皆さんは、どことなく身体の不調を自覚したら時間があれば病院へ行かれる方も多いことでしょう。そこでこれといった病気ではなく、 身体表現性障害 と診断されると大変不安を覚えるかもしれません。
ご自身に当てはまるかどうかはさておき、こういった病症もあるのだと覚えておくといざというときに役に立つこともあります。
心の疲れが原因?身体表現性障害とは?
モヤモヤとドクターショッピング
「身体表現性障害」という病名は、境界があいまいだったり重複する部分があることから、新しく「身体症状症および関連症候群」とよぶことになりました。
患者さんの多くは病院へ行く前から痛みや吐き気、しびれなどの症状があり医師にも伝えます。ところが検査の結果、特に身体に異常がなく原因がないと診断されます。
そういわれても、「こんなに自覚症状があるのにおかしい。ほかの病院へ行こう」とお考えになる患者さんがいらっしゃいますが無理からぬことです。
症状は現に続いていて、けいれん発作のようなものもあり身体に力が入らないこともあり、しかも一部分ではなくさまざまな部分に症状があらわれているのに、説明する原因がないといわれては納得しようがありません。
なかなか気持ちの整理がつかずに病院を転々としてしまい、心療内科や精神科にたどり着くまでにしばらく時間がかかってしまう患者さんもいらっしゃいます。
冷静に考えれば、原因不明の病気などは世の中にいくらでもあるのですが、いざご自身の身に降りかかるとすぐには納得できないものです。しかしもしかするとほかの病気を見逃されている可能性もありますので、2、3回ほど病院を変えてみてもらっても良いでしょう。
原因と治療法を模索
「身体表現性障害」や「身体症状症および関連症候群」という病名からも察することができるかもしれませんが、心身の疲労の蓄積や環境の変化などのストレスが何らかの形で症状の形成に関わっていると考えられています。
ストレスや緊張のためにお腹が痛くなったりする症状に見舞われたことがあれば、それがパワーアップした状態と想像すると少し腑に落ちるのではないでしょうか。
しかし必ずしもストレスが原因とは限りませんし、症状を分類して解析しようとすると個人差が大きすぎて極めて困難になります。たとえば同じ環境で同じ音楽を聴いたとしても、100人中100人が良い音楽だと感じるとは限りません。
不快に感じる方もなかにはいらっしゃることでしょう。脳波を調べることくらいは可能ですが、一人ひとりの脳のなかで何が生じているのかを詳細に解明することは今のところできません。したがって治療も試行錯誤状態です。
症状が比較的軽い場合は、できるだけ普段通りの生活を続けることがいちばんです。精神科的な治療としては薬物療法、精神療法、認知行動療法などがありますが治療を受けるかどうかは医師とよく相談の上で決めることです。
診断の信用性
原因の説明できる症状ではないとなると、果たしてこの医師のいうことを信じて良いのだろうかと心配になることでしょう。その前に、患者さんの症状に通常見合った検査を内科や整形外科などで受けていただきます。
そこで症状の原因となるような病気がないことを確認した上での診断ですから、ひとまず受け入れてみてはいかがでしょうか。
医師によっては身体表現性障害や身体症状症および関連症候群の知識がほとんどなく、「軽い胃腸炎からくるものでしょう。整腸剤とビタミン剤を処方しておきます」「疲れと睡眠不足です」などと診断されて帰されてしまうこともあります。
ですから身体的な病気ではないと診断してくださる医師は良いほうといえます。
うつ病や不安症などと併発することも多く、必要であれば専門医やカウンセラーを紹介していただきましょう。病名だけでもはっきりすれば、学校や仕事を休みやすくなりますし仮病や詐病と思われることはあっても堂々としていれば良いのです。
ご自身は紛れもなく症状によって苦痛な生活を送っているのですから引け目を感じる必要はありません。からだのどこも悪くないのに痛みやしびれ、吐き気などがあるのはよほどの身体からの悲鳴です。ゆっくり休んで治しましょう。
まとめ
心の疲れが原因?身体表現性障害とは
モヤモヤとドクターショッピング原因と治療法を模索
診断の信用性