皆さんは、腰痛と吐き気がほぼ同時に生じるとどう判断されますか。腰痛は腰痛、吐き気は風邪か軽くお腹を壊したかと考える方が多いと思います。
腰痛 に加えて 吐き気 もある場合、骨の歪みによる腰の痛みではなく、別の深刻な病気のサインである可能性があります。我慢して軽んじるのは危険です。症状が軽いうちに病院へ行きましょう。
吐き気を伴う腰痛の原因
内臓疾患の可能性
一つは、腎不全です。お察しの通り腎臓の機能が低下してしまう病気です。主な症状は腰痛、吐き気、食欲不振、集中力の低下、全身のかゆみなどがあります。ご存じの方は少ないかもしれませんが、腎臓は血液をろ過するための大切な器官です。
その機能が低下すると、からだに老廃物が蓄積されたままになってしまい、上記のような症状に苦しむことになります。自力で回復させることはまず諦めて、すぐに病院へむかいましょう。
二つめは、尿路結石です。これは尿が流れる管が硬いものでふさがれてしまう病気です。腰痛や吐き気のほか、血尿、発熱、悪感を生じます。特徴的なのは激しい痛みが急に表れたり、かと思うと突然痛みが治まったりすることです。
いつまた痛みが来るのか怯えながら生活するのは、大変なストレスになります。このような痛みを感じたら、早めに尿路結石の検査を受けましょう。
三つめは、腎動脈が詰まるという症状です。いわゆる「腎動脈の閉塞」です。腎動脈が血栓によって詰まってしまったのです。いじわるな特徴は、初期の段階では症状が表れないことです。少しずつ病気が進行してくると、じわじわとうずくような腰痛や下腹部の痛みを感じるようになります。
腰痛かなと様子見していると、次の段階で吐き気、背中の痛み、発熱などの症状が起こります。この自覚症状が表れた時点で、かなり進行してしまっている状態です。腰痛と風邪ではありませんので、覚悟を決めてすぐに病院へ行きましょう。
四つめは、腎盂腎炎(じんうじんえん)です。主に大腸菌感染によって発症する病気です。患者さんは女性が多いのが特徴です。一般的に男性に比べて女性のほうが内臓器官が弱く、抵抗力も弱いためと考えられています。
突然発症し、腰痛や吐き気、発熱や悪感などを生じます。また、圧痛も起こります。腰の外から押すと痛みを感じるので、チェックしてみてください。何とか自力で外に出られるうちに、病院へ向かいましょう。
女性特有の原因
一つは、月経前症候群です。これはホルモンバランスの乱れが関係しています。腰痛や吐き気に加えて、腹部の張り、乳房の圧痛、刺激に過敏になるなどの症状がみられます。また閉経に近づいている方であれば、月経中や月経後も腰痛や吐き気が続くことがあります。
症状は個人差が大きく、周囲の理解を得られにくいことも多いかと思われますが、あまりにも症状が重く日常生活に支障をきたすようであれば、一度婦人科系の先生に相談に行くのも良いでしょう。
二つめは、月経困難症です。月経のときに骨盤部分に痛みを感じる病気です。吐き気、下痢、便秘、頭痛などの症状が起こります。また下腹部の痛みが広がって腰痛や足の痛みを感じるようになります。
思春期の女性に多く、原発性と続発性のものがあります。前者は原因がよくわかっておらず、後者は子宮筋腫、子宮内膜症、骨盤内うっ血症候群、骨盤内感染症など重大な疾患が関係している恐れもあります。月経が来なくてラッキーなどと思わずに、病院へ行きましょう。
内臓疾患以外の原因
内科で検査をして異常がなかった場合、自律神経失調症の可能性があります。ストレスや緊張によって吐き気が生じたり、血行不良により腰の筋肉が硬くなり腰痛を引き起こします。神経内科や心療内科などを紹介されて、やっと原因がわかることになります。
症状は個人差が大きいのですが、お薬よりも運動やストレスをためないこと、つまりご自身の生活を振り返って見直すことから治療は始まるといえるでしょう。
まとめ
吐き気を伴う腰痛の原因
内臓疾患の可能性
女性特有の原因
内臓疾患以外の原因