過敏性腸症候群とはストレスなどをきっかけに、腹痛・下痢などを繰り返す病気です。
消化器科・胃腸科を受信する患者さんの多くを占めるのがこの 過敏性腸症候群 です。単にお腹が弱いだけと思い込んでいる人も 診断 基準を確認し、少しでも思い当たる点があれば近くの消化器内科を受診することが大切です。
あなたも過敏性腸症候群?その診断基準とは
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(IBS ,Irritable Bowel Syndrome)とはストレスが原因で腹痛・便秘・下痢などの症状があらわれる病気です。
大切な会議中に腹痛が襲ってこないかと不安になったり、トイレに行けない状況で便意をもよおしたらどうしよう、といったストレスなどによって悪循環に陥りやすいとされています。
原因としては、ストレスによって自律神経系のバランスが崩れ、腸へ異常な命令が伝わってしまうことで、腸の痙攣、ぜん動運動(便を送り出す運動)が起こり、下痢・腹痛などの症状としてあらわれることがあげられます。
治療は大きく3つの方法があります。
- 食事療法
- 薬物療法
- 心身療法
食事療法では、カフェインや唐辛子などの刺激物・アルコールなどを避けることが大切です。
薬物療法では止痢剤(下痢を止める薬)や抗うつ剤など心と体に対する薬が必要です。
心身療法では自律訓練法や対話面接療法を行い、ストレスを取り除くことに重点を置きます。
過敏性腸症候群は心の問題が大きなウエイトを占めるため、完治が難しく、心の治療が不可欠とされ、自分のライフスタイルや考え方、食習慣を改める必要があります。
また、症状が腹痛・便秘・下痢など、日常的な症状のため、周囲の理解が得られずに、それがストレスの原因となり悪循環に陥ることがあります。大変つらい病気ですので、周囲の病気への理解が大切です。
過敏性腸症候群の特徴
過敏性腸症候群は思春期の女性や、多忙な40代のサラリーマンなど、ストレスが溜まる環境にある人がかかりやすい病気であり、排便後に症状が軽くなったと感じることが特徴です。
下痢や便秘、腹痛を訴えて受診すると、さまざまな検査を行います。それらの検査では全く病的な部分が見つからないことも大きな特徴です。
倦怠感、不安感、不眠、頭痛、頻尿などの自律神経障害も伴うことがあり、新たなストレス源として病気を悪化させる原因にもなっています。
過敏性腸症候群の分類
過敏性腸症候群は大きく4つに分類されます。(ローマⅢによる分類)
- 便秘型
- 下痢型
- 混合型
- 分類不能型
便秘型とは便が固く、ウサギの便のようにコロコロとした便であるために排便が困難になります。
下痢型とは便が柔らかく下痢状で、突如便意が襲ってくるため、ストレスになりやすく、日常生活に支障をきたす場合があります。
混合型とは便秘型と下痢型の中間で硬い便と下痢状の便が繰り返す状態のことを指し、分類不能型は便秘型・下痢型・混合型のどの型にも当てはまらない状態のことを指します。
これらの分類によって止痢剤の投与量や、整腸剤の投与量が変わってくるため、治療法が若干異なります。
過敏性腸症候群の診断基準
過敏性腸症候群の診断基準には「ローマIBS診断基準」というものがあります。ローマで開催された国際消化器病学会でつくられた基準で、定期的に学会を重ね基準の改定を行っています。最新の基準であるローマⅢを簡単にまとめると、
過去3ヶ月間に、
- 排便によって症状が軽くなる
- 一日の排便回数が変化する
- 下痢だったり通常の便だったりと性状が変化する
- お腹が張ったり、ガスが溜まっている感覚がある
- 排便後、まだ便が残っている感覚がある
- 粘液状の便が出る
以上6つの症状のうち3つ以上当てはまっていれば過敏性腸症候群の可能性があります。
ただし、これらの症状はガンや潰瘍性大腸炎など、他の腸の疾患でも十分考えられる症状です。この基準を当てはめるには、血液検査や消化管内視鏡検査などを行い、異常がないことが確認されることが極めて重要です。
また、あくまでこれはローマIBS診断基準をまとめたものです。これに当てはまるからといって、自分が過敏性腸症候群だと決めつけずに、近くの消化器内科を受診することをおすすめします。
まとめ
あなたも過敏性腸症候群?その診断基準とは
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群の特徴
過敏性腸症候群の分類
過敏性腸症候群の診断基準