歯痛の原因といえば、虫歯や知覚過敏など歯や歯茎の疾患を最初に疑う人が多いです。けれども、歯痛の原因が歯や歯茎以外の場合も多くあります。そのため、歯科では解決できないこともあるのです。
今回は、歯や歯茎以外の主な 歯痛 の 原因 と治療法を紹介します。
何科を受診する?歯や歯茎が関係しない歯痛の主な原因と対策
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副鼻腔(ふくびこう)炎が原因の歯痛と対策
歯の痛みと同時に、鼻づまりや鼻水が出るなどの症状がある場合は、副鼻腔炎の可能性があります。
副鼻腔の1つである上顎洞(じょうがくどう)は、左右の頬骨の中にあります。この副鼻腔の中に、風邪などのウィルスが侵入して炎症が起きた状態が副鼻腔炎です。
副鼻腔炎で歯痛が起こるのは、炎症を起こしている上顎洞と上の奥歯の根が接しているからです。炎症を起こして腫れた副鼻腔が、歯の神経を圧迫すると激しい痛みが起こります。また、歯の根が圧迫されて、歯が浮いたようになる場合もあるのです。
副鼻腔と接している上の奥歯は数本あります。ですから、副鼻腔炎の歯痛は、虫歯のように1本だけが痛くなるのではなく、数本同時に痛くなるのです。
副鼻腔炎の治療は、耳鼻咽喉科で受けることができます。治療方法は、炎症を抑えるための抗生剤の内服や鼻や副鼻腔に溜まった鼻水を取り除くことなどです。
風邪の予防が、副鼻腔炎の予防にもなります。
三叉(さんさ)神経痛が原因の歯痛と対策
顔の感覚を脳に伝える三叉神経に異常が起こる病気を、三叉神経痛といいます。三叉神経痛の症状には、歯の痛みの他にも顔の痛みや麻痺などがあります。
三叉神経痛の歯の痛みは、歯磨きをしたときなどに発作的に起こります。歯に電気が走ったような痛みです。また、三叉神経の痛みが歯に伝わって、歯痛が起こることもあります。
三叉神経痛の治療は、脳神経外科で行われます。
薬を服用しても改善されない場合は、手術、神経ブロック、放射線治療が患者の状態によって選択されます。
咀嚼筋(そしゃくきん)や肩、首の筋肉が原因の歯痛と対策
歯痛は、物を噛むときに使う筋肉(咀嚼筋)や肩、首の筋肉の疲労が原因でも起こります。
咀嚼筋の1つである咬筋(こうきん)の疲労の場合は下の奥歯、側頭筋(そくとうきん)の疲労の場合は、上の奥歯が痛みます。該当する筋肉を押して、強い痛みを感じれば咀嚼筋が原因の歯痛と考えられます。
副鼻腔炎の歯痛と同じく、数本の歯が同時に痛くなります。激しい痛みではなく、じくじくとした鈍い痛みが長時間続く場合が多いです。
肩や首の筋肉が原因の歯痛は、肩こりや頭痛も同時に起こる場合が’あります。筋肉の疲労が原因の歯痛は、マッサージなどでコリをほぐすと痛みが改善されます。
ストレスや疲れが溜まっている人に起こりやすい歯痛です。十分な睡眠をとり、リラックスをした生活を送ることが、筋肉の疲労が原因の歯痛の予防になります。
精神的なストレスが原因の歯痛と対策
精神的なストレスでも、歯が痛くなったり歯茎が腫れたりすることがあります。なぜなら、精神的なストレスが溜まると、病気から体を守る免疫力が弱くなるからです。すると、これまでは免疫で抑えられていた虫歯になりかけの歯の痛みや、歯周病による歯茎の腫れが起こるのです。
免疫が普通の状態になれば、これらの痛みは消えます。そして、免疫力が弱くなるとまた痛みだします。ぶり返す歯の痛みや腫れが長く続く場合は、ストレスがなくなれば痛みが治まるから何もしなくても良いと考えるのは危険です。
何も対策をしなければ、虫歯や歯周病が進行してしまうことがあります。歯科医院などで適切な診断を受けて、対応をするようにしましょう。
歯痛の原因を知って、適切な治療や対策を
虫歯、知覚過敏、歯周病などの歯や歯茎の病気以外にも、さまざまな原因で歯は痛みます。虫歯がない場合や歯の治療を終えたばかりなのに歯が痛む場合は、歯以外が原因の歯痛を疑ってください。
副鼻腔炎、三叉神経痛、咀嚼筋の痛みが原因の歯痛は、その他にも特徴的な症状があるのでそれらの症状も合わせて覚えておきましょう。
また、ストレスが原因の歯痛は、放っておくと歯の病気が悪化するというサインでもあるので、適切な対応をすることが必要です。
歯が痛いと気持ちが沈んだり、仕事や勉強に集中できなくなったりするなど、楽しい生活を送ることができなくなります。歯痛の原因を特定して、早めに適切な治療を受けるようにしましょう。
まとめ
何科を受診する?歯や歯茎が関係しない歯痛の主な原因と対策
副鼻腔(ふくびこう)炎が原因の歯痛と対策
三叉(さんさ)神経痛が原因の歯痛と対策
咀嚼筋(そしゃくきん)や肩、首の筋肉が原因の歯痛と対策
精神的なストレスが原因の歯痛と対策
歯痛の原因を知って、適切な治療や対策を