内耳炎というと耳が聞こえにくくなったりする病気、と漠然とイメージされる方が多いかと思われます。むずかしい病気ではなく、薬を服用していれば治るものとあまり深刻に考えずにいると一生の後悔では済まされないような事態になることもあります。
内耳炎 の怖さについてご紹介いたします。
完治はむずかしい?内耳炎の原因と治療
発症しやすい体質はあるのか?
内耳炎は主に中耳腔の炎症が内耳に及んだものです。中耳腔の炎症が中耳でおさまらず、中耳と内耳を隔てている正円窓と卵円窓を通って内耳にまで炎症を運んできてしまったのです。
このほかにも、髄膜炎が原因で発症したり真珠腫性中耳炎を起こして内耳の骨が破壊されることによって中耳腔の炎症が内耳に達することもありますし、ほかの経路から発症することもあり予防法は特にないといって良いでしょう。
中耳の炎症が内耳に及ぶときは急激にということもあったり、少しずつ徐々にというケースもあります。急性中耳炎や慢性化膿性中耳炎の方は発症しやすいとも限りません。
風邪をこじらせて肺炎や髄膜炎になる方、ならない方がいらしゃるように髄膜炎や中耳炎になったから内耳炎になると決定したわけではありませんので、悲観的になることはないでしょう。
しかし耳の調子が悪いなと自覚した時点で耳鼻科へは早めに行くことをおすすめします。耳は内臓よりも丈夫な器官ではありませんし、少しの衝撃で鼓膜が破れてしまうような繊細な器官です。
おそらく腹痛よりも耳痛のほうがガマンするのも大変です。頭痛と勘違いして頭痛薬を飲むようなことのないように気をつけましょう。
想像よりもつらい症状
急性の場合で症状が強くあらわれたときは、激しい回転性のめまい、ひどい難聴や耳なり、吐き気やおう吐などの症状に苦しめられます。
一晩休んで症状がおさまるということはまずありません。むしろ一睡もできないことのほうが多いでしょう。救急車をよんでも非難されることはありませんので、病院へ行きましょう。
少しずつ徐々に中耳から内耳へ症状が及んでいる場合は、軽いめまいやふらつき感が起こったり難聴が少しずつ進んだり、キーンと耳なりが起こる頻度が増えたりします。
軽いめまいやふらつきはよくある方には気に留めることでもないですし、聞こえにくくなったり耳なりがするのもストレスや加齢によって起こることもあります。
急を要するというよりも、「これからこういうことが増えていくのだな」と納得してしまうと病院行きが遅れてしまい危険です。
中耳腔の炎症では自覚症状のないことも多いのですが、内耳には三半規管などの前庭器官と蝸牛という音の感覚器官があります。
どちらもからだのバランスをとるために不可欠です。中耳炎の強い炎症が内耳にまで到達すると内耳の機能が急激に低下するために、このような症状に見舞われるのです。
放置は厳禁
病院へ行くと、最初に問診をします。できるだけ症状を詳しく説明しましょう。そのあと耳のCTやMRIなどの画像診断、難聴がある場合は聴力検査、めまいがあるなら平衡機能検査をします。
髄膜炎や急性中耳炎などが内耳炎の原因と判明したときには、原因のほうの治療を優先します。急性の中耳の炎症には抗生剤が使われますが、内耳炎の症状には副腎皮質ステロイド薬やビタミン剤などが併用されます。
ですから、持病のある方や妊娠・授乳中の方、アレルギーのある方などは服用できないこともあります。お薬手帳などをお持ちの方は忘れずに持って行き医師に提示しましょう。
最終手段ですが、手術という選択肢もあると頭の片隅に入れておいてください。手術をするには費用と時間がかかりますが、手術をして中耳炎の症状がおさまっても内耳の機能障害が残るケースは珍しくありません。
主に難聴が残ってしまうことが多いのですが、薬の服用で完全に治ることは今の医療ではむずかしいようです。耳がきこえにくいという状態が生涯続くというのは、よそ目にはわかりにくい障害なだけに大変です。
日常生活でも仕事でもしなくて良い苦労をすることも多くなります。耳なりがする、めまいがする、耳がおかしいかもと気がついたらただちに耳鼻科でみてもらいましょう。
まとめ
完治はむずかしい?内耳炎の原因と治療
発症しやすい体質はあるのか?
想像よりもつらい症状
放置は厳禁