腰が痛くて湿布をもらいに病院へ行ったら、病院で「 脊柱管狭窄症 です」と診断されると、湿布をもらって帰されるということにはなりません。
薬物療法や 手術 の方法、おからだへのご負担などをご紹介いたします。
失敗しない?脊柱管狭窄症の手術とは
手術は一生に一度
腰部の脊柱管狭窄症の手術は基本的に人生で一度きりの一大イベントです。再発して2回も10回も手術をして疲労困ぱいするご心配はありません。よほどの重症でなければ、まずは薬物療法で何とか矯正できないかと治療を開始することになります。
腹痛や頭痛などよりもガマンしやすいこともあり、病院へまじめに通うのが面倒になってしまうかもしれませんが、それでは必ず近い将来に後悔します。
まじめに通ったからといって報われるとは限りませんが、腰部の不調は一生ついてまわりますので、サボらずに通院しましょう。薬物療法でほとんど効果がみられない、という段階になって初めて本格的な手術の検討をすることになります。
手術は経験豊富な、ご自身なりに「この先生は腕も人格も信頼できる」という医師に施術してもらうのがいちばんです。ドクターショッピングのしすぎもよくありませんが、不安や疑問などがあればほかの病院をいくつか回ってみても良いでしょう。
手術は大きくわけて「除圧」と「除圧固定」の2種類があります。手術の主目的は背骨の神経を圧迫している黄色靭帯や骨の一部を取り除くことです。これを除圧とよびます。背骨が不安定な場合は、除圧プラス背骨の固定も行います。
開くか切るか
脊柱管狭窄症の手術で最も普及しているのは、「拡大開窓術」です。椎弓をまるごと切除するのではなく、神経を圧迫している部分の追求のみを切除するスマートな手術です。狭窄がまだ強くなく緩やかな場合によく勧められます。とはいえさすがに日帰りではできません。
2週間と少々のご入院が必要になります。「椎弓切除術」は脊柱管狭窄を起こしている部分が広いケースでよく提案されます。棘突起、黄色靭帯、椎間関節の一部まで広く切除します。
ご入院期間は2~3週間ほどです。「棘突起縦割式椎弓切除術」は、筋肉の損傷が少なくて済みますので、術後の筋肉の痛みが少ないというメリットがあります。
名前のとおり背骨の棘突起を真ん中から縦に割って筋肉をつけたままで左右に広げて、神経を圧迫している椎弓の一部を取り除きます。ご入院期間は長くて2週間ほどになります。
もちろん最終的にどの方式にするかは医師が決定しますが、なにもわからない素人だからと遠慮せずに納得のいくまで質問をして不安を減らしましょう。あまりに不親切な説明で心配になってしまいましたら、ほかの病院へ行くことも検討してみると良いでしょう。
ただしどの病院の医師も似たり寄ったりということもありますので、妥協は必要です。
新しい術式の良さ
内臓の手術でも内視鏡を使う方式が一般的になってきていますが、脊柱管狭窄症でも内視鏡手術が可能になりました。
直径2センチくらいのレトラクターとよばれる円筒状の器具を椎弓まで差し込み、その中には直径3ミリのカメラを装着した内視鏡や手術器具が入っており準備完了です。モニターに映し出された映像をみながら手術を行うむずかしい手術です。
レトラクターの中で神経を圧迫している骨、黄色靭帯の切除を行うため医師には高度な技術と経験が求められます。しかし新しい術式ですから、熟練の医師はなかなかみつかるものではありません。
内視鏡手術のメリットは、ほかの術式と比較して入院期間が短いことと筋肉の損傷および術後の痛みが最も少ない点ですが、失敗するリスクも高いことはよく確認しておきましょう。
「除圧固定術」は、腰椎すべり症などの症状があり腰椎がぐらつくなどの不安定なときに背骨を安定させる固定術です。除圧術と合わせてMRI固定術を行うことが多いです。
除圧も除圧固定術も費用が80~150万円ほどかかりますので、病院によって差額が出ることもあります。
「いちばん高額だけれどもこの先生の手術が良い」など納得した上で入院の準備をしましょう。
まとめ
失敗しない?脊柱管狭窄症の手術とは
手術は一生に一度
開くか切るか
新しい術式の良さ