皆さんは 膝が痛い とき、すぐに病院へ向かわれますか。老化によるもの、歩き方に癖があるせい、病院へ行ったらまず痩せるように言われるだけだから行かない、という方もいらっしゃることでしょう。
しかし、 原因 はそれ以外にもさまざまありますし、悪化して歩行困難になる危険性もあります。自己判断はときに命取りになりかねません。今回は比較的多い症例をいくつかご紹介いたします。
膝が痛い原因は加齢や肥満とは限らない
原因①主に事故・ケガ・スポーツなど
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
膝関節でクッション緩衝材の役目を果たしている軟骨組織である「半月板」に大きな負担が蓄積することで断裂したり欠けてしまったりするものです。
症状は、膝に力が入らない、膝の曲げ伸ばしができない(ロッキング状態)、膝関節部が膨らんでいる、膝がつったような引っかかったような痛みを感じるなどがあります。
特徴としては若い人に多いのですが、「それならこれは半月板損傷ではなく、年のせい」などと早合点せず、足を引きずるような状態になる前に一度病院へ行ってみてください。
関節ねずみ・関節内遊離体(かんせつないゆうりたい)
関節の骨や軟骨は一部欠けたりはがれたりすることがあります。その破片が関節内を動き回っている状態です。事故やスポーツによる骨折のほか、骨の変形・破壊を伴う病気などでも発症します。
症状は、突然膝に激痛が走る、今しがたまでできていた膝の曲げ伸ばしができない、膝に何か挟まっているような違和感があり動かしづらいなどです。とても我慢できるものではありませんし、痛みによる睡眠不足で健康も損ないますので今すぐ病院へ行くべきです。
原因②主に加齢や膝の過剰負担による骨の劣化など
関節水腫(かんせつすいしゅ)
いわゆる「膝に水が溜まっている」状態です。「水」の正体は関節内にある「関節液(滑液)」で、この液の量が異常に増えています。関節液の代わりに血液が溜まるケースもあります。
溜まる原因は、膝の骨や軟骨がすり減ったカスや骨の表面がもろくなってハラハラとはがれたカケラによる刺激です。
症状は、膝の痛みや腫れ、膝のだるさ、膝の動きが悪い、膝が不安定でぐらつく、膝の表面がやわらかくなり、その中に何か入っているような異物感がある、膝の皿を押したときに浮遊感があり形がわかりにくい、などです。歩くとタポタポするような状態は関節水腫の疑いがあります。
変形性膝関節症〈へんけいせいしつ(ひざ)かんせつしょう〉
膝関節の骨や軟骨がもろくなったりすり減ったりして変形した病状です。中高年の膝の痛みの原因では最も多いのがこれです。
症状は、膝がきしむ、膝に水が溜まる、膝を動かし始めるとき(起立・着席・歩行など)の痛み、膝の動きの制限(ある一定以上曲げ伸ばしできない、揉みほぐしてもこわばって動かない)などです。
市販の湿布や塗り薬は体質に合う合わないがありますし、かぶれなどの二次被害に遭うと余計な出費がかさみます。一度病院へ行き、ご自身に合った湿布や塗り薬、サポーターなどの相談に乗ってもらうと良いでしょう。
原因③主に病気、生体機能の異常など
骨軟骨腫(こつなんこつしゅ)
悪性のガンではなく、骨の表面にできる良性の腫瘍です。この腫瘍が発生する原因は現在のところ、解明されていません。しかし、一度にたくさんの腫瘍ができる「多発型」は遺伝的な要因もあることがわかってきています。特に10代の成長期の若者に多くみられ、全体の約半数を占めます。
症状は、膝の痛み、膝関節の動きの悪さ、膝の周辺にコブができていたり、骨が飛び出したのかと思うような硬い腫れがあらわれます。若者のほうが病状の進行が早いので、少しでも異変に気づいたら直ちに病院へ向かいましょう。
まとめ
膝が痛い原因は加齢や肥満とは限らない
原因①主に事故・ケガ・スポーツなど
原因②主に加齢や膝の過剰負担による骨の劣化など
原因③主に病気、生体機能の異常など