皆さんは脊柱起立筋をご存じでしょうか。ひとは背骨や腰骨、足の骨に支えられて立ったり座ったり動いたりしているように感じますが、 脊柱起立筋 が衰えると日常生活もままならなくなることもあります。
脊柱起立筋を意識した生活を心がければ、自然と前向きな気持ちにもなりますし、鍛えない手はありません。
脊柱起立筋を鍛えれば良いことづくめ?トレーニング法
大きすぎて忘れがちな筋
一般的には、からだを鍛えるとなると背筋や腹筋から頑張ってみようかと考える方が多いことでしょう。しかしその前に脊柱起立筋から鍛えたほうが効果は格段にアップします。
脊柱起立筋は脊髄ではなく、背中(背部)の上のほうの深部にあります。背部ではいちばん長く、いちばん大きい筋になります。仙骨、肋骨、側頭骨まで広がっていますので、腹筋や二の腕などよりも毎日お世話になっています。
にも関わらず知名度がイマイチなのは、おそらく学校の体育の時間に名前が出てくることがほぼ無いからでしょう。表面の筋肉よりも深部の筋肉をしっかり鍛えたか否かで、人生の後半が楽になるかつらいものになるか決まるといっても過言ではありません。
運動動作における主役は腹直筋ではなく脊柱起立筋です。体幹部を後屈(伸縮)できなくなると、頭が不安定になったり跳んだり走ったり上体を起こしたりが困難になってしまいます。ご高齢の方々が前傾姿勢気味になられるのは、脊柱起立筋が弱ったりからだが歪んできたりしているからです。
前傾姿勢になってから慌てて鍛えようとしても、そんな体力・気力はないかもしれません。ですから動けるうちにトレーニングをしておくべきなのです。
ふつうの腰痛と一味異なる痛み
脊柱起立筋を鍛えたいのだが、腰痛がつらくてとてもできないという方は「脊柱起立筋性腰痛」の可能性もあります。症状は、背中から腰周辺まで広く張っているような痛みがあります。
通常の腰痛は背中まではそれほど痛みは感じません。ゴロゴロしていても仕事中でも常に腰が重い、だるい感じがします。そこに中腰でモノを持ち上げるなどの負荷をかけると、刺すような痛みが腰に走ります。
いちばん楽になるのはお風呂です。湯船に浸かると痛みが和らぎます。背中のみが痛む場合は、悪性のガンの末期症状などほかの病気の可能性があります。
脊柱起立筋性腰痛を治すには、安静にしているだけでは筋肉がどんどん衰えて悪化するだけですので、からだを動かす必要があります。ふだんの動作の習慣を矯正するつもりで、ウォーキングやラジオ体操をすると良いでしょう。2週間ほどでからだの変化を実感できると思います。
今すぐ始められるトレーニング
からだを動かせる状態になったら、脊柱起立筋を鍛えます。深部に位置するこの筋は、筋肉痛になりにくい=実感しにくい筋肉ですから、過度なトレーニングは知らないうちに疲労を蓄積していますので注意しましょう。
からだ全体の筋肉の動きを意識しながら①肩幅くらいに両足を開いて立ち、両手にダンベルを持ちます。ダンベルがないときは、ペットボトルに水を入れて代用しても良いですが、重量が物足りないかもしれません。壊れずに長く使えますから、購入を検討しましょう。
②腰をひいて膝を軽く曲げます。③上半身を前傾させます。この姿勢がふらついてできない方は、相当弱っています。④背筋を伸ばしてダンベルをお腹のほうに引き上げ、ゆっくり元に戻します。10~20回ほど頑張りましょう。
ダンベルを持っていられないという方には①うつ伏せになります。手を後ろに伸ばすか、頭の後ろに組みます。肩こりや首こりのつらい方は手を後ろに回せないかもしれませんが、できる限り後方に伸ばしてください。
②上半身を3~5秒ほどかけて反り上げます。③できれば静止して5~10秒ほど耐えます。④3~5秒かけて元の状態(下に着地)に戻ります。10~30回ほど頑張ってみてください。回数よりも長続きするほうが大切です。
まとめ
脊柱起立筋を鍛えれば良いことづくめ?トレーニング法
大きすぎて忘れがちな筋
ふつうの腰痛と一味異なる痛み
今すぐ始められるトレーニング