皆さんはふだん、「軟骨」という組織を意識して生活されていらっしゃらないかと思われますが、 軟骨 は関節の動きと密接な関係があります。特にいつまで元気に歩行ができるか否かは人生にとって最も重要な要素の一つです。
この機会に今まであまり意識していなかった軟骨について知識を得てみてはいかがでしょうか。
食べものと運動で丈夫で頑丈な軟骨をつくる
軟骨が危なっかしいわけ
まず、軟骨とは何でしょうか。読んで字のごとく柔らかい骨です。関節がスムーズによく動き、体重を受けられるように骨の端っこにあります。弾力性のある寒天のような半透明の物質です。
関節軟骨は非常にデリケートな組織です。スポンジのような構造をしていて、コラーゲンやケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸を含んでいます。
真新しいスポンジをイメージしてみてください。指で押してもすぐに元の形状に戻ります。それが食器を洗ったり使い込んでいるうちにスポンジがもろくなってきます。ポロポロと取れてしまうこともあります。
軟骨も同様で、事故などに遭わなくても、加齢とともにもろくなっていくのです。丈夫なからだをつくるのは何才からでも手遅れということはありませんが、危機感を抱いてからではなく、元気なうちから意識した生活を心がけたほうが心身ともに楽です。
自力で再生できない
軟骨はいったん損傷すると元通りに治す方法がありませんでした。しかし、近年では患者さんご自身の細胞を使って修復する再生医療が効果をあげています。
ただし、この治療の対象となるのは成長期のお子さんに多い離断性骨軟骨炎や、スポーツや交通事故などによる外傷が主たるものです。
つまり、老化によるものとみられる軟骨の損傷は原則として対象外ということになります。再生に用いる細胞自体が弱っている可能性が高いですし、その分成功する確率も下がります。
フライドチキンの骨の端のように関節の端っこにくっついている軟骨には、血管や神経組織が通っていません。そのため、損傷しても安静にしていれば自然に元に戻るということはないのです。
どんなお薬や評判の漢方薬でも、血管がないので軟骨まで届くことはありません。勧められても、「関節まで届いて少し楽になれば良いかな」くらいの気持ちで受け取ってください。
食べものの力
お薬は届かなくても、食べたものがからだをつくっていることに変わりはありません。骨を強くして軟骨のはたらきを助ける成分を積極的に摂取しましょう。できれば毎食の食事から取り入れたいものですが、なかなかむずかしいと思いますのでサプリメントも味方につけましょう。
ただ、サプリメントは体質によっては体調を悪化させますので持病のある方や妊娠・授乳中の方などは医師の判断を仰いでください。
軟骨に良い成分はグルコサミン、コンドロイチンに加えてDHA、EPAなどのオメガ3脂肪酸です。グルコサミンは、ヤマイモやオクラ、牛肉・豚肉・鶏肉の軟骨、日常食ではありませんがウナギ、フカヒレ、カニやエビの殻にも含まれています。
コンドロイチンは、ヤマイモやサトイモ、納豆、なめこ、オクラ、鳥の皮、ウナギにも含まれています。どなたもお一つくらいはお好きな食べものがありましたでしょうか。
オメガ3脂肪は、青魚に多く含まれます。いわし、鮭、サンマ、鯖、ニシン、ブリなど旬のものをいただきましょう。くるみやエゴマ油、シソ油からも摂取できます。
カルシウムも大切です。乳製品や小魚、大豆製品を食べ過ぎないように気をつけて摂取してください。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるのに欠かせません。ほうれん草や小松菜、いわし、干ししいたけなどに含まれています。
最後に、食べものの吸収には運動が不可欠です。ウォーキングやラジオ体操などの負荷の軽い運動をゆっくりできればほぼ毎日継続すると効果はさらにアップします。
まとめ
食べものと運動で丈夫で柔軟な軟骨をつくる
軟骨が危なっかしいわけ
自力で再生できない
食べものの力