整骨院 や鍼灸院・あん摩マッサージは、病院や診療所と違い、それぞれに健康 保険 適用の対象となる診療項目にあいまいな部分が多くあります。また、同じ症状においても通院された整骨院によって違うこともあります。整骨の歴史と、各療養施設における決まり事について記します。
整骨院その他の療養施設と保険
整骨の歴史
日本古来の武術である柔術には、相手を倒す「殺法」と、負傷した相手を蘇生、治療していく「活法」があります。この「活法」が体系化され、治療行為として発展したものが「柔道整復術」、すなわち整骨ということになります。
整骨院で行われる治療は、この「柔道整復術」によるものです。「柔道整復術」は明治時代以降の近代化に伴い、政府の「接骨禁止令」の公布により存続の危機に立たされたことがありました。
その後、第二次政界大戦後のG・H・Qによる急激な欧米化が始まり「武道の廃止と医学教育の伴わない医療行為の禁止」が公布されます。
関連団体や国民の多くの反対運動により、この危機をも脱した「柔道整復術」は1970年に「柔道整復法」の制定により、国家資格の柔道整復師による治療行為として認められるようになりました。
整骨院における保険診療
整骨院の先生は柔道整復師といって、おもに手技による施術を行い、患部を回復に導いていきます。医療行為をすることはありません。整骨院では、この手技による施術が治療として認められるときに保険適用の対象となります。
すなわち、負傷原因のはっきりと分かっているねん挫や打撲、骨折や脱臼のときに限られます。このうち骨折や脱臼に関しては、緊急の場合の応急処置、もしくは医師の同意を得たうえでの施術であれば、保険適用ということになります。
また整骨院での保険適用の施術の回数は、あらかじめ決められています。そのため目立った改善のないままに療養期間が過ぎてしまうことも少なくありません。
そのような場合に、いわゆる保険の不当請求となるかもしれないような他の原因をこじつけて施術を続ける整骨院もないわけではありません。
その良し悪しは別として、療養期間があまりに長期に渡る場合には、他の原因も考えられます。別の施設や医師への相談も必要になってきます。
整骨院における保険外診療
柔道整復師が国家資格であり、整骨院のキャッチフレーズに「健康保険適用」と書かれてあったとしても、全ての施術において保険適用となるわけではありません。
肩こりや慢性の腰痛、筋肉疲労などは保険の対象にはなりません。このような症状は直接的な原因を特定できない場合が多く、慢性的で、長期に渡る療養が必要になるからです。
また直接的な負傷原因によるねん挫や打撲などにおいても、他の医療機関による治療を受けていたら、重複して保険を受けることは出来ません。
整骨院における支払い
整骨院における療養費の支払いは、1936年に都道府県ごとに柔道整復師協会と協定を結び、料金を定め受領委任の方法をとって現在に至っています。つまり病院などと同じように患者さんは自己負担分のみ支払えば済むということです。
ちなみに鍼灸やあんまマッサージにおける療養費で保険適用となる場合には、全額支払った後に患者さん自らが保険請求を行う「償還払い」という形をとることになります。
整骨院においては、柔道整復師が患者さんに変わって保険請求を行うため、必要書類へのサインを求められます。また、同じ負傷箇所において他の医療機関等で保険診療を受けている場合には、保険を適用することは出来ません。
その他の療養施設における保険診療
鍼灸院における保険診療には、必ず医師の発行した診断書および同意書が必要になります。施術を受ける前に、鍼灸院へ問い合わせて確認することが望ましいでしょう。
鍼灸院での診療項目は神経痛やリウマチ、五十肩、腰痛や頸椎ねん挫後遺症などの慢性的な痛みに対する疾患への治療になります。
あん摩マッサージというと、疲労回復や慰安を目的とする場合が多いのですが、それ等の施術において保険は適用されません。
筋肉の麻痺や関節の拘縮など、治療においてマッサージを必要と認められる症状において施術を受けた場合に限って、保険適用の対象となります。この場合も医師の診断書または同意書が必要になります。
まとめ
整骨院その他の療養施設と保険
整骨の歴史
整骨院における保険診療
整骨院における保険外診療
整骨院における支払い
その他の療養施設における保険診療