座っているとお尻が痛くて、気になって仕方がないという方はいらっしゃいませんか。我慢しすぎてしびれもあるような、これは腰痛か坐骨神経痛かと思い違いをせずにはいられないことでしょう。実は、お尻が痛いと 仙骨滑液包炎 という耳慣れない病状の可能性があります。
どのような方が発症しやすいのでしょうか。
お尻が限界!!仙骨滑液包炎
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まじめな生活がアダに
仙骨滑液包炎とは、仙骨の周囲を囲っている滑液包に炎症が起こっている状態です。滑液包とは袋状になっていて、なかは滑液で満たされています。
仙骨はとても大きく手で触ってわかるような骨です。滑液包が仙骨と皮ふの間にあることで、摩擦などの刺激を軽減するクッションの役割を果たしているのです。この部分が炎症を起こせば当然ながら痛いです。
主な原因は、長時間同じ姿勢で座り続ける生活をしていることです。デスクワークや勉強などはどうしても座りっぱなしにならざるを得ません。座っているとときどきお尻を動かしたり首を回したりするのは、からだの炎症を抑えるための無意識の生理動作です。
毎日休みなく座り続けることで、滑液包に徐々に負担がかかり炎症を起こします。ですからふだんあまり勉強せず一夜漬けタイプの方や、昼間は外回りで夕方から少しデスクにというような方は発症の可能性が低いといえます。
お尻の中心が痛むことが多いですが、患者さんによっては肛門付近にも痛みを感じて、もしかして痔かと思い悩むケースもあるようです。
病院での治療
皮ふ科へ行きそうなところですが、整形外科で診ていただきましょう。医師に尋ねられることは概ね次の3点です。
①押さえても痛いか(圧痛ではなく)②関節を動かすときに痛みがあるか③いつ頃から腫れているか、お尻を診察されるのは気が重いと数ヶ月以上我慢されるケースもあるようですから、後で困らないようにメモなどはとっておきましょう。
仙骨滑液包炎と診断されれば、注射の接種になります。エネルギー注射ではなく、滑液包穿刺(かつえきほうせんし)という滑液包炎の原因が痛風や偽痛風であるのか、細菌性の感染症か滑液を抜いて分析、原因を解明します。
お尻の痛みに比べれば、注射の痛みはないようなものです。
治療は気休めのようなもので、①アイシング。患部が熱を帯びていたり、痛みや赤くなっていたりするときに冷やします。②NSAIDs(エヌセイズ)の投与。非ステロイド性抗炎薬で炎症を抑えます。
有名なのはインドメタシンです。持病があるなどの理由で、どなたでも投与できるわけではありません。
日頃の座位を正す
原因があって結果があるわけですから、まずは座りっぱなしをやめることですが、仕事や勉強をサボるわけにはいきません。そこでひと工夫が必要になります。
尾骨部に体重がかからないように、低反発クッションや座布団を敷くとかなり効果があります。クッションや座布団が禁止などという職場や学校などは滅多にないでしょうから、ほかに持ってきている仲間がいなくともご自身の身のために必要な処置です。
また、これがいちばんむずかしいと思われますが、座るときに後ろにもたれない姿勢をとりましょう。もたれるとどうしてもからだが歪み、尾骨の先端部分に体重がかかります。楽をしているようで、圧迫されてつらい姿勢です。
これらを試みても改善がみられない場合、可能であれば椅子を変えるのがベストです。しかし、外では現実的ではありませんからご自身にとって良いクッションをみつけて、足元も楽にしましょう。スリッパやサンダル、あるいは床にタオルを敷いて靴を脱いで足を乗せるのも良いです。
仕事や勉強をしなくて良い身分になるまで、何もせずに生活をするのは人生を半分以上棒に振るようなものです。面倒くさいことを「生まれつき姿勢が悪くて」などと言い訳をせずに取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
お尻が限界!!仙骨滑液包炎
まじめな生活がアダに
病院での治療
日頃の座位を正す