偏頭痛は激痛だけではありません。多くの方で同時に様々な身体異常が起こっています。そのなかの1つが吐き気です。 偏頭痛 に悩まされる方の約90%で強い 吐き気 を感じておられます。
吐き気を感じているのは自分だけじゃなかったと安心しておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、では、なぜ吐き気が起こるのでしょうか?
偏頭痛と吐き気の因果関係はまだ不明
偏頭痛の経過
偏頭痛には痛みとそれに伴う身体異変の経過があります。最初から最後まで同じ症状が続いているわけではありません。
まず予兆期そして前兆期(これらがある方も無い方もおられます)、つぎに頭痛期(この頭痛期にいきなり突入する方もおられます)、最後に回復期と寛解期を経て、やっと痛みが治まります。
吐き気を感じるタイミング
まず予兆期と前兆期では、食欲旺盛(過食)、あくびや疲労感、集中力欠陥や抑うつ感が出ます。感覚過敏といい光、音、臭いに敏感になり、特に目がチカチカする、視野の一部が欠ける、視界にギザギサしたようなものが現れるなど光過敏の特徴的な症状が出ます。
その他にも、身体のむくみ、しびれ、首や肩の凝りがみられます。この予兆期と前兆期は短くて5分間ですが1時間続く方もおられます。そして頭痛期と呼ばれる偏頭痛のいわば本番に入ります。
この頭痛期は、軽度、中等度、そして重度と3つの経過をたどります。中等度から徐々に痛みが増加し、重度で痛みがピークに達します。実は、吐き気を感じるタイミングは中等度です。そして実際に嘔吐が起こるタイミングは重度です。
これが過ぎて回復期になると今度は眠気が強くなり、最後の寛解期では疲労感、うつ、気分不安定になります。
いかがでしょうか?偏頭痛の吐き気は、痛みがピークに達するあたりで起こっていることをあらためて実感した方も多いはずです。強い痛みと吐き気、やはり関係しているようです。
なぜ吐き気が起こるのか?
偏頭痛では、通常の頭痛や他の種類の頭痛と違い、吐き気を感じる方が多くおられます。体験した方だけが理解できる非常に激しい吐き気です。
偏頭痛では、なぜ吐き気が起こるのでしょうか?残念ながら、まだはっきりとした原因が究明されていません。現在考えられているのが、偏頭痛の発症のメカニズムにもある三叉神経が関係しているというものです。
なにかしらの要因が脳神経の三叉神経を圧迫し刺激を与えます。三叉神経では痛みの原因物質「神経ペプチド」が放出され、血管周囲で炎症が起こり、血管を拡張する神経伝達物質が分泌され、周囲の神経も刺激を受け、痛みが大脳へ伝わります。
このように三叉神経が刺激されることが吐き気の原因ではないかといわれています。しかし、痛みと吐き気の関係の直接の説明にはなっておらず、あまりにも漠然としていて曖昧です。
したがって、偏頭痛と吐き気の因果関係は不明です。痛みがあるから吐き気を感じるのか、あるいは別の要因で吐きたいと感じているのか、明らかになっていません。
吐き気のメカニズムですが、吐き気そのものは、脳の延髄にある嘔吐中枢が刺激されることで、吐きたいと感じています。その嘔吐中枢の刺激が、迷走神経、脊髄神経、横隔膜神経へと伝わることで、実際に嘔吐が起こります。
吐き気は、偏頭痛だけではなく、その他様々な原因で引き起こされます。疾患(病気)の際、薬物治療の副作用の際、そしてアルコールの飲みすぎ、食べすぎ、食中毒、風邪、乗り物酔い、またストレスの際にも吐き気を感じます。
このなかで、偏頭痛に関係しているのがストレスです。偏頭痛の原因のひとつに、過度のストレスによるセロトニンの過剰放出があるためです。ストレスが吐き気の原因かもしれませんが、自己判断はよくないので、一度医師に相談してみることが大切です。
吐き気の対処
ひどくない吐き気でしたら、身体が楽になるように安静にすることが良いでしょう。横になると吐き気が強くなる方もおられますので、自分が楽だと感じるポジションを探してください。
しかし、ひどい吐き気の場合は、自己処理は避けてください。吐き気を抑える薬は薬局で市販されていますが、偏頭痛が原因で起こる吐き気の場合は、頭痛と吐き気がいわゆる1つのセットになっていますので、病院で適切に処方をしてもらう薬を服用することが大切です。
吐き気だけではなく、偏頭痛そのものを予防する薬そして治療する薬もあります。たかが偏頭痛と吐き気と思わずに、辛い症状を緩和するためにも、是非医師に相談してみてください。
まとめ
偏頭痛と吐き気の因果関係はまだ不明
偏頭痛の経過
吐き気を感じるタイミング
なぜ吐き気が起こるのか?
吐き気の対処