皆さんは、就寝中に肩の痛みで目が覚めてしまい、そのまま寝付けずに朝になってしまったというようなご経験はあるでしょうか。急にスポーツをしたせいだ、あるいはこれが四十肩、五十肩というものかと観念した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その痛みはもっと深刻な「 石灰沈着性腱板炎 」の可能性があります。症状の特徴を頭に入れて、いざというときの一助にしてください。
働き盛りを襲う石灰沈着性腱板炎とは?
関節が外れた?夜中の不意打ち
初期症状は突然の肩関節の疼痛から始まりまるケー関節が外れた?夜中の不意打ちスが多いです。痛みで安眠妨害され、寝不足のイライラストレスでさらに痛みが増します。関節を動かすことができず、日常生活に支障をきたします。
一見ふつうに元気そうにみえるので、周囲の理解や労りを得られず手抜きをしているように言われると辛いところです。
症状には、急性型(発症後1~4週間ほど強い症状が出る)、亜急性型(中程度の症状が1~6ヶ月続く)、慢性型(運動時痛などが6ヶ月以上続く)があります。40~50代の女性の方に多くみられます。
石灰というのは、リン酸カルシウム結晶のことです。これが最初はクリーム状で徐々に石こうのように硬くなります。肩の腱板内に沈着してどんどん溜まって膨らんでくると炎症が生じます。腱板や滑板から滑液包内に破れ出る際には、耐え難い激痛に襲われます。
就寝中に起こりやすいのはじっとしていて肩関節や腱板に負荷がかかっているためです。
四十肩・五十肩と誤診されないように
まずは整形外科へ足を運びましょう。四十肩や五十肩と症状がよく似ているため、誤診する医師も少なからず存在します。
レントゲンやMRI検査などをせずに「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)ですね。湿布を出しておきます。しばらく様子をみてください」などと診断されたら、もう一軒別の病院に診てもらったほうが良いでしょう。
石灰沈着性腱板炎の知識のある医師であれば、圧痛の部位や動きの状態をみて診断しますし、レントゲンやMRIなどの画像で腱板部分に石灰沈着があるか確認します。ほかにも、超音波検査やCT検査によって石灰沈着の位置や大きさを調べます。
したがって、ある程度施設設備の整った大きい病院のほうが二度手間にならずに済みそうです。ご自身でも「これは四十肩・五十肩だ。みんな我慢していることなのだ」と自己判断せずに、心臓疾患で肩周辺が痛むこともありますので一度は病院へ行くべきです。
治療と再発予防
保存療法が一般的です。急性型では、一刻も早く激痛を取り除くことが優先されます。まず、針を腱板に刺して沈着した石灰を破ります。そしてクリーム状の石灰を一気に吸引する方法が現在最もよく行われている方法です。
その後、アームスリングや三角巾で安静にします。容態が安定したら、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤の滑液包内注射などを接種し、消炎鎮痛剤の内服も検討されます。これでほとんど回復します。
亜急性型、慢性型の場合は石灰沈着が石こう状に硬まってしまい、再発することもあります。石灰が溜まって膨らんだ状態で、肩回しをするなど運動時に周辺部位と接触し痛みが続くこともあります。痛みが強く肩の運動に制限がかかる場合、手術によって摘出することも勧められます。
疼痛が治まって一息ついたら、リハビリの始まりです。温熱療法(ホットパック、入浴)、運動療法(筋肉の強化、拘縮予防)など体力や時間に合わせて効率的に取り組みましょう。
冷えや運動不足は再発のリスクを上げますので、リハビリを3ヶ月頑張ったらあとは元通りの生活をして良いということではなく、日頃から運動する習慣を身につけて予防意識を高めることがリハビリの目標の一つです。
40代や50代に入っても発症しない方はどのような生活をされているのか訊ねて参考にするのも良いでしょう。
まとめ
働き盛りを襲う石灰沈着性腱板炎とは?
関節が外れた?夜中の不意打ち
四十肩・五十肩と誤診されないように
治療と再発予防