しこりというものは身体のあらゆる部位にできる可能性があり、痛みをともなわないため放置されることがしばしばです。しかしながら症状によっては重大な病気のサインの可能性もあります。
股関節 付近に しこり がある場合、その原因についてご案内します。
股関節のしこりの原因~軽いものから命に係わるものまで
軽度のしこり、痛みをともなわない場合
一般的にしこり、あるいは腫瘍というものは身体のいたるところに発症し、小さくて痛みもなければ、入浴時や運動中でない限りほとんど気付くことはありません。
股関節のしこりにおいてもアデロームや脂肪腫などの良性の腫瘍である場合がほとんどです。このような腫瘍はまれに痛みを感じたとしても軽度で、しこりが大きくなることもありません。放置しておいても症状が進行することはありませんが、それが判明するのは後になってからのこと。もしかしたら重大な病気の予兆であるかもしれません。
はっきりとした原因を知るためにも医師の診断を受け、その指示に従い、適切な治療を施すことをお勧めします。
リンパ節に関連する股関節のしこり
股関節の皮膚表面付近には、免疫機能を司る組織としてリンパ組織というものがあります。このリンパ組織に風邪やケガなどによって細菌やウイルスが入りこむと炎症を起こし、しこりとなることもあります。
また男性の方に多いのが脱腸と呼ばれる鼠径(そけい)ヘルニアを原因とするしこりです。そして股関節にできるしこりのうちもっとも怖いのが、悪性リンパ腫と呼ばれるリンパ節の腫瘍です。
悪性リンパ腫とはどんな病気?
悪性リンパ腫とは、わかりやすく言うと血液がガンになることです。血液の中のリンパ球がガン細胞に冒さると、リンパ管の中で異常に増殖してしまいリンパ節が腫れあがる症状が起きます。これが股関節におけるしこりの原因となります。
股関節にしこりができたからと言って、悪性リンパ腫である可能性というのは、そう多くはありません。しかしながら重大な病気の予兆として、記憶にとどめておく必要があります。
微熱をともなったり、体重が減少傾向にある場合には、医療機関へ相談し必要な治療を受けなければなりません。
悪性リンパ腫の治療は一般的なガン治療とほぼ同じく、放射線による治療や抗ガン剤投与による薬物療法、造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)などが施されます。
鼠径(そけい)ヘルニアによるしこり
俗に脱腸と呼ばれる疾患です。腸の一部が本来ある場所からはみ出して、ももの付け根の辺りにしこりのような形になって出てきます。鼠径ヘルニアはあらゆる年代の方が発症する可能性があり、比較的男性に多い疾患です。
ヘルニアとは、本来あるべき場所になく飛び出した状態にあることを言います。そしてその飛び出したものが、筋肉などで締め付けられて戻らなくなった状態を嵌頓(かんとん)ヘルニアと言います。
このような状態になると、消化物が腸を通過することができなくなり、腸閉塞(ちょうへいそく)を起こし、さらに飛び出た部分が壊死(えし)してしまいます。これは命に係わる非常に危険な状態を意味します。嵌頓(かんとん)状態がいつ起こるかはまったく予測できないことです。
嵌頓(かんとん)状態になると緊急手術と長期入院を余儀なくされます。はみ出した部分が普段より大きくなり戻らなくなったら、すぐに医療機関を受診しましょう。
鼠径(そけい)ヘルニアの治療は、手術療法のみになります。手術は、昔から行われているバッシーニ法や、人口補強材による穴の補てんなど、比較的軽いもので日帰りもしくは2,3日の入院で済みます。術後1週間で抜糸、3週間で激しい運動も可能になります。
ウイルスや細菌によるリンパ節の炎症
病気によるウイルスや細菌感染によるリンパ節の腫れをリンパ節炎と言います。自己免疫機能のひとつの症状になります。
したがって病気ウイルスによる腫れは、自然と治ることが多いのですが、ケガなどによる炎症は痛みと発熱をともない、膿(うみ)が出てくることもありますので注意が必要です。傷口の保護、抗生剤の服用が必要になってきます。
まとめ
股関節のしこりの原因~軽いものから命に係わるものまで
軽度のしこり、痛みをともなわない場合
リンパ節に関連する股関節のしこり
悪性リンパ腫とはどんな病気?
鼠径(そけい)ヘルニアによるしこり
ウイルスや細菌によるリンパ節の炎症