スポーツをしているお子さんが訴える腰痛。まだまだ腰が痛くなるような年齢じゃないのに何で?とお思いの方、その原因は腰椎分離症かもしれません。
ここでは、 腰椎 分離症 が生じる原因とその対処法を見ていきましょう。
運動している子供の腰痛の原因は?腰椎分離症ってなに?
腰椎分離症とは
腰椎分離症は激しいスポーツをする小学校高学年から高校生のお子さんに多くみられ、特に中学生に多い整形疾患です。
人間の身体は背骨である脊柱を軸として支えられています。この脊柱は約30個の椎骨と呼ばれる骨が積み重なって構成されています。椎骨は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎、3−5個の尾椎にわけられ、腰椎分離症は腰の部分に当たる腰椎の連続性が断たれた状態となっています。
激しいスポーツの中で、人間の身体は筋肉や靭帯、椎間板などを使ってその衝撃を和らげています。腰椎分離症は、成長期での活発な活動によって腰椎部分にストレスが加わって亀裂が入ってしまうことで生じます。
肉離れのような一度に大きな力が加わって生じるというよりは、スポーツを続けることでジャンプや身体の回旋によるストレスが積み重なって生じるのが特徴です。
ストレス骨折ですので、身体を伸ばしたり、ねじったりすることでさらに外力が加わり、疼痛が生じてしまいます。腰椎分離症は側面からのX線撮影によって診断されます。
また、腰椎分離症は10代で生じることが多い疾患ですが、それが原因となり、後々に腰椎分離すべり症へと進行していく場合もあります。
腰椎分離すべり症とは
腰椎分離症によって分離した腰椎は安定性を失っています。その上、さらに椎間板が変性することで、腰椎が前方へと滑り出し、腰椎分離すべり症となります。
腰椎分離すべり症では、運動時や腰を曲げた時に腰がずれるような不安感や張った感じの腰痛を自覚します。また、太ももの裏側に重だるい感じを覚えたり、神経を圧迫することで脚のしびれや痛みを引き起こしたりすることもあります。
腰椎分離症と同様に、側方からのX線撮影によって診断され、明らかに前方へとすべった連続性の遮断された状態が見てとれます。
腰椎分離症、腰椎分離すべり症の治療方法
成長期での腰椎分離症は腰痛が生じ始めてまもなくであれば、保存療法による自然癒合が期待できます。そのため、コルセットなどを着用し、安静を保ちます。
スポーツ活動については、最低でも6ヶ月程度の中止となりますが、分離部分の癒合が進み疼痛がなくなることで、以前と同様のスポーツ復帰が可能となります。そのため、成長期での腰椎分離症はまず、その早期発見が重要となります。
急性期を過ぎてしまい、骨癒合が期待できない場合には薬物療法やブロック療法による疼痛緩和が主となります。
成人の腰椎分離症に対しても保存療法による骨癒合は期待できません。しかし、腰椎分離症があるからといって必ずしも腰痛が生じるわけではありません。そのため、疼痛の具合を見ながら、医師と安静度を決定していくことになります。
腰椎分離すべり症の場合であっても、保存療法が選択される場合もあります。この場合は患部の安定化を目的とするため、コルセットの着用と日常生活での腰椎へのストレスを抑える動作指導が基本となります。加えて、鎮痛のための薬物療法やブロック療法を併用します。
手術療法では後方固定術や後側方固定術などの脊椎固定術を行います。また、脚のしびれや痛みなどの神経症状があれば、神経圧迫部位の徐圧術も行うのが一般的です。
まとめ
運動している子供の腰痛の原因は?腰椎分離症ってなに?
腰椎分離症とは
腰椎分離すべり症とは
腰椎分離症、腰椎分離すべり症の治療方法