皆さんは「突き指」になったことはおありでしょうか。マレットフィンガーは突き指とは全く異なる症状にも関わらず、突き指と誤診されることが多く患者さんは医師に振り回されることになります。
このような不運に遭遇しないよう、この機会に マレットフィンガー の基礎知識を身につけて自己防衛に努めてはいかがでしょうか。
固定するだけでは治らないマレットフィンガー
身近に潜む原因
突き指が重症化したケガがマレットフィンガーです。DIP関節(指先の関節)が曲がり、そのまま伸びることができなくなった状態です。
ご自身での見極め方は、指先が伸びない、指先が下を向いたまま、指の第一関節と爪の間に腫れや痛みがある、といった場合はまずマレットフィンガーの可能性が高いです。
原因は、①骨が原因の場合、末節骨が骨折しています。悪化しているとDIP関節が脱臼します。②腱が原因の場合、末節骨に付随する伸筋腱(深指屈筋腱)が切れてしまっていることが多いです。
これらは日常のほんのささいなこと、例えば野球ボールでなくとも軟式テニスボールが当って痛めた、満員電車でうまく姿勢を保てず指を痛めたなどということで起こります。腱を断裂した場合は痛みがあまりなく、腫れが少し出ます。指先が下を向いたまま伸びません。
剥離骨折の場合は第一関節と爪の間に腫れが生じ、うずくような痛かゆいような症状があります。指先を軽く叩いて患部に痛みが響くようであれば剥離骨折の疑いが高まります。
どの症状も我慢できない激痛というほどでもなく、虫歯がうずくけれども歯医者さんを敬遠して先延ばしにできる方であれば、病院へ行く手間を惜しんでしばらく様子をみてみようとなるのも無理はありません。しかし治療が遅くなればなるほど、残りの人生が歯がゆいものになる確率が上がります。
治療は根気が必要
骨折を伴う「骨性マレット指」の場合には手術が必要な場合もあります。「腱性マレット指」は装具などを用いる保存療法が一般的です。手術をして整復固定を施しますが、固定期間が十分でないとマレット変形が生涯にわたって残存し、指先の完全伸展ができなくなります。
固定期間は、予後には個人差がありますが剥離骨折の場合はおおよそ4週間、腱断裂の場合はおおよそ6~8週間くらいです。
手足の骨折と異なり、固定しなくても生活に困ることがなく忙しさにかまけて病院へ行くのも止めてしまうと後悔します。固定しないで動かしたほうが治りが早くなるというのは誤りです。動かしてリハビリをするのは固定期間が過ぎてからの話です。
早め早めの行動を
突き指かもしれないのに病院へ行くのは恥ずかしいなどと躊躇せずに、心配であれば直ちに病院へ行きましょう。
そこで「突き指ですね。湿布を出します」などと診断されてしまい、1週間くらい様子を見ていたが一向に回復の兆しがみられなければもう少し設備の整った大きい病院へ足を運びましょう。またも「突き指です」と診断されたら、思いきって「マレットフィンガーではないでしょうか」と申し出てみましょう。
医師に意見するふてぶてしい患者と思われても良しとして、なにしろ時間が経ってしまうと手術をしてもやや曲がったままの状態となる可能性があるのです。無事に手術や固定期間が終わったら、自主リハビリの始まりです。
どこででもできるのは、①手を強く握り、5秒ほどそのままキープします。②手を開いて全部の指を思い切り伸ばします。この動作を暇なときに1回3セットを目安に行います。
健康なときでも力を入れることが少ない方には、なかなかむずかしい動作です。良い機会ですから、ちょっとしたことでケガをしないようにからだの体幹を鍛えましょう。ラジオ体操のほかに腕立て伏せや懸垂がお勧めです。
まとめ
固定するだけでは治らないマレットフィンガー
身近に潜む原因
治療は根気が必要
早め早めの行動を