皆さんのなかで tfcc損傷 をご存じの方はとても少ないことでしょう。まず、どの部分に発症するのか見当がつきにくい名称でもあります。手首の痛みを発端としますが、見た目はほとんど変わらないので病院へ行こうかどうしようか迷うところです。
どのような生活で発症しやすいのか確認しましょう。
tfcc損傷って病気?ケガ?
捻挫?脱臼?
捻挫したかと思って病院へ行くと、「手首の捻挫」と診断されるケースが大変多いようです。それだけ知名度の低いものなのでしょう。
捻挫の手当てをしてもらい、病院を後にしたもののいつまで経っても痛みが引かなかったり、治ったと思ったらまたすぐに同じ場所が痛むような…?と疑問符が付いたらほかの病院、できれば整形外科専門医のいらっしゃる病院へ足を運びましょう。
そこでようやく「tfcc損傷」と診断されれば一安心です。tfcc損傷とは三角線維軟骨複合体損傷のことです。どちらも聞きなれない言葉です。手首の小指側の部分での痛みが特徴です。
ラケットスポーツ(テニスやバドミントンなど)をする皆さんに多くみられます。手首を小指側に傾けた状態で無理をしてリターンをすると圧縮力がかかり、受傷します。
そのほかに、持ち手を変えずにドアノブを回したり、床に手を強く付いたり、とっさに手首を返してものを支えたりしたときにもその動作や外傷をきっかけに発症するケースもあります。
わかりにくい症状と診断
手に力が入りにくかったり、握力が低下したような気がする、手首を返す動作が頑張っても制限されたりします。老化によるものかとご自身で判断される方もいらっしゃるでしょうが、このような症状がいつまでも続くようであれば老若男女問わず病院へ行ってみましょう。
まず手首のレントゲンを撮ってもらいます。ところがtfccは軟骨成分であるため、何も写らないのです。そこで手首を裏返して撮ってみると、正常であればきれいに並んでいるはずの尺骨が突き出たように写ることがあります。
しかし、このようにわかりやすくみえることは少なく、レントゲンでは「異常なし」と言われてしまいます。このとき、補助診断方法としてレントゲンと造影剤を組み合わせるとtfccを発見できる可能性が極めて高くなります。
正常な場合は、造影剤が手の関節のなかにたまります。tfccの一部に亀裂が生じていると造影剤が手首の関節から漏れてきます。tfccとわかって良かったですが、これではどの部分がどの程度損傷されているのか判明していません。
レントゲンと造影剤は念のためということで、MRI検査が主役です。亀裂がはっきりと写りバッチリです。
オーソドックスな治療法
捻挫よりも大仰に、骨折よりも楽な固定療法です。tfcc部分の炎症を抑えて、痛みが出ないように保護することが主目的です。ですから、経過が順調にいくか否かは患者さんの本気で頑張る度合いにかかっています。
固定道具は、①ギプスが最も一般的です。取り外しが容易で、ベルトをつけて固定します。手首が固定されますが、指や肘の動きが妨げられないので喜ばれます。固定期間は3~4週間です。
②板を使います。お湯につけてやわらかくした板で固定します。もちろん、板は手首の型に合わせてあります。その上からサポーターをします。ギプスほど広範囲をサポートしていませんので、手や腕の自由度は上がります。その代わり、固定強度は少し下がります。
③テーピングです。テーピングで治るようならそれほど深刻に考える必要はないな、と思わないでください。手首のやや下方を伸縮性のあるテープでグルグル巻きます。手首の自由も効きますし、スポーツや日常生活で大活躍できます。
しかし、テーピングを過信して治療中である身を忘れてはなりません。ふだんの5~7割くらいの力で活動しましょう。
まとめ
tfcc損傷って病気?ケガ?
捻挫?脱臼?
わかりにくい症状と診断
オーソドックスな治療法