変形性股関節症は股関節に痛みを発症する代表的な病気です。生まれつきの股関節の形により発症する場合もありますが、加齢により発症することも多くあります。股関節の痛みは日常生活で大切な歩行に障害をもたらします。
変形性股関節症 の原因を理解し予防を心がけましょう。
股関節の痛み「変形性股関節症」を知って予防する
股関節の役割
足の付け根部分にある股関節は体の上半身と下半身をつなぎ、上半身の体重を支えています。さらに歩く、座る、ジャンプするといった足を動かす役割も担っています。足を動かす時には体重の数倍の負荷が股関節にかかります。
股関節はさまざまな体の動きに合わせ、股関節から伸びる2本の足で上半身を支えるべくバランスをとっています。体の中心で重要な役割を担う股関節に障害がおこると、動くこともままならなくなり日常生活に大きな支障がでます。
変形性股関節症とは
変形性股関節症は股関節にかかる衝撃を吸収して関節を滑らかに動かす役割を担う股関節の軟骨が、日常的な負荷や外傷などによりすり減ってしまった状態です。
先天的に股関節の作りに障害があると負荷がかかりやすいため変形性股関節症を発症しやすくなります。また加齢や男性に比べて関節が緩く筋力の弱い女性も発症しやすいと言われています。
症状は股関節や臀部の痛み、靴下がはきにくい、正座ができない、長時間立っていられない、階段の昇降に支障が出るなどがあります。一度変形してしまった股関節は自然とは元の状態にはもどりませんので、病院にて適切な処置を受ける必要があります。
変形性股関節症はどのように進行するか
変形性股関節症は進行性の病気で「前股関節症」、「初期股関節症」、「進行期股関節症」、「末期股関節症」の4段階にわかれています。
「前股関節症」は股関節に変形はあるが軟骨のすり減りは軽く関節のすき間は正常にある状態で、痛みはたまに感じる程度です。
「初期股関節症」は軟骨のすり減りが目立ちはじめ関節のすき間が多少狭くなっている状態で、長い時間歩くなど股関節に負担をかけると痛みが生じます。
「進行期股関節症」は軟骨のすり減りが進んで関節のすき間がさらに狭くなった状態です。この段階になると「骨嚢胞」と呼ばれる骨の空洞ができてしまう状態や、「骨棘」と呼ばれる壊れた骨を補うために異常な骨組織が形成される状態がみられるようになります。
「末期股関節症」になると軟骨はすり切れ関節の隙間もなくなった状態になります。露出した骨がぶつかってすり減り、骨棘も進んで股関節自体が変形してしまいます。進行期、末期まで進むと痛みが強く出て動きが制限されてしまいます。日常生活にも支障が出るため筋力も低下していきます。
変形性股関節症の治療方法
変形性股関節症の症状が初期の場合は保存療法での治療が行われます。鎮痛剤や湿布、塗り薬などで痛みを緩和しつつ、体重コントロールや杖の使用で股関節への負担を軽減します。さらに痛みの具合をみながら筋力トレーニングを行うことで、股関節の安定性を高めていきます。
症状が重度になっている場合は外科治療が勧められます。代表的な手術が人工股関節置換術で金属やセラミックなどでできた人工股関節に置き換えることで、股関節の痛みがなくなり歩行が楽にできるようになります。
その他にも自分の股関節を残す手術として、骨を削って股関節の形や負荷のかかる方向を変えることで痛みを和らげる方法もあります。手術後は運動療法によるリハビリを行って落ちている筋力を回復していきます。
変形性股関節症を予防する
変形性股関節症は股関節にかかる過度な負荷の積み重ねが原因で発症します。姿勢が傾いていることで上半身が正しく股関節の上に乗らないと、股関節に負荷が集中してしまい関節軟骨がすり減ってしまいます。また肥満は股関節だけでなく下半身の関節に大きなダメージを与えます。
股関節の衰えや過度な負荷を予防するには、日常的に正しい姿勢を心がけ体重管理をしっかり行い筋肉をしっかりと鍛えておくことが大切です。また股関節周りは加齢や運動不足により硬くなりがちです。柔軟体操を加えて柔らかくしておくことも変形性股関節症の予防につながります。
まとめ
股関節の痛み「変形性股関節症」を知って予防する
股関節の役割
変形性股関節症とは
変形性股関節症はどのように進行するか
変形性股関節症の治療方法
変形性股関節症を予防する