腰部脊柱管狭窄症 は、治療が遅くなりやすい病気です。何とか歩くことができる間に病院へ行ったほうが保存療法で治る可能性があります。
日常生活に大きく支障が出てくるようになってから診察を受けると、 手術 しか手立てがないこともあります。手術の回避方法ではなく、向き合う心の準備をしておきましょう。
腰部脊柱管狭窄症の手術をすすめられたときの心がまえ
現状維持よりラクになる?
手術で怖いのは失敗してかえってつらい生活を余儀なくされることです。こればかりは医師も神様ではありませんので、信頼しつつもある程度のリスクを覚悟しておかなくてはなりません。
手術を拒否していると、場合によっては寝たきりになって長患いすることもあります。失敗しない確率は0ではありませんが、何もせずに天井をみている生活に甘んじるよりは希望が持てるのではないでしょうか。
手術における基本的な方針は、狭くなった脊柱管を広げること、そして神経への圧迫を取り除くことです。靭帯を取り除いたり、狭窄が発生している部位周辺の骨を削る「除圧術」が用いられます。腰椎に不安定性があるケースでは、圧迫の除去だけでは足りませんので「固定術」が行われます。
また手術となると費用の心配が出てきます。病院によって差がありますが、おおよそ2週間ほどで退院できます。医療保険などに加入していないとなかなかの出費になります。手術は、3割健康保険が適用されます。除圧術は30~40万円、固定術は40~60万円が目安になります。
退院後もリハビリテーションに通うなどでどんどんお財布が軽くなりますので、前もっておおよその家計計画を立てておくと良いでしょう。
選択肢があるようでない手術
除圧術には大きく3つの手術がありますが、患者さんご自身で選ぶというよりも担当医師の得意不得意に左右されるところが大きいです。
①開窓術。除圧術で最もポピュラーですが、高いスキルを必要とします。椎弓を部分的に削り取り、かつ不要な部分は可能な限り削り取らないことが求められるため、不慣れな医師では心もとない方法です。そのかわり、成功すれば術後の脊椎変形の進行を最小限に抑えることができます。
②脊柱管拡大術。専用の顕微鏡を使用して腰部の皮ふを切開します。椎弓と黄色靭帯を切除することにより脊柱管が拡大します。神経を包む膜への圧迫をなくして、症状の進行を予防することが可能となります。
③椎弓切除術。長く用いられている術式です。圧迫部分が大きい場合に椎弓を広い範囲で切除します。骨をたくさん削ることになりますので、脊椎が不安定になりがちです。この欠点を補う方法が現時点では確立されていないため、近年では開窓術が優先されています。
わりと健康な方向けの手術
固定術には脊椎固定術というものがあります。その多くは金属固定(医療用のネジなどを使用)と骨移植術が併用されます。したがってアレルギーの有無、全身状態や感染しやすい体質ではないか、糖尿病などの持病を考慮して手術をするかしないかを決定します。
手術は、骨盤から採ってきた骨を固定する範囲の周辺に置きます。脊椎と骨を骨癒合させて安定へと導くのです。体調や体質によっては挑戦することもできない術式ではありますが、椎弓切除術により椎弓を削ったあとや脊椎すべり症で脊椎が不安定になったケースでは、一般的な方法です。
以上のように、希望の持てる手術方法がたくさん存在しますので、ぜひ自力で病院へ足を運べるうちに診察してもらうことをおすすすめいたします。歩けなくなってからご家族に付き添われて来院する状態では、手術をしてもベッドから起き上がることもできないケースも想定されます。
起き上がるためのリハビリからスタートするのはご本人にとっても大変な労力を必要とします。早めの来院がからだにもお財布にもやさしいのです。
まとめ
腰部脊柱管狭窄症の手術をすすめられたときの心がまえ
現状維持よりラクになる?
選択肢があるようでない手術
わりと健康な方向けの手術