棚障害ときいて説明できる方々は少数派でしょうか。まず名前でからだの場所を判断できません。膝の病症で、曲げ伸ばししたときに引っかかるような感じがしたり、音が鳴ったりします。
棚障害 でなくてもそのような症状が出ることはありますし、心配するほどのものなのか、検証してみましょう。
棚障害ってどこの病気?症状は?
始まりは些細な違和感から
棚障害は別名「滑膜ヒダ障害」ともよばれています。お母さんのおなかの中にいるとき、胎生期につくられたヒダの残りが膝に痛みを感じさせることがあります。関節を包んでいる関節包は3つの膜から構成されています。
その一番外側の膜を「滑膜」とよんでいます。滑膜がヒダ状になっているものを滑膜棚といい、胎生期に関節をつくっている間は必要なものなのですが、その後はお役御免となります。この棚が残ってしまうことを「棚障害」または「滑膜ヒダ障害」といいます。
主として10~20代の女性が多く発症します。成長痛ととらえてガマンしているうちに、歩行困難になることもあります。健康な状態から歩行困難になるのは余程のことです。運動時のみに痛みがあると鍛え方が足りないのかと考えてしまうのは危険です。
むしろふだんの動作では負担が少ないために自覚症状がなく、運動して症状があらわれていると判断すべきです。
原因は自分以外のことも
赤ちゃんの頃からの座り方、その後の歩き方というのは人生を左右するといっても過言ではありません。膝関節に歪みができる以前の生活習慣を振り返ってみましょう。
歪みことがなければ棚障害の症状があわわれないこともありますし、症状が出たとしても治療が容易になります。物心着く前の習慣はご家族の責任です。
赤ちゃんの頃にガニ股、内股や膝を曲げすぎてヨチヨチ歩きしていたのをただ可愛い、微笑ましいとみているだけで矯正しなければと危機感を募らせなかったツケが回ってきたともいえます。また、酷使しなければ症状があらわれなかったり治まることもあります。
疲労回復する暇を与えていない生活は、膝関節にもからだ全体にもつらいことです。基本的なケアですが、お風呂で温める、睡眠を十分にとるといったケアというほどのものでもないようなことがいちばん効果を発揮します。
お風呂では足首から太ももにかけて下から上にマッサージをしましょう。特に膝裏は血流が滞りやすく、老廃物が溜まっているので念入りにマッサージします。熱すぎるとかえって疲れてしまいますので、43度以下くらいが良いです。
早めの治療で治す
初期の段階で治療を受ければほとんど心配はいりません。ただ軽い膝の痛みで整形外科へ行こうかと思いたつご本人やご家族は少ないのが現実です。
棚障害でも何でもなく、心配性な患者と家族だなと呆れられたりすることはありませんので、ぜひとも膝に違和感を覚えた時点で病院行きを検討していただきたいところです。
初期でも、運動は休止して安静にしているのが基本です。保存的療法から始めます。湿布や電気治療、抗炎症鎮痛剤(内服薬)などで炎症と痛みを抑えます。
抑えるということは根本的な改善にはなっていませんが、筋トレもして大腿四頭筋の柔軟性を高めればスポーツにも復帰できます。同じことの繰り返しにならないように、休息の取り方を試行錯誤しましょう。
保存的療法で効果がなく、痛みも改善されない場合は手術療法となります。関節内をキレイにして痛みを和らげようというものです。一度手術してもまた徐々に関節内は汚れが蓄積していきますから、いつかはまた手術の必要が出てくるかもしれません。
保存的療法も手術療法も完治はしないのかとがっかりされるかもしれませんが、アレルギーやアトピーなどと同様に、上手に付き合っていこうと前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
棚障害ってどこの病気?症状は?
始まりは些細な違和感から
原因は自分以外のことも
早めの治療で治す