胸焼けは自覚症状による漠然とした感覚ですので、病気とは無縁の症状と軽視しがちです。けれども定義づけると胃食道逆流症と同じ意味を表し、重大な病気へと発展しかねません。 胸焼け と胃食道逆流症との違い、そして原因と改善策についてご案内します。
胸焼けの定義と胃食道逆流症
胸焼けという症状
胸焼けとは、文字通り胸が焼け付くように感じる、あるいは胸が締め付けられるような痛みの症状のことを言います。
食べ物は口から入り、食道を通じて胃へと運ばれます。そして胃の中で胃酸によって消化分解され、身体の中の栄養分として摂りこまれるものと、排泄されるものとに分けられます。
ところが、何らかの原因により胃の中で消化されるべきものが、胃から食道へ逆流したり、胃酸が出すぎてしまい食道を痛めつけてしまうことがあります。
これらの原因により食道がダメージを受けて胸焼けという症状を引き起こすのです。
食道から胃への入り口には括約筋と呼ばれる筋肉があります。これは胃から食道への逆流を防ぐ弁の役割をしています。本来ならば括約筋の伸縮により、胃から食道への逆流は起こらないようになっています。
けれども暴飲暴食または過食気味の方などはこの括約筋の働きがにぶくなり、食道への逆流が起こり、胸焼けになりやすいようです。
胃食道逆流症と逆流性食道炎
胃食道逆流症とは、胃酸や胃の内容物が食道へと逆流し、食道の炎症を引き起こす、あるいは食道に逆流することによる不快感、胸が焼けるような感覚や胸の痛みを伴う疾患のことを言います。これは胸焼けの定義と同じになります。
胸焼けとは症状をあらわす感覚的な言葉であり、胃食道逆流症だけでなく他の病気に伴っても起こりうる症状です。つまり胃食道逆流症は、胸焼けの症状を伴う疾患のひとつであるということになります。
さらに胃食道逆流症は、逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症とに分類されます。
逆流性食道炎とは、胃酸・胃の内容物の逆流により、実際に食道に炎症が認識された場合のことを言います。
非びらん性胃食道逆流症は、炎症が認められない場合の感覚的な胸焼け・胸の痛みに対しての診断名となります。
胸焼けを引き起こす原因
胸焼けを引き起こす原因は様々です。そのひとつに暴飲暴食、アルコールやカフェインの過剰摂取といったものがあります。
暴飲暴食は胃酸をつねに分泌しやすい状態をつくってしまいます。そして胃酸過多になり、胸焼けの症状を引き起こしてしまいます。
だからといって過剰に分泌された胃酸に見合うだけの食べ物を摂りこもうとすると、過食になり、食べ物が逆流して胸焼け、あるいは嘔吐といった症状を引き起こしてしまいます。
またダイエット中の方が胸焼けになる場合もあります。これはわずかな食べ物に対しても、ある一定量の胃液が分泌されるため、胃酸過多の状態になってしまうからです。
アルコールやカフェインは胃の粘膜より小さな分子構造のため、胃を直接刺激してしまいます。そのため胃酸の分泌が促され、胃酸過多となり、胸焼けの症状を引き起こしやすい飲み物ということになります。
あとあと不愉快な気分で過ごさなくても良いように、体調に合ったバランスの良い飲食というものを心がけたいものです。
日常生活による胸焼けの改善
出来るだけ腹圧を下げる状態をつくることが望まれます。
ベルトや帯などによる腹部の無理な締め付けや長時間の前屈姿勢などは腹圧を上げることになり、逆流しやすい状況をつくることになります。特に食事のすぐ後は、消化されるまでしばらく寛いで過ごすことが望まれます。ただし、横になると逆流しやすくなるのでご注意ください。
また胸焼けを引き起こしやすい食べ物としては脂肪分の多いものやチョコレートなどの甘いもの・柑橘類などが挙げられます。いずれも摂取してから、胃の中にとどまっている時間が長いために胃酸の分泌が多くなりやすい食べ物です。
コーヒー・紅茶・お酒または香辛料やタバコなども胃酸の分泌を活発化させて逆流を引き起こしやすいと言えます。消化のよい食べ物としてうどんや雑炊・おかゆなどが挙げられますが、そればかり食べるわけにもいきません。
いずれも過剰摂取を控えてバランスを考えた食生活を送ることが大切です。
逆流をふせぐ括約筋が疲弊しない状態を保つことは大切です。肥満気味の方は内臓が圧迫されて思うような機能を果たせない場合が多くあります。
またストレスによる免疫系の異常、胃酸過多・括約筋のゆるみなども逆流の原因となります。ストレスを溜めこまないように、またそのストレスを暴飲暴食によって発散させないように、出来るだけ他の健全な方法で発散させましょう。
まとめ
胸焼けの定義と胃食道逆流症
胸焼けという症状
胃食道逆流症と逆流症食道炎
胸焼けを引き起こす原因
日常生活による胸焼けの改善