キーンベック病 という病名に耳覚えのある方は多くはないかもしれません。手の動作に関係しているので、発症するといつもどおりの生活を送ることはむずかしくなります。
初期の段階での治療が望ましいので、以下の症状に心当たりがあれば一度病院へ行くと良いでしょう。
キーンベック病とはどこの病気?日常への影響は?
手首の違和感から
キーンベック病は手首の月状骨という骨が潰れてしまう病気です。主として働き盛りの男性が多く発症しますが、女性やご高齢の方の発症もみられます。手首を酷使していると発症の可能性が高まります。
加えて進行性の病気のため、今日できていたことが明日の朝起きるとできなくなっていたりというようなショックな出来事に見舞われることもあります。握力が低下してモノがつかめないときにいちばん症状を自覚するかもしれません。
手首の動きが悪くなるので、日常生活や仕事、スポーツをするときにも影響が出てきます。最初は湿布を貼って一晩休めば治っているかも、という期待を込めて気楽に構えていたのがむしろ日に日に悪化していてどうして良いのかわからない、といった状態になっていきます。
原因が未だによくわかっていませんので、予防というと手首を酷使しないことくらいです。月状骨は8つある手根骨の中心で、ほとんどの軸圧が集まり手首の関節組織のなかで最も力がかかる部分です。
血流障害が起きると壊死をすることは解明されています。血流障害を引き起こす要因は、強い圧力、捻挫などの小さな外傷、気がつかないほどの小さな骨折などがあげられます。
徐々に不便になる
キーンベック病の多くは利き手に多く発症し、手首に痛みと腫れがみられます。握力が低下すると手首の動き、握る、手をつく、押す、引くなどの動作に支障が出てきます。ご自身でも周囲のひとでも、虫さされかと思うかもしれません。
急に「手に力が入らない」などというと動きたくない、サボりたいだけだと責められることもあるかもしれません。手首以外は正常なため、なかなか自他ともに心配されにくい病気です。捻挫かもと思って病院へ行くとキーンベック病と診断されるケースもあります。
症状によってステージⅠ~Ⅳに分類されています。Ⅰでは、レントゲンでは特に異常はみられず、そのまま湿布を処方されて帰されることが多いです。
MRIによって若干の萎縮が確認できることもあるのですが、少々の手首の痛みと腫れでMRIを撮ろうという医師は少数派です。Ⅱでは、萎縮や硬化などの症状はみられますがまだ月状骨が潰れる状態にはなっていません。
Ⅲになって初めて、圧潰(あっかい。潰れている状態)が確認されて分節化が起こっています。Ⅳまで進行すると、周辺の骨にも影響が出てきて関節症などの症状があらわれます。
Ⅰのときにキーンベック病と診断してもらえることはとても幸運ですが、あまりないことと承知しておいたほうが良いでしょう。
自然に治るのか
キーンベック病は進行性のため、自然治癒はほぼありません。初期の段階で病院へ行きキーンベック病と判明すれば、固定するだけで症状が治まることもあります。保存療法で治る可能性があるのステージⅠのときです。ギプスなどで固定して経過を観察します。
しかし前述のとおり、この時期にキーンベック病と診断されることはほとんど期待できない希少なケースです。もう少し進行してから同じ病院へ行き、キーンベック病と診断された日にはいろいろと思うところはあることでしょう。
医師も全能の神様ではありませんので、そこはあきらめて怒ったりせずに淡々と対応するのが良いです。ステージⅡ以降は、症状をみながら手術が検討されます。手術となると費用もかかりますし入院も必要になります。
「ステージⅠのときにみてもらっていたのに…」というお気持ちはお察しします。どうしても医師の顔をみるのも不愉快だという場合は、病院を変えましょう。
キーンベック病の手術は不慣れな医師では心配な、繊細な技術を必要とされます。よくお調べになって経験豊富な医師をみつけましょう。
まとめ
キーンベック病とはどこの病気?日常への影響は?
手首の違和感から
徐々に不便になる
自然に治るのか