骨盤の歪みとはよく言われますが、実は多くの方が歪んだまま生活しているのが現状かも知れません。人体における重要な骨である骨盤の持っている役割を考察しながら、まずは日常的な何気ない動作や癖から 骨盤の歪み を見つけ出し、骨盤の歪みを矯正するための対策までを記します。
骨盤の歪みについて
骨盤の働き
骨盤は人間の身体のほぼ中心にあり、上半身と下半身を結ぶ重要な役割を担っています。上半身を支え、下半身の安定的な歩行をバランスよく機能させます。また内臓や生殖器を護り、その機能を助ける役割を担っています。座ったときには、姿勢の安定を保ってくれます。
骨盤は、仙骨、恥骨、腸骨、坐骨の四つの骨から形成され、それぞれの骨ごとの役割があります。仙骨は仙腸関節とも言い、骨盤の中央に位置し、腰椎と恥骨をつなぐ役割を担っています。この仙骨の歪みやズレが、骨盤のゆがみ・ズレに大きく影響すると言われています。
この仙骨がズレると、背骨もズレて姿勢も崩れ、様々な身体の不調を引き起こしてしまいます。一般的に腰骨(こしぼね)と言われる腸骨は、内臓や生殖器を護る働きがあります。
骨盤の前面にある骨を恥骨と言います。恥骨もまた前面から生殖器や内臓を護ります。妊娠や出産により恥骨の位置がズレてしまい、痛みを訴える方もいます。
そして座るときに重要な働きをするのが坐骨です。骨盤の中でもっとも下にあり、座ったときにちょうど座面になるような骨です。この坐骨を上手く使って座ることが、身体に負担の掛からない座り方と言えます。
正常な骨盤と歪んだ骨盤
正常な骨盤をエックス線写真で見ると逆三角形の形になります。さらに二等辺、もしくは正三角形になっていることが、左右のバランスの良さを表しています。
カバンをいつも同じ方の肩に掛けていたり、座ったときに常に脚を組む癖のある人は、左右にずれが生じてしまい、骨盤の形がゆがんだ不等辺三角形になってしまいます。
これは骨盤における蝶番の役割をしている仙骨が、同じ動作を繰り返しているうちに偏ったまま硬化してしまうことによります。
また、猫背の人や座ったときに足を投げ出し背もたれにもたれかかる人などは、骨盤が開き、仙骨も開き後ろに倒れる傾向にあります。これは背筋などの骨盤を立たせる筋肉が弱った結果となります。このような場合、エックス線写真では骨盤中央の穴が開いて横長に見えます。
骨盤の歪みによって起こる症状
骨盤の歪みは、腰痛、頭痛、肩こりなど様々な慢性病の要因となります。バランスが悪くなりますので、疲れやすくなり、イライラしがちになります。歪み方によってもそれぞれ特色があります。
骨盤が左右に歪むと、背中の筋肉も偏り、肩こりや腰痛の原因となります。また左右の脚の長さに違いが生じたり、変形したりします。片側の靴底だけがすり減ることも骨盤の左右への歪みによります。
女性に関して言えば、生理痛になりやすい傾向にあります。骨盤が後ろに倒れて開いている方は、疲れやすい傾向にあります。背筋や腹筋が弱く、おのずと姿勢も悪くなります。
姿勢の悪さがますます歪みを助長してしまい、悪循環におちいりがちです。内臓が圧迫され、消化機能が働きにくくなり便秘になりやすい傾向にあります。また下半身への血流が悪くなり、冷えやむくみの原因ともなります。
高いハイヒールを履いていると姿勢も限定されてきます。背中を反り、お尻を突き出す姿勢は素敵に見えますが、お腹の肉が収縮せずに伸びきった状態になるため、腹部の筋肉を聞与えることは出来ず、ポッコリお腹の原因ともなります。
いわゆる下腹が出るという状態です。このような場合、骨盤は前に倒れて歪んだ状態にあります。
骨盤の歪みの矯正
骨盤の歪みを矯正するためには、正しい姿勢を意識し、関節をバランスよく動かすことが大切です。歪みの矯正にもっとも効果的な運動はウォーキングと言えます。よく歩くことによって、骨盤の中で蝶番の役割をしている仙骨が硬直することを防ぐことが出来ます。
仙骨周囲を柔軟に保つことによって、歪んだ状態から逃れることが出来ます。さらに正しい位置を保つために、背筋や腹筋をバランスよく鍛えることも大切です。
最後に手軽にできる、骨盤締めのエクササイズをご紹介します。膝にタオルを挟んだ状態でスクワットをします。するとスクワット動作により、仙骨が動き骨盤が引き締まります。
また膝にタオルを挟むことによって、内腿筋などの脚の内側の筋肉から骨盤周りにかけての筋肉が鍛えられ、安定感が増します。下半身の安定が上半身を支え、バランスの良い姿勢を保てるようになります。ぜひお試しになって下さい。
まとめ
骨盤の歪みについて
骨盤の働き
正常な骨盤と歪んだ骨盤
骨盤の歪みによって起こる症状
骨盤の歪みの矯正