わります。急な動きや無理な体勢で膝を酷使した時などに、大きな負荷がかかることで断裂することがあります。
スポーツから生じる場合と、加齢により脆弱になっている半月板に外力が加わって損傷する場合とがあります。スポーツでは体重が膝に負荷した状態で捻りや衝撃が加わり、半月板だけが損傷するものと、前十字靱帯などの損傷が合併して起こるものがあります。
加齢では半月板が変性を生じるため、40歳以上になると、ちょっとした外傷で半月板の損傷が起こりやすくなります。膝の関節を外側に曲げた時は内側の半月板が、膝の関節を内側に曲げた時は外側の半月板が損傷します。
損傷の形態は、変性断裂、水平断裂、縦断裂、横断裂などがあります。
損傷からの症状推移
損傷時には激痛がおこり、しばらくすると腫脹してきます。そして、膝の屈曲、伸展が不可能になります。また、クリック(膝を動かす時に音がでる)が生じてきます。
他には、関節水腫、膝関節の可動域の制限、歩行困難などが起こってきます。更に、半月板損傷に靭帯断裂を合併すると関節血腫と言われる状態になり、腫脹した関節に血液が貯留します。
半月板損傷の診断
整形外科では問診と理学的所見でほとんどが診断されます。まず、問診によって受傷時の状態とその後の経過から半月板損傷の可能性を判断します。
次に、理学的所見で膝関節部位の疼痛と圧痛、大腿四頭筋の萎縮、膝の屈曲伸展で疼痛の誘発を確認します。
更に、外側半月板損傷では下腿を内旋しながら膝を伸展させると疼痛やクリックが生じ、内側半月板損傷では下腿を外旋しながら膝を伸展させると疼痛やクリックが生じます。
単純X線写真では半月板は写りませんので、症状や診察で半月板損傷を疑えばMRI検査を行います。MRI検査は半月板損傷だけでなく合併する靭帯損傷の診断も可能です。
診断と同時に治療もできる方法として、入院して全身麻酔下で膝関節に内視鏡を入れ直接半月板を診察します。
保存的治療から手術治療の選択
リハビリテーションや抗炎症薬など保存的治療で改善する場合がありますが、改善しない場合には手術を行います。 手術法は関節鏡を使った鏡視下手術で、切除術(損傷した部分を切り取る)と縫合術(損傷した部分を縫い合わせる)の2種類があります。
手術による入院期間は比較的短期間で、体への負担も少ないです。重症度にもよりますが、手術時間は1時間前後ぐらいで、術後から歩行器で歩行可能となり、順調にリハビリテーションが進めば1週間ぐらいで退院できます。
半月板の再生について
一度欠損した半月板は再生することはありません。しかし、半月板を取り除いても日常生活にはほとんど支障はなく、術後1,2ヵ月で軽い運動であればできるようになります。
ただし、近年になって、自分の膝の滑膜組織からとった幹細胞で半月板を再生させる方法が開発され、現在臨床研究段階です。従って、近い将来、半月板の再生治療の可能性が有力になってきています。
まとめ
半月板損傷治療で完治には手術が検討されます!
半月板の構造と役割
原因と病態
損傷からの症状推移
半月板損傷の診断
保存的治療から手術治療の選択
半月板の再生について