手根管症候群 に対する医師の考え方、 治療 はさまざまです。手のひらに手術の跡が残るというのは思っている以上に心身の負担となります。治れば何でも良いと判断を全面的に医師に任せずに、ご自身の身を守る意識を持って治療に臨んではいかがでしょうか。
手根管症候群と診断されたら?治療は慎重に
自己判断の前に神経内科へ
手がゴツゴツして動かしにくくなったり、腫れたり痛みがあってもすぐに病院へ行かなくてはと判断される方は少数派でしょう。
ご自身よりも年配の方の手をみて老化が始まったのだ、クリームや海綿をこまめにつけるようにしなくてはと気にとめなかったり、外仕事や水仕事をしているから仕方がないとあきらめるのが一般的な対応です。
初期症状はそれくらい軽微なものなのです。しかしもう一段階進行すると、加齢にしてもいよいよ手が動かしにくいと感じるようになります。この段階でぜひとも一度、神経内科へ足を運んでください。
軽い症状であれば、安静にするだけでいくらかの効果があります。原因が仕事内容にある場合、治るまで休むというのは現実的ではありませんからなるべく安静に、などと医師に言われて興ざめして治療を放棄してはなりません。
就寝時だけでも効果は期待できます。「シーネ」という固定具を夜間のみ装着するのです。24時間装着したほうが良いのですが、煩わしさから止めて投げ出してしまうケースも多いようです。
ただし、症状が緩和された後に遅れを取り戻そうと仕事を頑張りすぎると再発の可能性が高くなります。
鎮痛薬を全面信頼しない
初期症状の場合、多くの医師はビタミン剤の内服や注射(ステロイド剤と局所麻酔薬の混合液)の摂取を勧めてきます。安静にしていると数回の注射で症状は改善してきますが、注射の効果がなかったり筋の萎縮が進行してくると手術を勧められます。
この注射から手術への変更のタイミングは医師によってさまざまです。高齢になればなるほど、症状の進行は緩やかな患者さんも多く、薬漬けになってしまう危険もあります。
ロキソニンやボルタレンなど非ステロイド消炎鎮痛薬は胃潰瘍を合併することがありますし、手根管の症状以上に苦しむことにもなりかねません。
胃潰瘍の症状を緩和するために胃薬や抗潰瘍薬なども処方されます。5年、10年と長期に渡って服用し続ければ腎機能低下という致命的な副作用をプレゼントされる危険も高まります。
血液透析が必要になる場合もあり、毎月の出費が大変なことになります。したがって、医師に従順なばかりでは身を滅ぼしかねず、薬の減量や休薬を申し出るくらいの気概を持たなくてはならないのです。
手術はカンタン楽勝ではない
手術は切開するものと内視鏡によるものがあります。切開は手根管開放術という方法が一般的です。靭帯を切り離して神経の剥離を行い、圧迫を除去するというものでほとんどの手根管症候群に有効な術式です。
また、近年注目されているのが小切開手術と内視鏡使用をセットにした術式です。この手術は大きな傷跡が残らず、痛みが少ない、職場復帰が早まるというメリットがあります。
その一方で、手根管開放術と比べて小さい切開は視野が狭いため合併症のリスクというデメリットのほうが大きいです。よほど慣れた医師に勧められない限りはやめたほうが安全です。
手術時間はおおよそ30分で、通常は日帰りの外来ですが3日ほどの短期入院を選択することも可能です。費用は健康保険使用の3割負担で3万円くらいです。
内臓や頭の手術と比べて、怖くない手軽な手術をイメージされるかもしれませんが、絶対に失敗しない手術というものは存在しません。手術後はしばらく不便生活を強いられることになります。手術前に術後の生活の準備を整えておくと良いでしょう。
まとめ
手根管症候群と診断されたら?治療は慎重に
自己判断の前に神経内科へ
鎮痛薬を全面信頼しない
手術はカンタン楽勝ではない