変形性頸椎症 は、椎骨の椎間板が変性したり、骨棘という棘のような骨ができたり、靱帯が肥厚したりして頸椎の変形が起こってくるものです。そして、首の慢性的な疼痛、肩凝り、手の痺れ、歩行困難などが起こってきます。
原因は老化現象が有力ですが、若い20代の人にも起こる場合があります。また、生まれつき脊柱管の狭い人、過去に激しいスポーツや頸部を動かす頻度の多い仕事をしていた人にもみられます。
変形性頸椎症には椎間板の弾力性の減少が関与!
加齢と伴に頸椎への負荷が影響
成人の頭は5~7kgと言われています。これに両側の上肢の重さが加わるため、寝ている時以外は頸椎にかなりの負荷がかかることになります。
変形性頸椎症は、日々、このような負荷に耐えながら徐々に頸椎が傷んでくる状態です。従って、年を重ねれば重ねるほど、頸椎に頭部や上肢の重さによる負担がかかることになります。
弾力性減少で椎間板が薄くなる
頸椎は、7個の脊椎から成り立っており、それぞれ椎間板(前方部分)と椎間関節(後方部分)で連結しています。椎間板は円板状のゴムマットのようなもので、両端は上下の椎体と接着しています。
椎間板は、首を動かすたびにへこんでは元にもどるという動きをしています。つまり、この動きが椎間板の弾力性と言えます。
しかし、この弾力性は年齢とともに失われ、特に20歳を過ぎると減少していきます。そして、早い人では30代から徐々に弾力性が減少し椎間板が潰れてきて、前後左右に飛び出してきたりします。そのため、椎間板が薄くなっていきます。
椎間板が薄くなることで起こる現象
椎間板はクッションの役割を果たしながら頸骨とともに頭と上肢を支えていますが、椎間板が潰れて薄くなると椎体に負担が多くかかります。そのため椎体が硬くなって骨棘が出てきます。
骨棘は、椎間板の接着力が弱くなってぐらつくため、止めようとして椎間板の周囲に出現するものです。時にはそれが脊椎を繋いでしまいその部分が動かなくなる場合もあります。
つまり、椎体の変性や骨棘が周囲の組織(脊髄・神経根・血管)を圧迫することになり、いろいろな症状を起こしてくるのです。
症状のあらわれ方
頸部の痛み、だるさ、首の疲れ、肩凝りなどが、きっかけがわからず突然あらわれます。これは、椎間板や椎間関節の変形、周辺の靭帯や筋肉の緊張の乱れによって起こります。
通常は、肩凝りや頸部の運動痛が最も多く、背部痛もあります。特に、頸椎の動きに応じて変化する痛みは横になって安静にすると軽快します。長時間の同一姿勢や作業後は痛みが増悪します。
また、頸部の痛みに伴う筋緊張状態は頭痛・吐き気などを誘発することもあります。更に、神経が圧迫されると腕や足に痛みや痺れなどの症状が現れてきます。
診断と治療
頸椎症状があらわれた時は整形外科に受診します。頸部痛など局所の症状のみで、X線検査で加齢変化があれば変形性頸椎症の診断がされます。
しかし、他の神経学的な所見が見られたり、変形性頸椎症と一旦診断されても痛みが強かったり、手足の痺れ以外の症状が出現する場合は、MRI検査等で他の頸椎疾患がないか確認してもらうことが重要です。
確定診断がつけば、疼痛コントロールなど保存的治療が実施されます。消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などの内服治療や、温熱療法などの理学療法が実施されます。筋肉由来の強い痛みには、トリガーポイント注射と呼ばれる局所麻酔薬の注射が効果的です。
生活面での注意点
第一に注意することは、日常生活で痛みを増悪させる長時間の同一姿勢を避けます。座り仕事の場合は、時々休憩して軽く体を動かすように心がけましょう。
痛みがない時期は体操などで積極的に頸部の筋力をつけることが有効です。特別な頸部の筋力強化でなくても、散歩やランニングなどの軽い運動も効果的です。そして、十分な睡眠時間をとり、疲労回復と精神面のリラックスを図ることが重要です。
まとめ
変形性頸椎症には椎間板の弾力性の減少が関与!
加齢と伴に頸椎への負荷が影響
弾力性減少で椎間板が薄くなる
椎間板が薄くなることで起こる現象
症状の現れ方
診断と治療
生活面での注意点