みなさんは、歯が痛いのか歯ぐきが痛いのかよくわからなかったり、風邪を引いて歯ぎしりをしたいほど歯や口内がうずいたり、それとともに頭痛にも悩まされるといった経験はありませんか。その症状は虫歯でなければ、 上顎洞炎 かもしれません。
初耳の方も多いかもしれませんが、ごく一般的な症状ですのでこの機会に覚えておきましょう。
上顎洞炎(じょうがくどうえん)とは? 原因と対処
いわゆる蓄膿症のこと
まず、上顎洞とはどのあたりに位置しているのでしょうか。目の下、ハナの横、ほお骨の奥に広がっています。上顎洞炎は上顎洞の粘膜が腫れて膿やハナ水が溜まってしまっている状態です。「蓄膿症」という名称のほうがなじみがあるかもしれません。
その原因は、アレルギー性鼻炎、風邪、虫歯や歯周病、ハナの症状などがあげられます。一年中風邪気味でその状態がふつうになっていて気にしていないという方は、一度病院へ足を運んでみることをお勧めします。
CT検査によって上顎洞炎であることが判明すれば、歯の治療や抗生物質の服用で改善します。長年の風邪気味状態から開放されるのです。上顎洞炎とは顎関節症とは異なりますので、顔や頭が痛いと感じたらひとまず病院へ行っても良いでしょう。
風邪とそっくりな症状の特徴
上顎洞炎になると、
- 上顎洞に膿が溜まり、口臭やハナの奥が臭います。風邪を引いたときにハナ水の臭いがご自分でわかることと同じです。
- 目の奥に痛みや違和感を覚えることがあります。上顎洞は目の下まで広がっているため、膿が目の下にまで溜まってしまうと目の下の骨が押し上げられて症状が出ます。
- 頭痛を起こすこともあります。上顎洞の周囲の骨は頭の骨までつながっているので神経や血管を圧迫して発症します。
- 噛んだときに痛みがあります。上顎洞につながっている上顎の奥歯の根の周りに炎症が伝わるためです。
- ハナ呼吸ができなくなります。膿が溜まってハナの呼吸の通り道を塞いでしまうためです。
- 膿が溜まっている状態で動いたときに、膿が揺れ動いて上顎の上部が響くようなうずくような感じがします。
- 歯が痛みます。上顎の奥歯の神経が圧迫されるためです。虫歯と勘違いすることもあります。
- 歯の根元が痛みます。上顎の歯の根元を押すと痛気持ちいい、痛かゆいような症状が出ます。
早めの対処が肝心
歯が原因で頭痛がする場合は、原因の歯を抗生物質を服用しながら根元や歯周病の治療を行います。虫歯が神経まで達して根元から細菌が上顎洞に入ってしまったり、歯周病が進行して歯周ポケットから細菌が上顎洞に入ると上顎洞炎を発症します。
治療によって細菌が上顎洞に入らないようにすれば(できないこともあります)、歯を抜かなくて済みます。
ハナが原因で歯が痛い場合は、歯医者さんへ向かいましょう。虫歯かと思うほどの痛みであれば、重症ですから後回しにしてはなりません。
CT検査で原因が歯なのかハナなのかハッキリさせましょう。ハナであれば抗生物質を1ヶ月ほど服用して炎症が治まれば、歯の痛みもなくなるでしょう。
風邪や花粉症の薬を飲んでいるうちに症状が和らぐこともありますが、長引くようなら上顎洞炎かもしれませんし、虫歯かもしれませんので歯医者さんへ行きましょう。
慢性的に頭痛や風邪に似た症状に襲われていては、集中力も低下しボーッとして無気力ややる気の低下、うつを発症する可能性も上がります。周囲から「怠けている」と一方的に叱責されてはたまりませんから、違和感を覚えたらすぐに病院へ行くのが賢明です。
上顎洞炎も虫歯も我慢して治るものではありませんから、症状が悪化する前に治療するのが心身にもお財布にもやさしいのです。「そのうちいつか今年中に」で痛い目に遭うのはご自身です。
まとめ
上顎洞炎(じょうがくどうえん)とは? 原因と対処
いわゆる蓄膿症のこと
風邪とそっくりな症状の特徴
早めの対処が肝心