化膿性関節炎 は関節炎とは全くの別物といって良い病状があらわれます。冷やしたり温めたり湿布を貼ったりしていれば楽になるというものではありません。化膿したらばんそう膏をというレベルのお話しではないのです。どのくらい急を要するものなのでしょうか。
化膿性関節炎とは?その怖さと対処法
関節炎とは別次元
化膿性関節炎は関節を動かしすぎたり打撲によって発症するのではなく、細菌性のものです。何らかの原因で関節内に細菌が侵入して関節内が化膿してしまうのです。
化膿が自然治癒することはまずありません。この状態がしばらく続くと関節の表面の軟骨が破壊されます。さらに進行して骨まで破壊されることもあります。
治療が遅れると関節の障害が残り取り返しのつかないことになると、その後の人生が少し大変になるかもしれません。化膿性関節炎は緊急性の高い病気であると認識しておきましょう。
細菌が侵入するのは体調が悪く抵抗力が弱っていることも関係してきますが、主に3つあげられます。
①細菌がケガや注射などによって直接関節内に入る。②体内のほかの部位に感染巣があり血流にのって細菌が関節内に入る。感染巣は尿路やへんとう腺などです。
③骨髄炎が関節の近くで起こりそこから波及する。どの経路もご自身で気をつけてどうにかなるものではありません。この原因菌は黄色ブドウ球菌が最も多く報告されています。ほかに連鎖球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)なども多いようです。
持病があり血液透析、糖尿病、薬物の常用(副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤など)などの患者さんは細菌侵入のリスクが高まります。化膿性関節炎にかかりやすく治りにくくなる傾向があります。
痛みだけでは済まない毎日に
関節炎ですから関節が痛むことはご想像の通りです。軟骨や骨にまで侵食が進むにつれて症状は悪化の一途をたどります。関節のはれ、熱感、発赤のほかに食欲不振、発熱、悪寒、全身の倦怠感などの全身症状に見舞われます。
ここでひとつ留意していただきたいことは、化膿性関節炎は乳幼児も発症することです。加齢と成人病だけが発症リスクを高めているのではないのです。乳幼児の股関節は体型的に深い部位に位置しているためよく確かめないと関節の状態がわかりません。
お子さんが例えばオムツの交換時に尋常でない泣き方をしたり、強い痛みのために関節をほとんど動かさない、抱っこや肩車を嫌がるなどが判断材料になります。関節の炎症が長く続きますと、脱臼を起こしてしまうこともあります。
乳幼児のやわらかい関節を包む膜が伸びきってしまうのです。さらには皮ふに穴があき、膿が出てくることもあります。赤ちゃんは泣くのが仕事ですが、体調の悪化を訴えていることもあるのです。
整形外科へ直行あるのみ
関節炎と化膿性関節炎は見分けがつかないこともありますので、血液検査や画像診断が行われます。血液検査では炎症性の変化がみられます。血中の白血球数の増加や赤血球沈降速度の亢進、C反応性蛋白(CRP)の陽性などです。
そして決定打になるのが菌を特定する検査です。菌の存在が明らかになれば化膿性関節炎であることはほぼ確定します。菌が判明したところで治療に用いる抗生物質が選択されて、早速治療スタートです。構成物質の点滴をして患部を安静にします。
関節に膿がたまっている場合は注射器でできる限り吸引します。想像しただけでも乳幼児にはどれほどつらいものかわかります。それでも炎症が続くときは手術となります。
手術をして急性期の症状がひとまず落ち着いたら、関節の機能低下を防ぐために早めにリハビリテーションを始めましょう。運動療法などに取り組んで関節の可動域が狭くならないように毎日少しずつでも動かします。
進行して骨まで侵食されているケースでは、リハビリが落ち着いた後で関節を固定する手術などを行うことになります。1日2日でどうにかなるものではありませんし、関節が痛くてだるいと感じた時点で整形外科へ行ってみると良いです。
それで風邪の症状だったり何事もなければそれで良いのですから、特に乳幼児でなくても泣き続けるお子さんは早めに連れて行ったほうが無難です。
まとめ
化膿性関節炎とは?その怖さと対処法
関節炎とは別次元
痛みだけでは済まない毎日に
整形外科へ直行あるのみ