よく自動車事故などで耳にすることのあるムチ打ちという症状があります。 首 にまつわる痛みの中でも、一般的に使われている言葉のわりに、その意味と症状はあまり知られていません。
ここでは ムチ打ち症状 とその原因、そしてムチ打ちの治療について詳しくご案内していきます。
首の痛み~ムチ打ち症状の原因と治療~
ムチ打ち症状とはどんな痛み?
自動車において後ろから追突された場合、座席に座った人間の身体は、衝撃で大きくしなります。この状態が、動物などを飼育するときに使うムチのしなり具合に似ていることから、ムチ打ちと呼ばれるようになりました。
後ろから追突されると、まず胴体の部分が前に持っていかれて、重い頭部は後から引っぱられるように衝撃を受け止めます。このときの頭部と胴体の動きの差によって首、または周辺の関節部分に何らかの損傷を負い、痛みをともなう症状のことをムチ打ち症状と言います。
自動車の追突事故にかぎらず、さまざまな条件下で起こり得る症状です。事故当日は、首や肩の痛みだけで済むこともありますが、翌日あたりから耳鳴りや頭痛、めまい、吐き気、肩こりや食欲不振などの症状があらわれます。
このような症状は日常的に起こりうることと、外見上の変化が見られないことで、ムチ打ち症状として診断することは、とても難しいことと言えます。
わかりにくいムチ打ち症の診断
ムチ打ち症とは俗称です。交通事故などの直接的な原因がはっきりしていることを根拠に、詳細な検査のもと「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」「頸椎捻挫(けいついねんざ)」あるいは「軽度外傷性脳損傷(けいどがいしょうせいのうそんしょう)」などの診断が下されます。
骨折や、はっきりとした外見上の損傷が認められなければ、けん引機器などによる療法も行われますが、頸椎カラーによる固定や鎮痛剤の服用などの保存療法が一般的です。また鍼灸治療院における健康保険適用の疾患のひとつでもあることから、鍼灸治療に通う方も少なくありません。
ムチ打ちの段階的治療
何よりも安静が大切です。頸椎カラーの着用は損傷初期の患部の保護のためには必要です。しかしながら長期にわたる着用は筋力の低下を招きますので、炎症やひどい痛みが治まってきた段階で、外して徐々に慣らしていくことが大切です。
そのときにけん引機器などにより積極的な首の動きをうながす治療も行われることがあります。マッサージや温熱療法もこの段階から行われます。その後のリハビリを経て、完治はおよそ3ヶ月がめどになります。交通事故保険の適用もこの期間が目安になります。
それ以降、症状が残るようであれば、症状固定と呼ばれ、自費による治療を続けなければなりません。症状固定とは、これ以上治療を続けても治りませんと診断されることです。したがって慢性的な症状と付き合っていかなければならないということです。
およそ3ヶ月間におよぶ治療のうちに出来るだけ治すことが望まれます。そのためには、生活習慣の見直しが必要とされることもあります。特に肩こりなどは後遺症として残りやすいので、できるだけ肩こりを招きやすい習慣は避けましょう。
意識しすぎて過剰保護になるとあらゆる筋力が衰えてしまうので注意が必要です。またムチ打ち症によって「脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)」を発症することもあります。
脳脊髄液減少症に注意!
脳脊髄液減少症とは、髄液が慢性的に漏れ出ることによってさまざまな機能障害を発症する病気です。人間の頭蓋骨の中にある脳は、脳脊髄液という液体の中に浮いている状態にあります。この脳脊髄液は脳から脊髄へと繫がっています。
事故などのアクシデントにより脊髄が損傷してしまい、脊髄液が漏れ出てしまうことがあります。すると脳は安定して浮いていることができなくなります。脳が不安定な状態になることにより、頭痛やさまざまな身体の機能障害が起こります。
外観上はまったくわからないムチ打ちにおいて、軽い痛みだから大丈夫、と安心してはいけません。事故に遭遇してしまったら、必ず専門の医療機関で詳細な検査を受けて、適切な治療を受けましょう。
まとめ
首の痛み~ムチ打ち症状の原因と治療~
ムチ打ち症状とはどんな痛み?
わかいにくいムチ打ち症の診断
ムチ打ちの段階的治療
脳脊髄液減少症に注意!