みなさんは肩こりや四十肩、五十肩が辛くなってくると、まず湿布や鎮痛剤を使用してみようと考える方が多いのではないでしょうか。漢方というと病気を治すイメージが強く、肩こりのような病気とはみなされていない症状に試してみようという方は少ないでしょう。
今回は 漢方 で身体の内側から 肩こり を改善する方法を検討してみましょう。
肩こりの改善を期待できる漢方
漢方薬を飲む前にやるべきこと
漢方の良い点は個人の体質や体調に合わせて処方を変えられることです。したがって、ご自身の体質と東洋医学でいう「証」(あかし)を知る必要があります。
「証」は大別して「実証」、「虚証」、「中間証」の三つに分けられます。理想を「中間証」と定め、「実証」が強くても「虚証」が強くても病気になりやすいと考えられています。また、「証」は体調の悪いときの判定がむずかしく季節によっても変化します。
そのため「証」は自己判断ではなく、漢方の専門家や漢方の知識のある医師や薬剤師に診てもらって判断に従ってください。医師や薬剤師は全ての分野に精通しているわけではありませんので、場合によってはセカンドオピニオンを検討するのも良いでしょう。
その他、以前にお薬を服用して副作用の出た方、アレルギーをお持ちの方、妊娠・授乳中の方、ご高齢の方、虚弱体質の方、持病のある方は必ず医師や専門家にまず服用の可否を相談するようにしてください。
肩こり、四十肩、五十肩に効果があるとされる漢方薬
一つは、独活葛根湯(どっかつかっこんとう)です。こわばった肩や首などの筋肉をほぐすカッコン、血の巡りを改善するジオウ、身体を温めるケイヒ、急激な筋肉の痛みやけいれんを静めるシャクヤク、鎮痛・抗炎症作用を持つドッカツなど9種類の生薬からなる漢方です。効き目はマイルドで、比較的万人向けといえます。
二つめは、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)(実証)です。体力が中程度以上あり、体格もバランスのよい人向きの漢方です。血の巡りを良くして肩こり、四十肩、五十肩の他、女性に多く見られる冷え性やのぼせを改善するといわれています。
三つめは、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)(実証)です。体力に自信があり、筋肉質で丈夫な人向きです。高血圧や便秘を伴う肩こりに特に効果を期待できます。
四つめは、葛根湯(かっこんとう)(実証)です。体力が比較的まずまずある人に向いています。肩こりや上半身のこりで筋肉がこわばっているときや風邪のひき始めにみられる肩こりにも良いとされます。
五つめは、加味逍遙散(かみしょうようさん)(虚証)です。体格がやせ型、おからだが虚弱、疲れやすく、不眠などのある人に向いています。肩こりの他、冷え性や更年期障がい、月経不順などにも効く穏やかな漢方です。
最後は、釣藤散(ちょうとうさん)(中間証)です。比較的健康体の人の中間以降の肩こりや慢性頭痛に効くとされています。
漢方薬の副作用と留意点
漢方は西洋薬と異なり、食前や食中などの空腹時にも服用できます。けれどもだからといってそれだけ身体にやさしく、副作用が無いということではありません。
漢方には「瞑眩」(めんげん)という考え方があります。これは病気を追い出すときに起こる一過性の症状を指します。飲み始めの吐き気、おう吐、下痢などを瞑眩とみなします。
漢方の世界ではこの瞑眩と副作用とを区別して考えるようですが、症状に苦しむご本人にとってはどちらでも同じことです。
限度というものがありますし、これは瞑眩だからと我慢し続けるのは危険です。副作用で最も重篤な「間質性肺炎」の可能性もあります。この病気は早期に治療を受けないと死に至る場合もあります。
服用中に発熱、咳、呼吸困難などの症状がみられたら思い込みは捨てて病院へ行きましょう。
まとめ
肩こりの改善を期待できる漢方
漢方薬を飲む前にやるべきこと
肩こり、四十肩、五十肩に効果があるとされる漢方薬
漢方薬の副作用と留意点