腓骨筋腱炎 (ひこつきんけんえん)というと筋や腱が炎症を起こしている状態をイメージし、さほど深刻なものではないと考える方もいらっしゃることでしょう。しかし、忍耐は美徳だと言わんばかりにそのまま頑張るのは褒められたものではありませんし、必ず後悔するときが訪れます。
どのような無茶をしているのか、知っておきましょう。
筋肉痛?腓骨筋腱炎とは
ガマンできる痛み
まず腓骨筋とは腓骨を覆うように足の裏~スネの上部までの下腿外側(裏側)にあります。足首(くるぶし)周りの筋腱の部分に炎症が起こり痛みを感じ始めます。
最も特徴的な症状は、「押すと痛い(圧痛)」ことです。ふつう押せばどこでも痛いではないか、というようなかわいい痛みではなくジワ~ツと響くような痛みです。
ほかに、腫れた感じがある、足裏やふくらはぎの外側に張り感がある、かかとから着地したり体重をかけたりすると後ろの腱が痛い、あぐら座りのような足首を内返しするストレッチをすると痛むなどがあげられます。
原因はさまざまで、使いすぎ(オーバーユーズ)による腓骨筋へのストレスが限界に達すると、筋がパンパンに張ってしまい腱が引っ張られて痛みが出るのが基本です。
スポーツを頑張りすぎたり頑張らざるを得ない環境に身を置いていたり、趣味のジョギングを休まずに行うことを生きがいにしていたりすると黄色信号です。
また、捻挫をきっかけに発症するケースも多くあります。捻挫を繰り返したりそのまま放置したりしていると炎症が起こります。テニスやサッカー、バスケットボールなど球技によくみられます。
腓骨筋に負担のかかりやすいジャンプや鋭い切り返しなどの動きにずっと耐えられるほど丈夫ではありません。そして「靴」です。足に合っていない靴を履くのは致命傷です。特にヒールのある靴は足の外側に負担がかかります。
整形外科か整骨院か
整体院は病院ではありませんので、まずは整形外科で診ていただきましょう。保存的治療が施されます。医師によっては抗炎症剤や消炎鎮痛剤を処方してすぐに帰されてしまった、ということで整体院へ駆け込む方もいらっしゃるようですが、もう一回別の病院へ行くことをお勧めします。
テーピングやサポーターをしてもらったり、保険適応外ですがヒアルロン酸注射による治療もあります。整体院へはその後、リラックスタイムとして電気療法や手技療法を受けに行こうくらいの気持ちがちょうど良いでしょう。あとはとにかく休むことです。
痛みがあろうとなかろうと少なくとも2週間~1ヶ月は徹底して休んでください。治療はどれも必ず効果があるものではありませんので、ケアローラーなどでマッサージをして大人しく過ごしましょう。
自分のからだを過信しない
まじめな方ほど「安静に」しているのがむずかしいようです。しかし、長期的な視野で考えればからだに鞭打って外へ出るのは得策ではありません。
腓骨筋腱炎は簡単にぶり返し再発しますから、長引いて慢性化し二度と本調子を取り戻さないまま人生の終焉を迎えることを想像してみてください。悲観的すぎるのも健康に悪いですが、楽観的すぎても身を滅ぼします。
大丈夫と自分をなだめて励ますのはたとえば受験勉強には良いですが、からだにはそれだけ悪い結果が待っているだけです。毎日からだを動かさないといけないという自分のルールを変えることは相当なストレスを伴います。
ですからいつまでも治せない方が多いのです。休むメリットとデメリット、休まないメリットとデメリットを思いつく限りノートに書き出してみると冷静になれます。この際ですから休む機会を与えられたのだと考えて、縮こまった心とからだを揉みほぐしましょう。
まとめ
筋肉痛?腓骨筋腱炎とは
ガマンできる痛み
整形外科か整体院か
自分のからだを過信しない