整骨と整体は似て非なるもの、整骨とは柔道整体師の手技による施術、治療行為のことを言い、整体とは人間の身体の本来持っている力を取り戻す手助けをする施術であり、治療と言うよりは慰安行為と呼ぶほうが適切かもしれません。整骨をする施設が 整骨院 、 整体 を施設が整体院です。
整骨院と整体の関係
整骨とは
整骨とは、柔道整復師という国家資格者による手技での施術を言います。手技による施術は主に、骨折や脱臼、打撲、ねん挫、肉離れなど、筋肉や骨・関節などの損傷の治療行為として行われます。
整骨を行う柔道整復師の資格を取得するには、厚生労働省認定の養成学校において3年間学び、卒業後に国家試験を受験し、合格しなければなりません。もともとは地域医療における整形外科医の不足から生まれてきたのが、整骨という分野であり、柔道整復師という職業なのです。
整形外科と整骨院
整形外科の不足を補うために普及してきた整骨院なので、診療項目は整形外科と重複するところが多くあります。骨折や脱臼、打撲とねん挫、さらに肉離れなどの骨・関節・筋肉に関する物理的な損傷への治療行為になります。
しかしながら治療行為自体はまったく別物と言っても差し支えありません。整形外科は西洋医学による検査と手術、投薬を基本としています。
対して整骨院では問診・触診はありますが、レントゲン検査や手術、投薬はいっさいありません。手技による施術のみで治療していきます。整骨術は、日本古来の武術である柔術から発展してきた、神秘的ともいえる東洋医学による治療法です。
整体について
整体というジャンルの普及に努めた人物として、二人の名前が挙げられます。橋本敬三氏と野口晴哉氏です。外科医であった橋本敬三氏は操体法という健康術を提唱し、1941年に仙台に手技療法中心の温古堂医院を開設しました。
その後、操体法の研究を深めつつ、執筆活動等により普及に努めていきます。マスコミで報道されるようになったのは1970年代に入ってからのことです。
野口晴哉氏は1956年に「社団法人整体協会」を設立します。漢方医の九男として生まれた野口氏は、早くから東洋医学の重要性に気付きます。15歳で「自然健康保持会」という道場を開き、手技中心の健康維持法の研究と発展に努め、「整体術」を体系づけて確立していきました。
橋本敬三氏や野口晴哉氏の尽力により、整体という言葉は普及し、整体術は健康法のひとつとして確立されていきました。
しかしながら整形外科医の不足から普及してきた整骨術とは経緯が違うために、法整備は進まず、各団体や協会による認定の「整体師」有資格者による施術が行われているにすぎません。
整骨院と整体
整骨院というものが、整形外科を補うために普及してきたのであれば、「整体院」もまた、整骨院に出来ないものを補うために普及してきたと言えます。まさに民間資格であるがゆえの自由さを利用して、癒し空間としての多様な設備を整え、サービスを提供している整体院も少なくありません。
整骨院と違い、健康保険はまったく使えないのですが、利用者に経済的な負担を感じさせないどころか、それ以上の信頼を得ているのが現状です。
もはや「病院」や「整骨院」を凌駕する勢いで、「整体院」、「カイロプラクティック」は街に溢れてきています。その競争が技術やサービスをいっそう発展させていきます。
このような現状を踏まえ、「整骨院」においても整体の要素を取り入れ、サービスの多様化と集客に努めるところも増えてきました。
本来はそれぞれにおいて利用目的は違うはずなのです。「整形外科」は医療機関であり、検査、手術、投薬を行います。「整骨院」は負傷の治療を手技により行います。「整体院」は、慢性の痛みや生活習慣の矯正、ストレス解消のための癒しを提供するところです。
最近では柔道整復師のいる病院もありますし、整体やカイロプラクティックもやるという整骨院もあります。保険の適用に関しても、法的に違反するサービスを提供しているところも少なくありません。法律によって護られるところもあれば、縛られて発展を妨げられることもあります。
高齢化はいっそう進み、「健康」への信仰心は尽きることはありません。「整骨院」、「整体院」においては、もはやボーダレス化しつつあります。様々な方向から見直す時期に差し掛かっているのかもしれません。
まとめ
整骨院と整体の関係
整骨とは
整形外科と整骨院
整体について
整骨院と整体